政治分野

あなたは選挙に行く? 「18歳選挙権」と若者の政治意識

大川 千寿先生

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18歳選挙権

2015年に成立した改正公職選挙法によって、選挙で投票できる年齢が引き下げられました。これにより現在は高校生も18歳以上であれば選挙に参加し、自分が選んだ候補者に票を投じることができます。それまで選挙権は「20歳以上」でしたが、他国を見ると18歳は一般的で、16歳からという国もあり、日本もようやく国際的な水準に並んだといえます。社会が成熟するにつれ深刻化し続ける若年層の政治離れを、「18歳選挙権」が解決すると期待されましたが、この導入後に若者の政治意識がいかに変化したのかを研究することは、政治学としても非常に重要です。

データからみる若年層の政治への意識

若者の政治意識を具体的に知るために、主に統計調査で得られたデータが用いられます。2016・2019年参院選にあたり実施された高校生対象の調査データの分析からは、政治への関心は18歳選挙権導入後も盛り上がっているとは言えず、また、より身近なはずの地方選挙に対する関心が国政選挙に比べ低いこともわかっています。政治への関心の低さは投票率にも表れており、総務省の調査によると、20歳未満の投票率は、「18歳選挙権」が導入された2016年に比べ2019年は下回っています。また、20歳代の投票率は全年代で最も低い傾向にあり、大学生の投票率の低さも大きな課題です。

与えられた権利

データから見えてくる政治への関心・参加意識の低さは、選挙の争点となっている社会問題に対して、年齢的に実感しにくいことも要因の一つでしょう。また、18歳選挙権が一方的に「与えられた権利」であり、当事者意識を持ちにくい点も大きいと考えられます。
日本には財政問題や少子高齢化、災害対策など問題が山積みですが、こうした問題に向き合い、より良い社会をつくっていくためには、一人でも多くの国民が政治について考え、参加することが不可欠です。そのためにも、若年層の政治関心に着目し、政治により参加しやすくなる道を探る学問的なアプローチの意義は今後も高まるといえるでしょう。

教えてくれた先生

大川 千寿先生

担当分野:政治学

専門分野:政治学、政治過程論、現代日本政治(キーワード:政治学、政治過程論、現代日本政治)

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