化学は、この世界にあるすべての物質に関わる学問領域です。そのため化学は自然科学の中心的な役割を果たし、物理学、生物学、地球科学などの様々な学問領域と連携してあらゆる科学的課題に取り組み、未来を切り拓く鍵となります。
化学コースでは、理学科の多彩な科目の中から自分の興味や関心に沿って選ぶことで、幅広い教養を身につけるとともに、物理化学、分析化学、無機化学、有機化学の化学系 4 分野をバランスよく徹底的に学び、物質の構造と性質そして化学現象の仕組みを理解することを目指します。
化学は、この世界にあるすべての物質に関わる学問領域です。そのため化学は自然科学の中心的な役割を果たし、物理学、生物学、地球科学などの様々な学問領域と連携してあらゆる科学的課題に取り組み、未来を切り拓く鍵となります。
化学コースでは、理学科の多彩な科目の中から自分の興味や関心に沿って選ぶことで、幅広い教養を身につけるとともに、物理化学、分析化学、無機化学、有機化学の化学系 4 分野をバランスよく徹底的に学び、物質の構造と性質そして化学現象の仕組みを理解することを目指します。
化学を学ぶ人を化学徒と呼ぶことがあります。化学コースでは、化学の基礎に自信がない人にも、化学をより深くそしてより早く学びたい人にも、すべての化学徒が充実した大学生活を送れるカリキュラムを用意しています。
まず共通教養科目や概論科目により、化学はもちろん多彩な学問領域を俯瞰して学ぶことから始めます。つぎに基本科目により、化学系 4 分野および周辺分野を段階的に学ぶことで、化学の基本を体系的に理解して応用する力を身につけます。さらに応用科目により、理学的な素養をより深めて物質科学的な視点から工学や環境学などの分野への化学応用についても学び、社会に役立つ人材になるための教養を深めます。
1年次後期からは実験形式の授業が始まります。高校で化学実験を経験していなくても基本的な実験操作から習得できます。2・3 年次になると化学実験の難易度が上がり、より専門的な実験技術と科学的な思考力と表現力を身につけます。
3年次後期には先端化学実験と理学ゼミナールにより卒業研究に必要な基礎的な実験技術と研究を理解するための背景知識を学びます。4 年次における 1 年間の卒業研究を通じて化学者としての専門知識と技術に加え、倫理観、計画性、協調性、自己表現力、問題発見力を養い、論理的思考力、創造性、問題解決能力をもった社会で活躍できる能力を身につけます。
「化学概論Ⅰ・Ⅱ」は高校と大学の橋渡しが目的の必修科目で、化学系4分野の基礎を講義形式で学びます。「化学基礎セミナー」では、高校の化学基礎に自信がない人が復習しやすいように工夫されています。
後期から基本科目と実験科目がはじまり、実験と理論の両輪で化学を理解するスタイルを身につけます。基本科目の「物理化学Ⅰ」、「分析化学Ⅰ」、「無機化学Ⅰ」、「有機化学Ⅰ」が開講され、化学の基本を講義形式で学びます。実験科目の「化学基礎実験Ⅰ・Ⅱ」では、化学実験の安全管理や実験ノートおよび実験レポートの作成法から学び始め、高校の化学の教科書にも載る有名な化学物質の合成や化学分析などを経験し、基礎的な化学実験の技術と原理を学びます。
実験と理論の両輪で化学を理解するスタイルを加速しつつ、自分の興味や関心にも耳を傾け、将来学びたい専門分野を意識しながら知識を深めていきます。2年次では基本科目に加えて、応用科目が始まります。たとえば「環境化学」では地球環境や資源問題の現状を理解し、物質科学的な問題解決の対策技術について学びます。実験科目の「化学実験Ⅰ・Ⅱ」では実験時間が長くなり、より高度で専門的な化学実験に取り組みます。基本科目で学んだ合成法や分析法を使った実験内容もあり、自ら体験することで化学現象の理解を深めます。
体系的に化学系4分野を学ぶ最終段階であるとともに、「生物有機化学」や「高分子物性論」などの応用科目や「化学国際交流Ⅰ・Ⅱ」を通じて社会で活躍するために必要な能力を深化させます。たとえば「有機化学Ⅳ」では、有機化学の総仕上げとして逆合成解析などを学び、有機合成の考え方を習得します。
後期開始時には、研究室に配属されます。「理学ゼミナール」、「先端化学実験」が開講され、4年次の卒業研究に向けた準備が始まります。「理学ゼミナール」では配属された研究室またはいくつかの研究室の合同により、研究活動に関連する専門知識や研究の心構えなどを学びます。「先端化学実験」では、卒業研究に必要な専門的な実験操作を習得します。
4年間の学びの集大成である卒業研究に1年間かけて挑戦します。「卒業研究Ⅰ・Ⅱ」では指導教員と研究課題を設定し、日常的に個人指導を受け研究活動に取り組みます。「輪講Ⅰ・Ⅱ」では研究報告・討論・学術論文や専門書の紹介などを行い、「専門化学演習Ⅰ・Ⅱ」では卒業研究の専門知識を深めます。この1年間の研究生活は、それまでに学んだ知識や技術を用いて、正解があらかじめ設定されていない問題に対処する能力の向上と、最先端の化学技術に触れることができます。卒業研究の最終段階にある卒業論文と研究発表会を通じて豊かなコミュニケーション力や論理的思考力を養います。
高校で学ぶ化学の分野は、理論化学、無機化学、有機化学に大きく分けられますが、大学で学ぶ化学はより細分化・深化されており、理学科では40以上の化学系科目があります。化学コースでは理学科の多彩な科目から、化学の基本となる4分野(物理化学、分析化学、無機化学、有機化学)の科目を中心に学ぶためのコースです。科目の一つ一つは繋がっており、体系的に学ぶことで物質科学に関する深くて広い教養を身につけます。
物理化学系科目では、物質の性質とその変化に関わる物理的な原理に焦点を当て、分子の構造や性質、化学現象に伴う物質のエネルギー変化、反応速度などについて理解することを目指します。「物理化学Ⅰ」では、量子力学の基礎的事項を学び、具体的には原子や分子の構造やエネルギー状態そしてそれらが引き起こす現象などを学びます。量子力学は現代科学の基礎になっており、化学物質の成り立ちを理解するだけでなく、量子コンピュータや量子暗号など未来の革新的な科学技術の発展にも密接に関わっています。
分析化学系科目では、物質中にどのような成分がどのくらい含まれているかを調べるために、化学物質の分離、精製、検出およびその化学構造の同定に関するさまざまな分析手法の習得を目指します。「分析化学Ⅰ」では、測定データの取り扱い方や溶媒抽出法、クロマトグラフィーを用いた分離手法などの原理と応用について学びます。分析化学で学ぶ手法は、医療分野、環境学、食品科学や工業製品の品質管理など様々な分野で重要な役割を果たしています。そのため正確な分析技術や解析方法の習得は、科学や社会の発展になくてはならない技能です。
無機化学系科目では、主に金属や非金属元素およびそれらの化合物の構造や性質、化学現象について取り扱い、元素の周期性や結晶構造、触媒や錯体などの無機化合物の合成や特長などについて理解することを目指します。「無機化学Ⅰ」では、量子力学に基づく原子の構造と元素の周期性から学び、典型的な固体の結晶構造とその物性について学びます。無機化学で学んだ知識は自然界に存在する多様な無機物質の本質的理解を助けるだけでなく、新素材開発や触媒開発、環境・エネルギー問題の解決など幅広い分野にも応用されます。
有機化学系科目では、炭素を中心とした有機化合物の構造や性質、化学反応に注目し、有機反応の反応機構や有機化合物の合成と分析手法などについて理解することを目指します。「有機化学Ⅰ」では、非常に多くの有機反応の中から基本的かつ重要なラジカル置換反応と求核置換反応を中心に取り扱い、有機反応の反応性の基礎について学びます。有機化学は日常生活や経済発展に重要な役割を果たしており、たとえば医薬品や農薬、染料、香料、化粧品、高分子材料などの開発には有機化学の知識が必要不可欠であり、さまざまな分野での社会貢献が期待できます。
3年次の夏期集中講義として開講する選択必修科目です。神奈川大学と国立台湾大学(台北市)が隔年で主催しています。神奈川大学と国立台湾大学の学生が横浜または台北に集い、講義やグループワークにより最新化学を英語で学びます。授業中に加えて授業後や休日も学生同士が交流を深め、科学力と国際協調の両面で参加者が大きく成長する国際交流プログラムです。神奈川大学ノートにて体験記が掲載されています。
さらに化学コースでは理学系科目に加えて、工学や環境学、考古学などへの化学応用に関する授業もあります。例えば「安全工学」では、化学物質を安全に扱うための注意点や、化学工場や化学実験室で実際に起こった事故から安全に関する基礎知識を身につけるとともに、化学物質に関する法令を学びます。「文化財基礎化学」では、考古資料の計測や分析、文化財資料の保存や修復、出土した考古資料による過去の生活環境の推定など、文化財に関して化学的側面から歴史背景との関連の理解を深めることを目指します。「化学工業概論」では、工業的に生産されている化学製品について、その基礎となる化学との関連、その開発における問題点とその克服、製造工程における問題点など、実際に化学製品を世の中へ送り出すための実学的な知識を習得します。
化学コースでは、各官公庁や企業等の研究所で使用されているものと同等の、先端的計測機器が多数あります。
学部生のうちからこのような設備を使用することで、将来、実社会に仲間入りする時に即戦力として活躍できる力を養うことができます。
もしかしたら、理学の研究=役に立たない研究、というイメージがありませんか?たしかに理学部で行われている研究は「社会にすぐ役立つ」よりも「真理の探究」に重きを置いているため、そのようなイメージがあるかもしれません。しかしながら化学コースの卒業研究の中には、真理を探究しながらも社会の役に立つ成果も挙げています。たとえば…
化学の原理を理解し、社会に貢献する人材を育成するという点は共通しています。化学コースは「化学現象はなぜ起こるのか?」といった真理の探究を重視し、応用化学科は「化学現象や生命現象をどう使えるのか?」といった人類との関わりを重視しています。理学科の他のコース科目(数学、物理学、生物学、地球環境科学)や情報系科目も幅広く学ぶことができます。
高校で学ぶ化学は取り扱う範囲が非常に広いため暗記科目の印象が強いですが、大学で学ぶ化学は「考える」学問です。様々な化学物質や化学現象の基本原理を理解すれば、覚えることは最低限で足ります。それでも、化学に自信がないまま入学した学生諸氏には、高校で扱う基礎的な化学を学習できる「化学基礎セミナー」の履修を化学コースではお薦めします。
所定の科目単位を修得することで、中学校教諭一種免許状(理科)、高等学校教諭一種免許状(理科)、学芸員資格などが得られます。また所定の科目単位を修得することで危険物取扱者甲種の受験資格が得られます。
化学コースの前身である化学科の卒業生は理科の教員、国家公務員や地方公務員として活躍しているほか、多くが化学工業や医薬、食品などの企業で研究開発・品質管理・技術営業等の職種に従事しています。また卒業生の約20%が大学院へ進学し、研究者としての道を歩んでいます。卒業生のインタビューはJINDAICAREERSで読めます。
大学院に進学すると、研究活動の場が広がるとともにより高度な専門知識と技術が身につき、様々な職業の選択肢が広がりキャリアアップが促進されます。また学会発表や研究プロジェクトなどに参加する機会もあり、志を共にする他大学の仲間と交流する機会にも巡りあえます。さらに大学院を修了すると、研究者や技術者だけでなく、多くの業種・職種のキャリアパスが拓けます。多様な学問に触れ、さまざまな人々と出会い見識を広げて、4年次の卒業研究に取り組むときに大学院進学を決めても遅くありません。また、大学院生になると大学院給費生や神奈川大学出身者支援奨学金などの奨学金制度や理学研究科独自の経済的サポートも充実しています。