Edamura Kazuma

枝村 一磨 准教授

所属
経済学部
現代ビジネス学科
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専門分野

技術経営論、生産性分析、政策評価

キーワード

Profile

生年/1982年
出身地/東京都
血液型/O型
子供の頃の夢/オリンピック出場
尊敬する人/両親
愛読書/「FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」
趣味/映画鑑賞
休日の過ごし方/自宅でゆっくりする
好きな食べ物/プリン

印象や主観だけに頼らず、 客観的なデータによって真実を照らし出す。

経営学はさまざまな学問分野を内包している

私が教えている「経営学」は、ひとことでいえば企業を研究する学問です。その軸になるのは、①人がどう動くか(=組織行動論)、②組織をどうつくるべきか(=経営組織論)、③企業はどういう戦略で活動していくべきか(=経営戦略論)という、大きく分けて3つの考え方から成っています。担当授業の「経営学総論Ⅰ」では経営学の全体像とこれら3つの考え方の導入部について理論を中心に講義しています。経営学をはじめて学ぶ学生や、経営学を専攻しない学生でも理解できるように、具体的な企業事例等も紹介しながら話を進めていきます。
例えば以前、ある食品業界の企業が食品偽装という不祥事を起こし、業績がかなり落ちたことがありました。その際、経営陣はまず「顧客満足度」よりも「従業員の満足度を上げよう」という取り組みを始めたのです。不祥事後、多くの従業員がその会社で働いていることを人にいうのが恥ずかしいと感じていたそうです。それを当時の社長が耳にして、「サービスを提供する従業員が気持ちよく働いていなければお客さんも気持ちよくないはずだ」と従業員満足度をあげる方向へ舵を切りました。子どもが「うちの親は○○会社で働いているんだよ」と友達に自慢できるような職場にしようという視点で職場の改善に取り組み、その結果、業績もV字回復を遂げたのです。
このように企業というのは顧客だけでなく取引先や従業員など、さまざまな人間が関わって活動しているものです。そのため経営学という学問もまた、他のいろいろな学問分野の理論を内包しています。そもそも企業活動は経済学と密接に関わっていますし、従業員のモチベーションに関しては心理学の考え方を応用することもある。こうした幅広さも経営学の面白さのひとつです。

既成概念はデータ分析によって揺らぐこともある

私自身もこれまで携わってきたのは主に企業の経済学です。もともとゲーム機やタブレット端末は発売当日に買いに走ってしまうほどの新しい物好きなのですが、その商品というよりは新しいテクノロジーに興味がありました。そのような新技術がその後の経済にどういう影響を与えるのかということに興味がわき、大学時代に「技術経済学」のゼミに入ったのが、この分野を学び始めたきっかけです。
卒業後は公的機関や民間の研究所に勤務し、研究員として「企業の研究開発活動」や「特許分析」「生産性分析」などを行っていました。簡単にいえば、企業の動きをデータを使って分析するということです。研究を始めた当初は「環境」をキーワードに、「環境規制が企業の研究開発活動にどう影響を与えるのか」ということを主に分析していました。
一般的に、政府が「二酸化炭素の排出量を制限する」といった新しい環境規制を打ち出すと、企業側は「そんな厳しい規制を守っていたら利益がでない」と反発するものです。経済学の帰結として考えても、「新しい規制ができると、それが企業にとっては新たなコストとなるため収益が落ちる」という流れが予測されます。その結果、研究開発に回せるお金が減って、研究開発活動も抑制されるはずです。ところがいろいろな企業のデータを分析してみると、環境規制に対応するためのコストを軽減するための研究開発に力を入れて、収益を落とすことなく環境規制を達成できた企業もあることがわかったのです。そうすると単純に「環境規制は企業の研究開発を抑制する」とはいえず、反対に促進する可能性も出てきます。このように「環境規制が厳しくなれば、収益は落ちる」という既成概念も、きちんとデータ分析をしていくことで、必ずしも正しいとはいえないことがわかってくるのです。

数字やデータを指針にして物事を客観的に判断しよう

このように、物事を見るときには客観性が大切です。学生の皆さんには、他人の意見や思い込みに惑わされず、自分自身で客観的に物事を判断する力を身につけて欲しいと思います。
そしてその際、数字というのはひとつの指針になります。主観で「あの企業すごいよね」と漠然とした意見を言うよりも、「あの企業は利益を1兆円以上生み出している。まさに日本のリーディングカンパニーだね」と、具体的な数字を出せば説得力も高まるでしょう。私が教えているのは経営学の概論ではありますが、皆さんの考え方が印象や主観だけに頼らず、数字やデータを使って物事を客観的に判断できるようになるきっかけになればいいと願っています。世の中には一見、大きな問題のように思えても、数字で見ると意外に大した問題じゃない、ということもあるものですから。

Photos

  • 代々、愛用しているレッツノート。軽くて丈夫なうえ、電池の持ちがいいので手放せない

  • 高校時代からの腰痛持ちなので、仕事はもっぱら立ったまま。そのため立ち仕事用の机は必需品

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