Yamashita Yuji

山下 裕司 教授

所属
化学生命学部
生命機能学科
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専門分野

薄膜、表面界面物性、生物物理、化学物理、ソフトマターの物理、ナノ構造物理、皮膚科学

キーワード

Profile

出身地/岡山県
子供の頃の夢/甲子園の選手
尊敬する人/プロフェッショナル
愛読書/歴史小説
趣味/天日塩の収集
休日の過ごし方/散歩、料理、フットサル
好きな音楽/「希望の轍」(サザンオールスターズ)、「三日月」(絢香)
好きなTV番組/『ダーウィンが来た!』、『プレバト!!』(俳句)
好きな映画/『魔女の宅急便』、『Léon』
好きな食べ物/レバーケーゼ、卵ご飯

製剤と皮膚の双方からアプローチし 化粧品の品質向上に貢献する

化粧品が皮膚に作用する仕組みを解き明かす「コロイド界面化学」

皆さんは化粧品やスキンケア用品を購入する際、何を基準に商品を選択していますか? 色や匂い、成分、感触などから判断し、自分の好みや肌質に合ったものを選び取っているのではないでしょうか。私は現在、こうした化粧品づくりの基礎となる研究を行っています。主に対象としているのは、スキンケアやボディケア、ヘアケアに関わる液状の化粧品の製剤です。

化粧品とよく比較されるのが医薬品です。医薬品は効き目優先でつくられますが、化粧品には即効性の効き目があってはなりません。こうした化粧品の機能をコントロールするために、化粧品そのものだけでなく、それがどのように皮膚に作用していくのかというメカニズムについてもあわせて研究を行っています。

ここで力を発揮するのが、私の専門分野である「コロイド界面化学」です。コロイド界面化学は、「コロイド化学」と「界面化学」から成り立っています。コロイド化学は人の目に見えない小さな粒子を研究する分野。粒子はこの世界に無数に存在し、化粧品のなかにもさまざまな物質の粒子が含まれています。一方の界面化学は、皮膚の表面の濡れやすさなど、物質と物質の境界面における相互作用を扱う分野です。この2つの分野を組み合わせることによって、総合的なアプローチから化粧品の品質向上や有用性に貢献することができるのです。コロイド界面化学は化粧品に限らず、医薬品や食品など、多様な分野で活用されています。私の場合は化粧品に絞ってメーカーや研究機関との共同研究を進めていますが、研究成果が幅広い場面で応用されることがこの分野の特徴です。

知らない世界へ飛び込むことが、自分で考える力を育む

私が担当している「香粧化学」という授業では、化粧品を科学的にとらえる上で必要な基礎知識を教えています。具体的には、化粧品原料の種類と役割、コロイド界面化学の基礎、皮膚・毛髪の構造と生理学、経皮吸収、化粧品の有用性と安全性などが主な内容です。

授業では、一方通行の講義形式ではなく、積極的に学生に質問を投げかけるようにしています。というのも、自ら疑問に思い、考える力が、社会で必要不可欠だからです。「顔に塗るだけで若返る」「永遠に美白をキープできる」といった効果を謳う化粧品の広告のように、科学的に根拠のない情報をしばしば目にします。化粧品に関わる法律(医薬品医療機器等法)を理解していれば、このような情報に流されることはないでしょう。授業では、化粧品に関する正しい知識を身につけることも当然ですが、科学的かつ論理的に自ら考える力を養ってほしいと考えており、そのような環境づくりを試みています。

 

自分の考えを成長させるために、時には知らない世界に飛び込んでみることも重要です。私は学生時代にドイツ留学を経験し、大きく価値観が変わりました。ドイツには研究を目的に留学しましたが、そこで知り合った研究室の仲間(ドイツ人学生のほか、多国籍の留学生)をはじめ、音楽や法律、言語学など全く専門の異なる学生との交流がありました。彼らとの交流を介して、日本ではあまり興味のなかったサッカーや音楽、ヨーロッパの歴史に触れ、考え方の尺度が拡がったように思います。また、海外の人と話すうちに、自国の歴史について何も知らないことを痛感し、歴史小説や大河ドラマに触れ、出張先や近所の史跡を巡るようになりました。そうした変化が、現在の私の生活や考え方に影響を与えてくれています。

大学に入る時には「これがしたい」という目標を立てることは大切です。ただ、勉強するうちに興味が変わったり、思いがけない出会いで目標が変わることはしばしばあります。私の人生も転機は何度かありましたが、学生の皆さんにも自分の意思でベストな道を選び取ってほしいと思います。

化粧品ナノデザイン研究室

ナノサイズの自己組織体と界面現象をコントロールし、新たな付加価値を生む

当研究室では、化粧品というモノの観点(製剤化研究)、化粧品を塗布される皮膚の観点(皮膚科学研究)、そして化粧品から皮膚へ物質を届ける観点(経皮吸収研究)から、総合的な化粧品科学を探究しています。多くの研究テーマが外部の研究機関や企業との共同で取り組まれており、一部はヨーロッパの研究グループと連携して進めています。 2023年4月に新設された研究室であり、現在は学部4年生3名と9月末に配属された学部3年生4名が所属しています。日々の研究活動に加え、ゼミ合宿や学会発表、スポーツ大会などのイベントも計画しており、"何事も楽しく、全力で!"をモットーにしています。

Photos

  • 界面活性剤でつくった構造色のオブジェ。ドイツ留学時の指導教員から卒業祝いとしていただいたものです。2000年頃に作製された物ですが今でも綺麗な構造色を呈しており、研究室で大事に飾っています

  • 大学時代からお世話になっている偏光板です。サンプル観察に必須の器具で、光学複屈折という物理現象を検知することができます。研究サンプルから化粧水まで、何でも偏光板を通して覗いてしまいます

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

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