Akasaka Shingo

赤坂 信悟 特別助教

所属
工学部
経営工学科
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専門分野

社会システム工学、安全システム

キーワード

Profile

出身地/神奈川県逗子市
子供の頃の夢/報道ヘリカメラマン
尊敬する人/両親
愛読書/SF小説
趣味/ドライブ、フィルムカメラ、旧車整備
休日の過ごし方/温泉・飲食店巡り
好きな音楽/中島みゆき、椎名林檎
好きなTV番組/『ドキュメント72時間』
好きな映画/『The Italian Job (1969)』
好きな食べ物/ネギトロ丼(三崎漁港)

生産技術研究部門における実務経験を活かし、経営工学の観点から企業や環境に貢献する。

個別受注設計生産のシステム構築と循環型部品再利用システムの提案に注力

皆さんが製造業の会社を経営する立場になったとしたら、どのように理想のビジネスを実現させるでしょうか? 売上や利益を伸ばすことを最優先に考えるという人も多いかもしれません。売上を伸ばすためには、商品の生産量を増やして多く販売すればいいでしょう。しかし、工場で生産できる量には限りがありますし、人員やコストも必要になります。また、どれだけつくっても売れ残っては意味がないので、市場の需要を予測することも重要です。さらに、現代の企業経営には、環境や社会への影響についても深く考える姿勢が求められています。こうした経営の課題を工学的なアプローチで解決し、効率的・合理的な経営システムを検討する学問が、私の専門とする経営工学です。勘や経験でビジネスをするのではなく、その背景にあるデータを用いて効果を証明する。まさにデータサイエンスの先駆けともいえる学問領域ですね。

私はもともと日立製作所に勤務しており、長年にわたって生産技術の研究に注力してきました。この経験を活かし、現在は生産や流通のマネジメントといった、経営工学の根本となる研究に取り組んでいます。特に関心を持っているのは、個別受注設計生産、つまりオーダーメイドのシステム構築です。大規模なプラントや工作機械、産業設備など、一つひとつを設計・製造する生産方式を進化させ、量産品並みに効率化する、マスカスタマイゼーションを目指しています。マスカスタマイゼーションのなかでも、高いサービス効率や生産性を維持できる新しい生産方式やグローバルな生産・販売・物流システムを開発することが、私の大きな役割です。

近年はSDGsの観点から、製品を売った後に回収して再利用し、部品のリユースを最適に行えるような循環型生産・流通システムの研究にも取り組んでいます。具体的には、実務時代のつながりを活かしてリチウムイオン電池メーカーとの企業連携を推進。自動車などで使用されたリチウムイオン電池が廃車時に捨てられてしまうという課題に対して、フォークリフトや家庭用電源などで二次利用し、最終的には材料としてリサイクルするための仕組みを研究しています。これは一見すると理想的なモデルですが、その過程で回収・修理のコストが増加するという課題もあります。そのため、サブスクリプションの仕組みを導入するなど、新しいビジネスモデルの可能性も検討しています。

“机上の空論”ではなく、実証的なアプローチを重ねることが重要

経営工学は企業の意思決定に寄与するという点で経営学に近い学問ですが、すべての理論が計算に基づいており、工学系の知識も求められる領域です。“机上の空論”ではなく、実証的なアプローチを重ねることが特徴であるといえるでしょう。私の研究室ではこうした経営工学の本質に触れることを重視しており、企業から提供して頂いたデータに基づいて、実際の経営課題を解決することをめざしています。

また、私の担当する「経営工学実験実習Ⅰ」では、実感を持ちながら知識を深めてもらうために、「ビジネスシミュレーションゲーム(ERPsim)」を実施しています。これは、学生たちが仮想の企業を運営して収益を競い合うというもの。生産計画が悪いと製品が提供できずに売り上げが上がらない、部品・素材などを過剰に仕入れると在庫コストが嵩み倒産してしまう……といったように、販売・製造・調達の各部門における意思決定の難しさを体験してもらっています。

大学での実践的な学びを通じ、学生たちには問題点に気づくセンスを磨いてほしいと考えています。問題が特定できれば解決策は自ずと導けることが多い。そして、本当の問題を知るためには、実際の現場に足を運ぶことが大切です。こうした思いから、工場見学や企業へのインターンシップの機会などを積極的に設けるようにしています。

大学生活の数年間は、気がつけばあっという間に終わってしまいます。その貴重な期間中に、何かひとつでも打ち込んだといえる経験をつくりましょう。私の周囲を見てみても、何かに熱中した経験がある人の方が、将来的に充実した人生を送っているケースが多いように感じています。

生産・流通マネジメント研究室

モノ・コトづくりで、新しい価値を創造する

当研究室では、産業機械や製造設備など、顧客別に都度設計・製造する製品であっても、量産品並みの効率で生産・提供できる新しい生産方式やグローバル生産・販売・物流システムを研究対象としています。さらに、限りある地球環境の中で人類が継続的に進歩していける『SDGs』を踏まえ、製品販売後のライフサイクル全体(保守や回収・再利用など)まで、研究の対象を拡張し、部品のリユースを最適に行えるような循環型生産・流通システムの開発も行なっています。ほとんどの研究テーマは、実際の製造メーカーと連携した「現地・現実・現物」三現主義を貫いています。

Photos

  • 愛車の2000年型ローバーミニ1300CC。25年にわたり、あらゆる機械部品は摩耗故障の宿命を負っている(必ずいつか壊れる)、可用性を維持するためには部品リユースなどの循環型システムが前提となる、といったことを体感させてくれる良い先生です

  • 『Factory Physics』という、研究室の院生向け教科書。生産システムの運用設計方法に関して、理論的・実践的な解説がバランスよく行われており、生産マネジメント分野では「ありそうでなかなかない」、代表的な教科書です

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

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