
Nishijima Kyoshi
西嶋 恭司 特任教授
- 所属
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工学部
応用物理学科
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- 専門分野
ガンマ線天文学、宇宙線物理学、高エネルギー宇宙物理学、ニュートリノ物理学
- キーワード
Profile
出身地/三重県
子供の頃の夢/プロ野球選手
趣味/山歩き
休日の過ごし方/山行
好きな音楽/1970年代のフォークソング
超高エネルギーガンマ線を観測し、遠く離れた銀河を飛び交う宇宙線の起源に迫る。
「活動銀河核」には宇宙の進化を解き明かすヒントがある
私たちの遥か上空に広がる宇宙空間では、“宇宙線”と呼ばれる超高エネルギーの粒子が飛び交っています。その正体は物質を構成する原子核であり、地球にも多くの宇宙線が到来しています。しかし、それがどこからやってきているのか、宇宙線が発見されてから100年以上経った現在でもよくわかっていません。この宇宙線の起源を明らかにすることが、私の取り組んでいる宇宙物理学の研究の最終的な目的です。
宇宙線の起源を特定することが困難な要因のひとつとして、磁場の影響を受けることが挙げられます。原子核である宇宙線は電気を帯びているため、宇宙空間の磁場によって回転してしまうのです。このため、宇宙線そのものを観測することが非常に難しい。そこでヒントを示してくれるのが、宇宙からまっすぐに飛んでくるガンマ線です。宇宙線が別の宇宙線やガス、物質などと衝突することによって、ガンマ線が形成されることがわかっています。つまり、ガンマ線を観測すれば、宇宙線にもたどり着ける可能性があるということです。
超高エネルギーガンマ線は地球の大気と衝突し、シャワーのように地表に降り注ぎます。私の研究では、地上にある大型望遠鏡で観測されたガンマ線について、それが宇宙線に由来するものなのかを調査しています。
私が研究対象としているのは、「活動銀河核」と呼ばれる天体です。これは、銀河系の彼方にある特に活動的な銀河の中心部のこと。そこには太陽の質量の約1億倍にも及ぶ巨大なブラックホールが存在し、宇宙の進化や銀河の形成に大きく関わっているとされています。そこで、活動銀河核における超高エネルギーガンマ線の放射領域を特定することによって、宇宙線、ひいては宇宙の起源を解き明かしたいと考えています。
もちろん、ガンマ線を研究するだけでは、宇宙の起源の全容を明らかにすることはできないでしょう。しかし、世界には光や電波、ニュートリノ、重力波など、さまざまな観測手段を用いて謎に立ち向かっている研究者たちがいます。天文分野では国際的に情報を共有する体制が整っており、私もチームの一員であることを意識しながら研究に取り組んでいます。
研究者として大事なのは、データと真摯に向き合う姿勢
私の専門分野では、毎日のように新しい発見があるわけではありません。しかし、調査を重ねることでわからなかったことが理解できた瞬間や、小さな発見を積み重ねることにやりがいを感じています。宇宙物理学の研究は、人間の好奇心を満たし、心を豊かにするという点で大きな価値があります。授業では天文学の基礎的な内容を教えていますが、宇宙で起きている現象の多様さと不思議さ、そしてそれらを解明しようとする人間の努力や叡智に触れてもらいたいと思っています。
また、物理学の実験に関わる際には、誤差を推定することの重要性を伝えています。宇宙規模の研究をしていると、わずか数%の誤差で結果がひっくり返ることがあります。しかし、自分の期待する結果が得られた時には、その誤差を見なかったことにしたくなるかもしれません。そこで大切になるのが、データと真摯に向き合う姿勢です。先入観に流されず、さまざまなアプローチを通じて誤差をゼロに近づけていく。私は研究者として、この考え方を最も大事にしています。
世の中には擬似科学が蔓延しており、それが偏見を助長している側面もあります。学生の皆さんには、多様な価値観に触れ、科学による成果と擬似科学を区別する判断力、そして正しい倫理観を身につけてほしいと思います。その過程には、きっと多くの失敗があるはずです。しかし、チャレンジせずに後悔するよりも、やってみて失敗するほうが、その経験を次に活かすことができます。ぜひ海外にも飛び出し、背景や価値観の異なるさまざまな国の人々と議論して、自分の視野を広げてください。

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