Tomizuka Ryohei

冨塚 亮平 准教授

所属
外国語学部
英語英文学科
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専門分野

米文学、アメリカ文学・文化

キーワード

Profile

出身地/東京都
子供の頃の夢/明るい大人
尊敬する人/笑福亭鶴瓶
愛読書/カート・ヴォネガット『スローターハウス5』
趣味/演芸鑑賞(漫才、落語、講談)
好きな映画/M・ナイト・シャマラン『レディ・イン・ザ・ウォーター』
好きな著名人/叶恭子
好きな食べ物/カレー

小説や映画の細部を深く見つめ、フィクションの新たな魅力を提示する。

「ただ面白い」だけではない小説や映画の世界へ

私は、主にアメリカで19世紀以降に書かれた小説・エッセイや、アメリカ映画に焦点を当てて研究を行っています。深く考えずに小説や映画の物語に身を委ねることは、もちろんとても楽しい経験です。しかし同時に、特にアメリカのフィクションにおいては、特定の時代背景と結びついた人種やジェンダー、階級をめぐる考え方が、作品の成り立ちに大きな影響を与えていることも見逃せません。私は、それらのテーマと小説の文体や映画の撮影方法との関わりを踏まえつつも、同時に歴史や文脈には容易に還元できない、個々の作品や作家の過剰さや強度にも注目するような研究を目指しています。さまざまな角度からフィクションやそこに描かれる個人の行動を捉え直すことで、「ただ面白い」だけではない、作品の新たな魅力を提示したいと考えています。

高校生の頃、アメリカ同時多発テロという衝撃的な事件が起きたことで、アメリカの文化や文学作品にはじめて興味を持ちました。それまであまりよく理解していなかったアメリカという国の現状や歴史について真剣に考えるようになり、同時に小説や映画といったフィクションにも触れるようになりました。当時はじめて自発的に読んだ小説、カート・ヴォネガット『スローターハウス5』から受けた衝撃が忘れられず、それがのちに大学の英文科と研究の道へと進む直接的なきっかけとなりました。

修士課程のときから主な研究対象としているのが、作家・思想家であるラルフ・ウォルド・エマーソン(Ralph Waldo Emerson、1803-1882)です。エマーソンは、アメリカが西へ西へとどんどん領地を広げていった19世紀中頃に活躍した思想家で、一般的には、当時のアメリカの時代精神を象徴するような、自己中心的で帝国主義的な、強固で硬直した思想の持ち主として理解されてきました。しかし私は、近年の研究成果を踏まえつつ、むしろ多くの友人たちと対話し、周囲に影響されて自らの考えや自己像を変化させ続けた人間としてエマーソンを捉え直す方向で研究を進めています。現在は、同様に対話や友情をキーワードとして、ヘンリー・ソローやスタンリー・カヴェルといった他の書き手についても関心を広げています。

フィクションへの多角的なアプローチ方法を学ぶ

私が担当している「英語圏文学概論」や「英語圏文学特講」という授業では、小説や映画の概要や細部に触れるのはもちろん、それらの作品が歴史的にどのような文脈に位置付けられてきたのか、どんな人たちに読まれ、観られてきたのかといった、作品の解釈や受容をめぐるさまざまな情報を同時にお伝えてしています。皆さんは、一つひとつの作品を取り巻く多くの知識を得ることで、作品の魅力を十分に味わうための、多角的なアプローチの方法を学ぶことができます。

新しく知った視点から改めて作品を再見してみると、ときにはそれまで素朴に楽しめていた作品がつまらなく見えてきたり、あるいは逆に、嫌いだった作品を肯定的に捉え直す、思わぬ糸口が掴めることもあるでしょう。慣れるまでは抵抗を感じる方もいるかと思いますが、作品や登場人物に抱く個人的な印象から一度距離をとり、それを分析し言語化しようとすることが、研究の第一歩です。こうした視点は、普段趣味で触れている作品を含めて、今後の人生で接するあらゆるフィクションに応用可能でしょう。

大学時代にぜひやっておいてほしいことは、異なる世代や文化圏に属する友人をつくることです。おそらく、高校まではせいぜい部活の先輩・後輩関係ぐらいで、違う世代の人たちや海外に暮らす方々と接する機会が、ほとんどなかった人も多いのではないでしょうか。フィクションとの接し方ともつながることですが、自分とは別の基準で物事を捉えている人に出会い、交流することで、物事の考え方や感性を広げていってもらえればと思います。

Photos

  • ムーミングッズ:日本でアニメ化されたバージョンとは異なる、あまり可愛くないフィンランド版ムーミンのグッズを集めています。原作者トーベ・ヤンソンの小説では『誠実な詐欺師』もおすすめです

  • 雑誌:研究に関連して、主に現代の映画や小説について、依頼に応じて原稿を執筆しています。『キネマ旬報』『ユリイカ』などでこれまで単発記事を多数執筆しているほか、現在は前者で毎号外国映画の星取レビューも担当しています。図書館にも置いてあると思うので、よければ目を通してみてください

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