Udo Shigeharu

有働 慈治 教授

所属
工学部
応用物理学科
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専門分野

超高エネルギー宇宙線物理学

キーワード

Profile

生年/1975年
出身地/千葉県
愛読書/『宙の名前』『全天恒星図』
趣味/天体観測、カメラ、自転車
休日の過ごし方/洗濯、掃除、買い出し
好きな食べ物/泡盛、かりんとう

物理を学ぶ醍醐味は、解明していない現象を 根気強く調べ続けることだと思います。

宇宙から飛来する「宇宙線」を調べる研究

宇宙空間には「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーの放射線が飛び交っていて、宇宙線は常にこの地球にも飛来しています。ただ、銀河や太陽の磁場の影響を受けて進路を曲げられてしまうため、銀河系の中では宇宙線の動きを予測するのが難しく、どこからどのように地球に飛んでくるか、いまだに分かっていません。
宇宙線の存在が確認されたのは約100年前ですが、それ以来多くの研究者たちが、地上にたどりつく宇宙線について調べています。宇宙線の動きが解明されれば、銀河磁場や太陽磁場の特徴を知る手がかりを得ることもできるのです。私が所属している研究グループでも、アメリカ中西部の標高1500メートルの荒野に、30㎞四方にまたがる実験装置を設置し、飛来する宇宙線を計測しています。私も年に一回、一カ月ほど滞在して実験に参加しています。
宇宙線を専門に選んだきっかけは、さかのぼってみると、子供の頃に田舎で見た星空だったように思います。絵本で見た星座と同じものが夜空に浮かんでいることに面白さを感じたのが始まりで、天文学に惹かれて高校では天文部に入部しました。同時に、授業で学んだ物理にも興味がわいて、大学は物理学科で学びました。研究室を選ぶ際に宇宙線の研究を知り、従来の天文好きと相まって専門の道に選び、その後大学院に進んで、今に至るまで研究を続けています。
宇宙物理に限らず、物理を学ぶ醍醐味は、解明していない現象を根気強く調べ続けることだと思います。そして、たとえ解明されてもそれが何の役に立つかは分からず、"分からないから面白い"ところが物理の魅力なのかもしれません。

自分の選択に自覚と責任をもって

物理学教室には、工学部で学ぶ学生の皆さんに物理の基本的な知識を身につけてもらうためのカリキュラムが用意されており、現在は「物理学実験」「物理学 I・II 」の授業を受け持っています。「物理学実験」では、毎週ひとつの実験テーマに取り組みながら、"実験装置の扱い"に慣れ、"実験データの統計処理法と精度の評価方法"を学び、"決められた形式を守りつつ、他人に伝わる論理的なレポートを書く力"を習得してもらいます。これは工学部の学生にとって卒業研究に不可欠な素養なので、その意識をもって受講してほしいと考えています。「物理学 I・II 」は再履修者対象のクラスを担当しているため、予習や宿題は課さないようにしていますが、数学や物理への苦手意識を克服してもらうため、ショック療法的に数式の多い板書をしています。本来の物理の面白さはそこにはありませんが、たくさんの数式を書いて慣れることも必要です。
工学部の学生の中には「物理が苦手」という声も聞きますが、自ら学部を選択した以上(たとえそれが周囲に流された結果であっても)、その選択に自覚と責任をもって勉強してほしいです。かくいう私も、数学が苦手なのに物理学科に進んでしまったため、入学後は選択を誤ったような気持ちで過ごしました。成績もからっきしで毎年留年の危機でしたが、その不勉強さの自覚が、大学院進学の原動力にもなりました。いっとき選択を誤ったと思っても、自分が選んだ結果だという自覚があれば、いずれ道は開けるはずです。

高エネルギー粒子観測研究室

粒子検出器の研究・開発で、超高エネルギー粒子の起源を追う

宇宙では、至るところに高エネルギーの粒子「宇宙線 (Cosmic Ray)」が飛び交っています。その中でも特にエネルギーが高い「最高エネルギー宇宙線」は、宇宙線がどうやって高いエネルギーを得て、どこを通って地球までやってきたのか、謎に包まれたその正体を知る手がかりになると期待されています。 本研究室では、アメリカ・ユタ州の砂漠地帯で行われているテレスコープアレイ実験に参加し、最高エネルギー宇宙線の観測による宇宙線発生起源の探索や、銀河間・星間空間での宇宙線伝播の研究をしています。

Photos

  • 砂漠や雪原で宇宙線の計測実験を行うことも多いので、ドライバーやペンチがひとまとめになっているマルチツールを携帯している

  • 研究グループで宇宙線の計測実験を行っているアメリカ・ユタ州で撮った星景写真。夜中の観測を抜け出して撮影にいそしんでいる

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

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