Profile
出身地/韓国・富川
愛読書/『ビール大全(TASTING BEER: An Insider's Guide to the World's Greatest Drink)』
趣味/ゲーム、eスポーツ観戦、街歩き
好きな食べ物/コーヒー、お酒、蕎麦、餃子
「消費者は本当に非合理的な存在なのか?」購買行動の背後にある心理的メカニズムを探る。
まずは、消費者の購買意思決定プロセスを理解する
私たちは、日常生活において様々な商品を購入します。その中で、生活必需品を除いて、買った商品の購買理由を聞かれても明確に答えられない場合があります。しかし、本当にその商品を買ったのはたまたまでしょうか。
実は、消費者の購買意思決定においては様々な外部刺激が無意識のうちに影響を及ぼします。例えば、アイスクリームのお店にいることを想像してみてください。陳列されているアイスクリームの中で、薄い色のアイスクリームと濃い色のアイスクリームでは、後者の方が濃厚そうだと思うかもしれません。この場合、色という視覚的情報に基づいて味覚評価を行っていますが、合理的に考えたら色のみで味の評価をすることには飛躍があります。では、なぜこのように判断するのでしょうか。
外部からの刺激は感覚器官を通して解釈されますが、消費者は刺激を機械のように客観的に処理するのではなく、これまでの経験に基づいて、無意識に何らかの解釈を行うことがあります。このような直観や経験に基づく判断は知覚バイアスと呼ばれ、どのような要因が知覚バイアスを引き起こすのかが分からない場合は、消費者の購買行動は非合理的に見えるのです。しかし、近年では様々な研究において、消費者の非合理的に見える購買行動を紐解く理論が数多く示されてきています。
デジタル環境における新しい消費者行動を捉える
私は、消費者行動に関する研究を行っており、その中でも消費者の心理に注目しています。とりわけ、製品の実物を見ることが出来ず、画像や動画のみで購買意思決定を行うデジタル環境において、マーケティング刺激が消費者の購買行動に与える影響について研究を行っています。これまでの多くの研究はオフライン、すなわち店舗での購買行動を前提に議論されてきたのですが、近年では電子媒体を使用してオンラインで購買が完結することが増えていることから、デジタル環境の中での購買行動への関心が高まっています。
私の主な研究トピックの一つとして、製品画像から知覚される製品の大きさがあります。例えば、インターネットの買い物における失敗として製品のサイズが大きかった/小さかったという要因がよくあげられます。実は、多くの場合、製品の大きさに関する情報は開示されていますが、先行研究によって大きさの数字情報はあまり読まれないことが明らかになっています。その代わり、消費者は製品の色や形状などに注目し、こういった視覚的情報が知覚バイアスを引き起こすため、製品の大きさを過大評価あるいは過小評価します。私もこうした視覚的情報と知覚バイアスの関係に注目し、製品の大きさ知覚に関するメカニズム解明という課題に取り組んでいます。
その他にも、様々な知覚バイアスについて、オンラインとオフラインで共通して説明できる部分もありますが、オンラインならではのマーケティング刺激が引き起こす知覚バイアスについてはまだ不明な点が多く残されています。これからは、オンラインというデジタル環境における消費者の購買行動について研究を行い、企業のマ―ケティング戦略に貢献していきたいと考えています。
大学生活は、長い人生のなかでも特別な時間
私が担当しているのは「マーケティングⅠ・Ⅱ」の授業です。「マーケティングⅠ」は、企業のマーケティング活動を体系的に理解するための入門的な内容です。「マーケティングⅡ」では、企業を取り巻く市場やステークホルダーとの関わりなど、よりダイナミックな観点から競争優位性が生まれる要因を理解し、他社と差別化するための企業のマーケティング戦略について学んでいきます。また、可能な限り、授業内容と関連する最新の研究成果についても適宜紹介するようにしています。
私は大学時代、非常に多忙なゼミナールに所属していました。大変なこともあったのですが、当時は目標に向かってゼミの仲間と楽しみながら活動していたのを覚えています。大学での4年間は、長い人生のなかでも特別な時間です。大学で学ぶといったら、机に座って本を読むことや授業を受けることをイメージしがちですが、その他にもサークルや部活動、ゼミナール、大学の友達と何気なく過ごす時間など、大学生活すべてから学びを得ることができると思います。何をするにも、この貴重な時間を中途半端に過ごすのではなく、目的を持って全力で楽しんでください!
消費者理解とマーケティング
消費者の非合理的な購買行動について考える
消費者の購買意思決定に影響を及ぼす心理的要因について研究を行います。研究に先立ち、マーケティング専門書の「輪読」を通して基礎知識を身につけます。毎週のゼミで担当者が報告を行い、全員でのディスカッションを通して、マーケティングへの理解を深めます。その他にも、ゼミ合宿、他大学との合同ゼミ、論文大会やビジネスコンテストへの参加などの多様なイベントがあります。ゼミ生が主体となり、それぞれの活動を運営していきます。そこでは、輪読で得た理論的な知識をもとに、実際のマーケティング活動に適用していくことが求められます。
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