
Arai Naoki
荒井 直樹 特別助教
Profile
出身地/神奈川県川崎市
子供の頃の夢/研究者
趣味/山登り、サイクリング、テニスなど体を動かすこと
好きな食べ物/お寿司
食虫植物の「消化酵素」を遺伝子から研究。 生物の不思議な生態を解明したい!
機能性食品や耐病性作物の開発に貢献できるかもしれない
虫をおびき寄せて捕らえ、消化・吸収した栄養を成長に役立てる「食虫植物」。私が研究しているのは、この食虫植物が消化に用いている「消化酵素」です。人間が胃の中でタンパク質を分解する酵素を出すのと同じように、食虫植物も胃のような機能をもつ葉から虫を溶かす酵素を出し、分解した栄養を吸収しています。この酵素の種類は何なのか、いかにして酵素を葉から発現できるようになったのかを遺伝子から分析します。
分子生物学ではふつう、生物一般の原理を解明することを最終目標としています。マウスやシロイヌナズナといったモデル生物が世界中で研究され、蓄積された情報から普遍の原理を探究するイメージです。ところが、生物多様性を踏まえるとモデル生物だけでは生物全体を理解できない。そこでようやく、モデル生物以外の生物を研究する動きが出てきました。「食虫植物」もそのひとつです。
私が注目する食虫植物の消化酵素は、病原菌への抵抗性を持つものがほとんどです。この酵素の元となるタンパク質を利用すれば、病気に強い作物ができるかもしれません。また、過酷な環境で生息する食虫植物の葉の上にいる乳酸菌が、機能性食品の開発に役立つ可能性もあります。これまで解明されてこなかった食虫植物の特性を、私たちの生活に活かすことができると考えています。
そんな私が生物を研究しようと思ったきっかけは、幼少期に山で拾った植物の種を育てたり、川の魚を獲って飼ってみたりする中で生物のおもしろさに気付いたからでした。ですから、いわゆるモデル生物ではなく山や川で出会う個性的な生き物を研究したかった。進学した大学には食虫植物を専門とする研究室があり、ぜひその不思議な生態を解明したいという思いで研究に参加し、今に至ります。
生物の多様性を知り、感性を磨いてほしい
学生のみなさんは大学を卒業後、それぞれの道を進まれるでしょう。専門的な知識はいつか忘れてしまうかもしれませんが、生物を研究することで得られる感性はその先の人生においても大切にしてほしいと思っています。例えば、道に生えている花の名前を知らなければそれを「花」としか認識しませんが、名前を知っているだけで見方が変わり、日々が少し豊かになるはず。今、盛んに生物多様性の保全が叫ばれていますが、生物の種を区別できて初めて多様性も理解できます。世界にはこんなにおもしろい生物がたくさんいるということがわかれば、どう保全すべきか、どう行動すべきかを自発的に考えることができるでしょう。授業では、こうした感性を育てていけたらと思っています。
大学4年間は人生の中で最も自由に時間を使えるときです。ぜひさまざまなことに挑戦して自分の好きなことを見つけてください。好きなことを仕事にできれば、それが一番大きな幸せになると思うからです。挑戦といえば、長期の休みを利用して外国も訪れてほしいですね。私は学生時代にミクロネシア島を訪れ、自分の常識を疑うことができました。感受性豊かな時期だからこそ異文化にも触れてみてください。

植物遺伝育種学研究室
ゲノムを読み解き生命の進化や多様性を探求
ヒトはどんな植物を食べ、どんな植物を飾り、どんな植物を生活に利用しているか、一緒に考えてみませんか。例えば、お米は食用以外にも日本酒の原材料にも使われますね。私たちが日頃お世話になっている多くの植物は、進化の産物であり、さらに現在では品種改良の産物でもあります。私たちの研究室では、植物の品種改良、そして進化についてDNAレベルでの研究を行っています。DNAに記された、通常は目では見えない遺伝情報を読み解き、よりよい植物の開発に貢献したいと思っています。さらには高校生に向けた理科実験プログラムの開発を行っています。理科好き、生物好きの若い人が増えるようにと取り組んでいます。
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