Kubotani Hiroto

窪谷 浩人 教授

所属
工学部
経営工学科
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専門分野

計算機科学、数理物理学

キーワード

Profile

出身地/石川県金沢市
趣味/カーリング観戦
子供の頃の夢/新聞記者
尊敬する人/佐藤文隆(宇宙物理学者)、橋口譲二(カメラマン)、小林宏(日本カーリング界の第一人者)
愛読書/『うしおととら』『風の谷のナウシカ』
休日の過ごし方/そうじ、料理
好きな映画/「ニューシネマ・パラダイス」「シャレード」
好きな音楽/ガーネット・クロウ、ZARD、浜田省吾
好きなTV番組/「ネプリーグ」「ONE PIECE」

身近な現象にも目を向ける。 それが21世紀の物理学の進む道。

遠い宇宙は意外とシンプル。それよりも身の回りの現象の方が複雑

ここ最近、物理学に少し注目が集まりました。
その理由の一つは、ドラマや映画になった「ガリレオ」の主人公、湯川学が天才物理学者だったこと。ガリレオこと湯川先生は私とはタイプが違いますが(笑)、彼のように計算を始めたら止まらなくなる物理学者は実際にもけっこういるので、あの描かれ方は演出過剰なようでいて全くのうそでもありません。
それからもう一つが、2008年のノーベル物理学賞を3人の日本人物理学者が受賞したことです。受賞対象となった研究が30~40年前に発表されたものだったということも話題になりましたが、20世紀はまさに物理学の時代だったと言えます。
ニュートンが活躍した17世紀頃から形が整えられてきた物理学は、現象を理解するためにはその要素を分解してパーツの一つについて徹底的に調べ、そこから全体を予測して理解するという、要素還元的な見方によって20世紀に大きな成功を収めました。この手法によって、19世紀には未知だった原子・分子以下のミクロな世界への理解が飛躍的に進み、自然科学を引っ張って行く役割を果たしました。これらの知識は、電流の制御やレーザー技術などの形で身の回りのあらゆるものに活用されています。
その一方で、要素還元的な見方ができない事柄については、物理学の研究の対象としない傾向にありました。宇宙の始まりや目に見えない粒子を理解することは難解そうでいて、それらの問題も分解してしまえば意外とシンプルなのです。けれども、私たちの身の回りを見渡せば、いろいろな物事が複雑に絡み合っていて単純ではありません。自然の風景はさまざまに変化流転し、生命現象はとても複雑です。それでいて自然は生物など多種多様な形あるものを創り出します。こうした事柄は、「一部分を分析して全体を予測する」という手法では理解できないため、これまでの物理学では関心を向けられてこなかったのです。
私たちの目の前で起こっていることにもっと関心を向け、複雑に絡み合った自然現象を新しい物理学の視点で理解し、その成果を役立てて行くことが、21世紀の物理学の進む道だと考えています。

どこに向かうか分からない人生の不思議

これまでの要素還元的な見方ができない現象を理解するためには、コンピュータが役に立ちます。コンピュータを使って、自然現象をシミュレーションしたり、自然界に埋め込まれた情報を整理したりできます。私も研究でスーパーコンピュータを使用していますし、授業では「情報機器活用」「情報科学基礎」「情報処理演習I」などコンピュータに関するものを担当しています。
けれども、実は大学時代、「コンピュータに何ができる?」と疑い、「オタクっぽくてなんだか嫌だ」と毛嫌いしていて、大学院で本格的に研究を始めるまでは、キーボードに触ったことすらありませんでした。それが今では、人にコンピュータを教える立場にいるとは!
それにも増して感慨無量なのは、大学教員としてもう10年以上も過ごしていることです。大学院に進学したものの、研究者になるよりも社会に出て人と直接接する仕事の方が向いていると思い、法律の勉強をして司法試験に挑戦していた時期もあったからです。それが、世間一般とはかけ離れた研究者生活を今もずっと続けているのですから、これも不思議なものです。

大学全体が学びの場。どんどん活用しよう

学生の皆さんには、ぜひ大学という場をどんどん活用してほしいと思います。
私は学生時代、理系らしくないことがしたくて、大学のボランティア・サークルに入り、6年間、児童福祉施設で子供相手のボランティア活動に参加しましたが、そこで多くのことを学びました。勉強面では、学内の掲示を見て経済学部学生の自主ゼミに参加して近代(ミクロ・マクロ)経済学の勉強をしていました。また、司法試験を受けようと法律の勉強を始めた時には、法学部の講義に潜り込んで活用しました。2003年に研究員制度を利用して奈良女子大学に1年間滞在していた時には、手話サークルに参加させてもらい、聴覚障害のある学生さんに手話学習の手ほどきを受けました。
大学での学びは授業だけではなく、ありとあらゆるところに学びのきっかけがあります。大学にはいろいろな人や情報が集まってくるのですから、これを活用しない手はないと思います!

非線形システム研究室

非線形科学や統計学を通して社会の動きや人の結びつきを見る

社会の複雑な動きや、その社会を構成する人と人の結びつきを対象とした研究を行っています。経済物理学や社会物理学と呼ばれる分野です。最近では、POSによる店舗の販売情報やスマートフォンの位置情報などから膨大な情報が得られるようになり、実証的かつ実用的応用が期待される分野となりました。 たとえば、社会における消費活動はたくさんの小さな消費行為が重なり、全体としては因果関係が見えない複雑な振る舞いとなっています。本研究室では、そのような社会のさまざまな複雑現象を非線形科学や統計学を用いて分析・モデル化し、現象を理解・予測する理論を構築します。そして、その有効性をデータサイエンスや数値シミュレーションによって確かめていきます。

Photos

  • 『岩波コンパクト六法』。大学院生の頃、物理学の研究以外に司法試験の合格を目指して法律の勉強をしていた。未だ合格に至らないが、欠落していた順法意識や多少のリーガルマインドは身に付いた気がする(笑)

  • 手話という言葉を通してコミュニケーションが広がればと思い、奈良女子大学の手話サークルに参加して学び始めた手話。今はテレビの手話講座や手話ニュースなどを見て独学している

  • 電子計算機が登場する前に使われていた、機械式計算機。右のハンドルを手前に回すと足し算、逆に回すと引き算ができる

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