Sugiyama Munetaka

杉山 宗隆 特任教授

所属
化学生命学部
生命機能学科
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専門分野

植物生理学、分子遺伝学、細胞生物学、植物組織培養、器官形成・再生、パターン形成、数理モデル、RNAプロセシング

キーワード

Profile

出身地/岐阜県

植物の高い再生能力の基盤となる発生の柔軟性と形づくりの自律性の謎に迫る。

植物はなぜ組織の秩序が乱されても再び形をつくり直せるのか?

私が研究しているのは、植物がどのように形をつくり、細胞がどのように属性を変えていくのかという生命の仕組みです。植物生理学、分子遺伝学、細胞生物学、発生生物学などを横断する研究分野になります。

生物は、受精卵というひとつの細胞から始まり、細胞分裂を繰り返しながら体をつくります。植物の場合は、根、茎、葉、花のように、決まった形と働きを持つ器官をつくります。私は、この「形ができる仕組み」に関心を持ってきました。特に注目しているのは、植物が組織としての秩序を乱された状態から、再び形をつくり直す力です。簡単にいえば、茎を切って、土に植えれば、また根が生えてきたりする力です。植物の細胞には、根や葉などをつくったあとでも、刺激を受けることでもう一度未分化な状態に戻る力があります。これを「脱分化」といいます。さらに、そこから再び植物の形ができていく過程には、細胞の集団が自ら秩序をつくっていくような、しなやかで安定した仕組みが働いていると考えられます。私は、植物の高い再生能力の基盤となっている、こうした発生の柔軟性と形づくりの自律性に注目して、研究を行っています。

実際の研究では、植物組織培養の技術を用いた生理実験や遺伝学的・分子生物学的な解析によって、この柔軟性と自律性を支える機能を調べています。また数理生物学的手法による研究にも取り組んでおり、例えば、葉の配列パターンを数理モデルで調べたりしています。植物の葉はでたらめについているのではなく、一定の規則性を持っています。らせん配列における葉と葉がなす角度が、黄金角(円周を黄金比で分割したときの中心角度=約137.5度)付近に集中することなどがよく知られています。一方で従来の理論では説明できない配列を示す植物もあり、植物が自律的に形をつくる仕組みに関しては、そうした例外的なパターンも重要な手がかりとして研究を進めています。

私の研究はすぐに役立つ技術をめざすというより、生命の柔軟性と形づくりの原理を理解することが中心ですが、植物の再生の仕組みがわかれば、再生しにくい植物を再生させる培養方法の開発、挿し木や葉挿しなどの栄養繁殖の広範な適用、遺伝子導入やゲノム編集による植物改変のための基盤整備などにもつながります。

中学校や高校の理科教員のめざす学生に「教える技術」を伝える

化学生命学部では、「教科教育法Ⅲ・Ⅳ(理科)」などの授業を担当しています。将来、中学校や高校で理科を教えることをめざす学生が、授業の組み立て方や生徒への伝え方を学ぶ科目です。

この授業を、校長職も務められた高校教育の経験が豊富な先生とペアで担当しています。授業全体の流れや指導案の作成、学校現場をふまえた教育面の助言は、教育経験の豊富な先生が担います。私は、実験の内容や条件、授業のなかで実験をどう扱うかについて、専門的な立場からサポートしています。

授業では、学生が交代で教師役となり、他の学生は生徒役になって模擬授業を行います。単なる座学中心ではなく、実験を含む50分の模擬授業を一人一人に担当してもらい、その後、内容や進め方についてディスカッションを行います。実験の条件は適切だったか、説明はわかりやすかったか、生徒がどこでつまずきそうか。こうした点を振り返りながら、理科を教える力を実践的に身につけていきます。

理科では、知識を覚えるだけでなく、自分の目で見て、手を動かし、結果を考えることが大切です。だからこそ、教職をめざす学生には、実験を取り入れた授業を自分で計画し、実際に行う経験を大切にしてほしいと思っています。理科を教える人には、まず自分自身が自然現象を面白いと感じることが必要です。その感動があってこそ、生徒にも理科の魅力を伝えられると考えます。ぜひ、「楽しむ心」を大切にしてほしいと思います。

「自分で選び取った学び」を大切にしてほしい

学生の皆さんには、自然現象を当たり前だと思わず、その不思議に目を向けてほしいと思っています。疑問を持つ力は、まずよく観察することから育ちます。例えば、私の研究では、植物の葉の並び方には、さまざまなパターンがあることがわかります。なぜこの植物は普通と違う並び方をするのか。そうした小さな疑問から、探究は始まります。これは研究者だけに必要な姿勢ではありません。将来、理科の教師になる人にとっても、自分自身が自然を面白がれることは大切です。教師が現象に驚き、その背景にある仕組みに興味を持っていれば、その感覚は生徒にも伝わります。

もうひとつ大切にしてほしいのは、「自分で選ぶ」という経験です。大学では、どの授業を取るか、どの研究室に進むか、どんなテーマに取り組むかなど、自分で選ぶ場面が増えます。選ぶことには迷いや負担もあります。それでも、選ばなければ始まらないことがあります。もし間違ったと思えば、次に違う選択をすればよいのです。よく考え、「自分で選び取った学び」を大切にしてください。その積み重ねが、将来どの道に進むとしても皆さんの土台になるはずです。

Photos

  • 植物の写真:植物が新しい葉を出す時、その葉は一般的には前の葉と一定の角度を取り、結果として葉の配列は螺旋対称性を示します。それに対し、この「コクサギ(Orixa japonica)」は、角度が周期的に変化し、螺旋対称性を欠いています。私たちはその解析から、葉の自律的パターン形成機構の新しい側面を解明しました

  • 20年以上使っているオリンパスの蛍光微分干渉顕微鏡です。長年の酷使に耐えて、今も現役で働いてくれています

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