Maruyama Yasuaki

丸山 泰明 准教授

所属
国際日本学部
歴史民俗学科
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専門分野

民俗学

キーワード

Profile

出身地/新潟県南魚沼市
生年/1975年

民俗学は「人」の学問。身近なことが何でもテーマになる面白さがある。

「不幸の手紙」も研究テーマのひとつ

私は民俗宗教の近代を研究テーマにしています。民俗宗教とは、お祭りや年中行事、神仏や死者に対する信仰、おまじないなど、日々の営みと共にある宗教のことです。お祭りやおまじないなどの研究というと、過去へさかのぼって昔の姿を明らかにするスタイルをイメージするかもしれません。しかし私がむしろ着目しているのは近現代における民俗宗教の変容や新たな創出です。近現代になると科学的な知識や技術が浸透することによって民俗宗教は「迷信」として打破されると思われがちです。しかしながら、伝統的なものが変容したり、新たに生まれたりもするのです。

たとえば、「不幸の手紙」というものを聞いたことがあるでしょうか。受け取ったら同じ文面を誰かに送らなければ不幸になるというものです。これはもともと「幸運の手紙」が変化したもので、1920年頃、郵便の仕組みが整った頃に生まれたといわれています。しかも、郵便からメールに手段を変化させ、現在も続いています。100年もの長い間、どうしてチェーンメールは続いてきたのか…。とても興味深いです。
このチェーンメールのように、少し変わった分野を扱うことができるのが民俗学の面白いところです。民俗学というのは「人」の学問ですから、身の回りのことは何でもテーマにすることができます。一見、科学的な知識や技術によって支配されていると思い込んでいる近現代の社会にもかかわらず、あるいは、だからこそと言うべきかもしれませんが、人々は祈ったり、怪異をおそれたりします。民俗宗教の中に、人間とは何かを解く鍵が隠されているのです。

私たちはなぜ「話」に惹かれるのか

歴史民俗学科では「伝説・昔話の民俗」と「メディアの民俗」を担当しています。口で声を発して耳で聞くもの、目で見るものといった、身体を通して表現し感受する民俗についての授業を行なっています。「伝説・昔話の民俗」の授業では、「人間にとって“話”とは何なのか」ということを学びます。伝説や昔話、噂や美談、都市伝説など、私たちの周りにはさまざまな「話」が存在します。本の中だけではありません。ディズニーランドはおとぎ話の世界を現実に再現したものですし、民衆を扇動するためにつくり話をするということは昔からたびたび行われています。なぜ、私たちはこんなにも「話」に魅かれるのでしょうか。身近なものを題材にして、一緒に考えていきましょう。
「メディアの民俗」では、その名の通り「メディア」を取り上げます。たとえば写真は、人々の生き方や死生観を大きく変えました。写真が普及すると、人々は七五三などの人生のイベントや家族の何気ないふだんの様子などを撮影して、生きているこの瞬間の姿を永遠に残し後から見返すようになりました。また、お葬式には故人を象徴するものとして遺影を飾るようになります。火葬の際に親しい人の写真を棺に収めたり、逆にあの世に連れていかれるので入れてはいけないと言われたりもします。さらには心霊写真や念写といった、見えないものを見る超常的なテクノロジーとしても利用されます。人々は写真に、単なる図像の情報にとどまらない「何か」を求めているのです。ほかにも、複製メディアにより浪花節や民謡といった声の芸能がどのように変化していったのかについて、実際にSPレコードやソノシートを聴きながら学ぶ授業も行います。学生にレコードプレーヤーを操作してもらうのですが、アナログな音が学生たちにはかえって新鮮なようです。紙からインターネットまで視野に入れながら、さまざまなメディアに取り囲まれて生きる私たちの日常を解きほぐしていきます。メディアが社会や私たちの感性にどのような影響を与えているのかを考察していく授業です。

見る、話す、味わう…旅もいろいろな楽しみ方を

民俗学は、人の生活や生き方を振り返る学問です。「話」などを入り口にして、私たちが今生きている社会は、どんな歴史の流れの中で出来上がったものなのかを考えていきます。一昔前の社会など、いろいろな人の人生を知ることで、視野を広げることができるでしょう。ひとつの働き方しか知らないと、そこで行き詰まった時にどうにもならなくなってしまいます。しかし、他の生き方を知っておくと「こっちがだめならそっち」と、身軽に他のレールへ飛び移ることができます。何が起こるかわからない時代ですから、そのように柔軟に考えられる力は武器になります。
在学中に、いろいろな世界に触れてください。都会出身なら、地方や海外へ行ってみる。旅行といっても、景色を見る、人と話す、料理を味わうなど、楽しみ方はさまざまです。写真を撮って終わりではなく、いろいろな角度から楽しむことを意識してみましょう。そこで得たインスピレーションは、いつの間にかあなたを豊かにしてくれます。感性を磨き、自分らしく、自然体で生きていってほしいです。

丸山泰明ゼミナール

写真と映像から、人々の生き方の過去と現在を知り、未来へ伝える。

神奈川大学にある日本常民文化研究所には、1930年代の日本各地の暮らしや信仰・芸能を撮影した写真と映像が残されています。これらの写真と映像を頼りに、約90年前に撮影された場所を訪ね、変わったものと変わらないものの比較から生活と文化の歴史を明らかにする研究に取り組んでいます。さらには今日の姿を写真や映像で撮影し、未来に伝えていくことも試みています。学生たちには日本各地の多様な生活や文化を知ってもらうとともに、メディアが身近な現代だからこそ、イメージを読み、イメージで記録・表現する、イメージによる思考を身につけてほしいと考えています。

Photos

  • 招き猫は、以前の職場を退職する際に同僚の皆さんからプレゼントとしていただきました。だるまは、だるまの民俗について講演した時にワークショップでつくったものです。福をもたらしてくれるようにと研究室に飾っています

  • ゼミのフィールドワークで訪れた津軽半島の十三湖から眺める岩木山。岩木山は古くから山岳信仰の対象として崇められてきました

  • 旅をした際には絵馬や縁起物をしばしば買います。旅の思い出とするだけでなく、授業の教材として使うこともあります

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