Matsuda Kazuyuki
松田 和之 教授
Profile
出身地/兵庫県姫路市
血液型/O型
趣味/公園散策、街角探索
子供の頃の夢/よく覚えていませんが、科学者になりたいと考えたこともあったと思います
好きな食べ物/瀬戸内で育ったせいか、魚介類をよく食べる
「物理」の醍醐味は、新しい現象を見つけること。 そして、そのメカニズムを突き詰めていく面白さです。
新しい現象が潜むナノスケールの世界
皆さんもよくご存じの通り、コップに入れた水は0℃になると結晶化して凍ります(これを凝固点といいます)。それでは、コップの直径をナノメートルサイズまで小さくした場合、凝固点は0℃のままでしょうか?答えはNOです。まず、直径が数ナノメートルくらいまでは、小さくなればなるほど凝固点は低くなります。しかし、直径をさらに小さくして1ナノメートル以下にすると、凝固点は約マイナス80℃を示した後、今度は反対に急激に高くなることが、カーボンナノチューブを使った最近の研究で明らかになりました。現在確認されているもっとも高い凝固点は27℃です。つまり、直径の小さなカーボンナノチューブの中の水は室温でも凍ってしまうのです。この時できた氷は、私たちがよく見る “普通の”氷とは、異なる結晶構造をしています。
「ナノ」とは10のマイナス9乗倍の大きさを指し、1ナノメートルは10-9メートルとなります。こう言われてもピンとこないかもしれませんが、ナノメートルサイズの世界は、通常の可視光による光学顕微鏡では見ることができず、代わりに電子線を用いる電子顕微鏡でようやく確認できるほどの極小の世界です。そしてその世界には、人間の目に見えるサイズで起こる現象とは、まったく異なる現象が潜んでいます。私は、こういった新しい現象を見つけ出し、メカニズムを解明する研究に取り組んでいます。その新しい現象を利用し、次世代のIT技術を支えるコンピュータの電子デバイス、燃料電池などエネルギー分野、癌治療を始めとする医療など、私たちの生活に役立つモノを創出する分野が「ナノテクノロジー」です。
物理の醍醐味は、このように新しい現象を見つけることです。そして、そのメカニズムを突き詰めていく面白さにあります。もちろん、地道にデータを取ったり解析したりする作業には根気と忍耐が必要です。しかし、自分の想像通りの結果が得られた時はもちろんのこと、予想外の結果が出た場合でも、そこからまた、新しいチャレンジをしながら研究を進める楽しみもあります。
疑問に思ったことは、納得いくまで調べ考え抜く
担当する授業では、学生の皆さんが興味を持ちやすいよう、できるだけ実生活に密着した分かりやすい現象をとり上げ、また最先端の科学の紹介も交えながら、写真や動画を使って講義しています。また、基礎科目としての物理学で勉強することと、各自が進みたい専門分野との関わりをイメージしやすいよう心掛けています。たとえば「物理学実験Ⅰ」では、どの分野に進んでも必要となる実験データ解析の技術を身に付けてもらうため、振り子を使った重力加速度の測定などの実験を行いながら、“実験には調べる目的や実験を必要とする背景があり、これを踏まえて実験を行い、その結果を考察する”といった実験の基礎的な流れを学んでもらいます。
大学時代は、旅行や部活動、サークル活動、アルバイトなど、勉強以外の経験をするのも大事なことで、時間の管理も大変でしょう。すべての授業に全力を注ぐことは難しいかもしれません。けれど、何かひとつでもいいので、“これ”と決めた分野にしっかりと向き合い、確実に自分のものにしてほしいと思います。そのために、講義や実験で疑問に思ったことは、まずは自ら納得いくまでとことん調べ、考え抜くことです。本学の図書館は大変充実しているので、大いに活用してください。それでもまだ答えが見つからない場合、先生に質問すれば、一気に疑問が解消されるでしょう。このようにして問題を解決していく姿勢は、社会に出てからどのような道に進んでも、必ず役に立つはずです。
電子物性研究室
極小の世界で起こる現象のメカニズムを解明する
物質の構造をナノスケールで制御することにより、その物質に新しい性質を出現させることができます。たとえば、カーボンナノチューブは、原子1個分の厚さの炭素原子シートを巻いて数ナノメートル直径の筒にすることで、軽量で強靭な特性を実現しており、またその巻き方を変えることで電気特性も変えることができます。ナノスケールの世界は、通常の光学顕微鏡では見ることができない世界。そこには、人間の目に見えるサイズで起こるものとは全く異なる現象が潜んでいます。当研究室は、こういった現象を見つけ出し、そのメカニズムを解明する研究に取り組んでいます。ナノサイエンスは、次世代の電子デバイスや、燃料電池、がん治療を始めとする医療分野などに幅広く役立つ研究分野です。
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