学科の特徴と目標

自治行政学科は、地方分権が推進され、地域のニーズに応じた特色ある行政や効率的な行政運営が求められる中、地域の視点から環境、防災、福祉をはじめとするテーマに取り組み、新時代の地方自治を開拓する人材の育成を目的とします。
本学科のカリキュラムにおいて、所定の卒業要件単位を修得した者は、次に掲げる能力や資質を身につけていると判断し、学士(行政学)の学位が授与されます。

  1. 法律学、政治学、行政学等、地域社会に必要とされる人材に求められる学識を備えている
  2. 環境、防災、福祉等、地域自治をめぐる現代的課題について深く理解している
  3. 地域自治の政策過程について現場の実状を踏まえて具体的に理解している
  4. 地域社会に存在する多様な価値観や生活様式を理解し、尊重している
  5. 地域自治のリーダーとなりうる人材として成長している

カリキュラム

法律とともに福祉や環境に関する深い学修を行える点が、自治行政学科のカリキュラムの最大の特色です。
「社会保障法」や「環境法」「環境行政特論」などの科目がそれに該当します。また、行政法の基礎理論や地方自治法の法学的な講義だけではなく、自治体の第一線で活躍されている方々を講師に迎えての「まちづくり行政特論」など、実践的な科目も用意されています。

1年次 地域のことを考えるための準備を

法と政治を学ぶために

1・2年次は、共通教養科目を中心に学びますが、自治行政学科にとって出発点となる科目は憲法と民法、そして政治学です。憲法は中学や高校の授業で聞いたことのある話からスタートしますし、「民事法入門」は、民法の全体像をおおまかに押さえることができるようにわかりやすく教えますので、初めて勉強する人にはうってつけですし、「民法基礎A・B・C」では内容が高度になりすぎないように調整をします。政治学に関しても、1年次の後学期の「政治学入門」で最良のスタートを切ることができます。

本格的な学修の前に

1年次にとくに大事なのは、「大学での学修に慣れること」です。とくに、法学部では、本を読む・文章を書く・みんなで議論するということが重視されます。なので、まずは少人数制のクラスで、先生のアドバイスを受けながら、大学での勉強のしかたを確立していきましょう。前学期の「FYS(First Year Seminar)」と後学期の「法学部基礎演習Ⅰ」はその最良の機会となるでしょう。

海外留学を実現するために

海外留学を考えている人には、「Global Perspective Program (GPP)&法学政治学英語特講」がおすすめです。演習科目「法学部基礎演習I・II」「GPP特修」と推奨する専門科目により、留学先でも役立つ知識や感覚を身につけ、「法学政治学英語特講I~V」で語学力の集中的な強化を図ります。GPPでは、交換留学のためのアドバイスなど、海外で学びたい学生のためのサポートも提供します。詳しくは、「GPP&法学政治学英語特講」のページをご覧ください。

2年次 地域のことを考えるための視点を得る

学びの可能性は無限大

自治行政学科は、法学と政治学(行政学を含む)の両方の視点から分析をくわえることによって、地域の問題を複眼的に考える思考力を身につけてもらうことを使命としています。
専攻科目の中には、自治体実務家、NPOスタッフ、政治関係者等をゲスト・スピーカーとして招き、政策過程の現場を聞く機会を提供するものもあります。多種多様な科目を用意しているので、学びの可能性は無限大です。各自の関心に応じて、履修科目を組み合わせながら徐々に深めたいテーマを見いだしていきます。

ゼミナールが始まります!

法学部に入学したからにはぜひとも履修してほしいのが、「法学部ゼミナールⅠ・Ⅱ・Ⅲ」です。ゼミナールは、学生が勉強をしているうちに関心をもったことについて本や論文を読んで調べ、分かったことを報告したり、みんなで議論をしたりするところです。そのことにかけて大学の先生は「プロ中のプロ」なわけですから、大学の先生と一緒にそれらのことができる機会をのがしてしまうのは、あまりに惜しいといわなければなりません。2年次の前学期の「法学部基礎演習 Ⅱ」は「ゼミナールのお試し版」のようなものなので、こちらも履修してみましょう。

公務員を目指す人に

公務員になるためには、公務員試験にパスしなければなりません。大学での勉強をしながら公務員試験対策もするのはたいへんですが、2つを両立できるように、法学部では「公務員養成プログラム」という、正規のカリキュラムとは別の、試験対策講座が2年次から始まります。詳しくは、公務員養成プログラムのページで。

3年次 地域の問題を様々な視点からアプローチする

「複眼的思考方法」を実践する

3年次には、法学と政治学の基本的な知識を使って地域の問題を様々な視点から考察することができるようになっているはずです。いろいろな角度から眺めることで、解決策が1つだけとは限らないことが分かるでしょう。だからこそ、地域の問題を住民がちゃんと議論して解決することが大事なのです。そんな問題にも、法学部での学修が役に立つことでしょう。

Project Based Learning (問題解決型学修)

大学で学んだことは得てして抽象的で、「小難しい」と感じるものですが、それを何かの行動を起こすことと結びつけてみると、意外と分かりやすかったりします。とくに、法学部で学ぶのは社会のことですから、人々の実践が出発点になっていることは多いはずです。要するに、「こんなときどうするの?」という問題に、講義で学んだ知識を使って「答えを出してみる」というのが、神大法学部が提供する「PBL科目」です。科目によっては大学の先生と実務経験者が共同で講義をしますから、ゼミナールとは違ったアプローチによる学修の機会だといえるでしょう。

4年次 地域社会の明日を担える人として

4年間の学びを通して、リーガルマインドをもち、格段に成熟したまなざしで社会を見つめることができているはずです。

自治行政学科の教員紹介、
研究室紹介はこちら

自治行政学科の特徴

Feature 1

新しい地域づくりに献身する人材を育てる

超少子高齢化が進み、地域コミュニティの多くが衰退の危機に直面する中、法的・政治的観点から環境・防災・福祉といった領域の学びを深め、持続可能な地域づくりに献身することのできる社会人を育てます。

Feature 2

幅広くバランスよく学べるカリキュラム

地方自治の新たなアイデアを生み出すには欠かせない、多彩な知識と大きな視野を得るために、一般教養から専門知識まで、社会への幅広い興味につながるカリキュラムを整えました。

Feature 3

PBL科目による知識と実践の生きた融合

2021年度に実施のカリキュラムでは、実務家教員・研究者教員が協働し、講義で学んだ知識を用いて実務上の問題を解決する「問題解決型学修(PBL)科目」を設けています。

Feature 4

社会的ニーズや将来の進路を踏まえた履修指導

地方自治の現代的課題に対応しつつ、社会的ニーズや将来の進路を考えながら学ぶことができるよう、履修に関する指導を徹底します。
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3つの履修モデル

自立した良識ある市民としての
判断力と実践力
法律学・政治学・行政学などの科目をバランスよく履修できるようにしています。地域の多様な価値観や生活様式を理解・尊重しながら、対話を通して問題解決に導く実践力を磨きます。
国際的感性と
コミュニケーション能力
法学・政治学的知見を英語で読み書きし、話せるようになることを目標とする語学科目のほか、比較政治や各国の政治・行政に関する科目を設置し、日本の政治や行政の特色を外国と比較しながら認識できることを目指します。
時代の課題と社会の要請に応えた
専門的知識と技能
「問題解決型学修(PBL)科目」により、法や政治に関する先端知識と、社会の現場で知識を応用するための技能の習得をリンクさせ、国家・地方公務員、各種団体職員、地域社会のステークホルダーとして地域の自治を支える有為な人材を養成します。

取得可能な資格・免許状

所定の科目の単位を修得することで卒業と同時に(または実務経験を経て)資格などが得られる。
  • 教員免許状(高校一種公民・中学一種社会)
  • 社会教育主事・社会教育士 ※
  • 学芸員
  • 日本語教員
所定の科目の単位修得または学科の卒業によって受験資格が得られる(実務経験が必要とされる場合があります)。
  • 税理士
  • 社会保険労務士
在学中の学修により資格試験に向けた準備ができるなど、学科との結びつきが強い資格。
  • 司法試験(裁判官・検察官・弁護士)
  • 司法書士
  • 不動産鑑定士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士
  • 公認会計士
  • 弁理士
  • 中小企業診断士
  • 本学社会教育課程の修了者は「社会教育士(養成課程)」と称することができます。