Okawa Hiromu
大川 啓 教授
Profile
ゼミでは、明治維新後・第一次世界大戦後・戦後の高度経済成長という大きな社会変容を重視して、近現代史を考察します。地域を生きた普通の人びとの歴史的な経験から、日本社会とその変化を捉えたいと思います。
生年/1974年
出身地/秋田県秋田市
血液型/O型
家族構成/妻・長男・長女
子供の頃の夢/夢とはいえませんが、出身地で生きていくものだと思っていました
愛読書/松本大洋『ピンポン』
趣味/読書、落語鑑賞
休日の過ごし方/自宅で家族とゴロゴロする
好きなTV番組/旅番組
好きな食べ物/珈琲
政治や社会の流れだけが「歴史」ではありません。一人の人、一つの地域からでも日本史、世界史を語ることができます。
普通に生きた人々の歴史から日本の近現代史を捉え直す
私の専門は、日本近現代の社会史や大衆社会化論です。もともと、地域や民衆運動に関心を持っていましたが、自分の出身地である秋田について、興味深い事実に出会ったことが、現在の研究テーマにつながっています。秋田では、全国各地で米騒動が勃発していた大正時代の1918年頃、秋田ではなぜか米騒動が起きていませんでした。調べてみると、明治時代から大正時代にかけて、米価が高騰した際には、秋田の名望家(名声や人望のある家)が助けを出していた事例を見つけたのです。米騒動にとどまらず、火災や貧困問題などでも名望家が大きな役割を果たしていました。そこから名望家に焦点をあて、地域社会を考察する取り組みを始めました。今は、さらに研究フィールドを広げつつ、当時の地域社会に生きた普通の人々の歴史的な経験から、近現代の日本社会の変容を明らかにしたいと考えています。
私は幼い時、祖父母から地元の昔の話を聞く機会に恵まれましたが、研究を進めていくなかで、思いがけず、そうした話に関わる資料と出会うことがあります。そのような偶然も楽しみにしつつ、研究を進めています。
教養科目では広く関心を持ち、ゼミでは自分自身の問いを深める
教養科目の「日本史I・II」では、自身の専門でもある日本近現代の社会史と都市史について講義しています。この時代の全体像を捉える上で重要な内容はもちろんですが、私自身がおもしろいと思った研究成果や歴史系学会の最近の関心なども合わせて紹介していきます。講義では、毎回コメントペーパーを配布・回収しています。寄せられた質問や要望には、次回以降の講義の冒頭で15分程度の時間をとって、可能な範囲で応答しています。なかには鋭い質問もあり、自分自身の気づきにもなっています。
また、ゼミは自分自身の関心や問いを深めていく場と考えています。ゼミ生一人ひとりが、自らの問題関心に基づいた研究テーマを着実に深めていけるよう後押ししています。担当する国際日本学部ゼミナールでは、日本近現代史の分野で卒業論文をまとめることを目標として、そのための基礎的能力の養成に努めています。卒業論文を執筆するには、日本近現代史の研究領域で自らの問題関心に基づいた研究テーマを具体的に設定することが重要です。ゼミでの報告や先行研究の整理、史資料の収集を通じて、各自の問題関心や問いを深めていってもらいたいと思います。
学問も出会いの一つ。おもしろいと思えたら突きつめてみよう
私自身の話をすれば、小さな頃に何か明確な夢があったわけではなく、地元の秋田でずっと生きていくものと漠然と思っていました。大学では地理歴史を専攻し、日本史を学んではいましたが、その頃は将来何をしたいのか自分でもよくわかっていなかったと思います。実際、大学院に行きたい気持ちはありましたが、迷っているうちに一般企業に就職が決まりました。その後、卒論を書く時点になって、改めて研究の本当のおもしろさを知り、もっと資料を読めばよかった、もっと地域の研究をすればよかった、と率直に後悔しました。結果、一度は就職したもののすぐに辞めてしまい、改めて大学院に入り直しました。
選択肢はいろいろあっても、そんなにあれもこれもできるわけはなく、選択できるのは一つでしょう。迷ったら、とりあえず、今いるその場所でできることをやってみるのがいいと思います。少しでも興味を持てることを掘り下げていくのです。ただし、おもしろいと思えるようになるまでは少し時間がかかりますし、蓄積も必要です。多くの先行研究、資料なども読まなければなりません。ハードルは低くはないですが、わかりはじめると俄然おもしろくなります。臆病にならずに突きつめてみましょう。自分の経験を振り返ってみても、おもしろいと思ったことを突きつめたからこそ自分なりの研究成果を出せたように思えるのです。
また、大学生活には、多くの出会いがあります。学問との出会いも、その一つでしょう。せっかく何かの縁があって選んだ専門なのですから、先人たちが積み上げてきた知の蓄積と向き合い、格闘しながら、自分自身の関心や問いを深めていってほしいと思います。
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