Hara Shuta

原 秀太 特別助教

所属
化学生命学部
応用化学科
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専門分野

複合材料、界面、分子生物学、高分子材料

キーワード

Profile

出身地/神奈川県小田原市
生年/1986年
趣味/釣り
尊敬する人/宮沢賢治
好きな音楽/ヒップホップ、ジャズ、ファンク
好きな映画/『2001年宇宙の旅』『プロメテウス』『インターステラー』
好きな著名人/立川談志、三島由紀夫
好きな食べ物/クエ
好きな国/日本

幸せの形は人それぞれ、 化学の力で多様な価値観をリアルにしたい。

曲げても丸めても元に戻る「形状記憶高分子」を開発

「形状記憶合金」って知ってますか? 変形しても元の形状に戻る金属のことです。私が現在、開発しているのは「形状記憶高分子」。曲げても丸めても一定の温度になると元に戻る高分子材料です。ベースとなるのは、PMMAと呼ばれるアクリル樹脂の一種です。ここに酸化チタンを組み合わせて、新しい機能を持たせています。いわゆる「機能性分子」の研究になります。
開発中の形状記憶高分子は、冷やしてシート状にした状態から一定の温度に温めると立体形状に戻ります。例えば、ぺったんこのシートを温めると羽根を広げた立体の蝶になるのです。この研究の独自性は、透明なアクリル素材でこの物性を実現したことです。形状記憶高分子の先行研究は多数ありますが、透明なものは前例がありません。ほかにも金属を混ぜることで電導性を持たせることもできます。新しい機能が増えることで、新規材料の応用の幅がますます広がります。
この材料が実用化されれば、丸めたレジャーシートを広げて温めたら、立体のテントに早変わり!といった商品が実現できるかもしれません。また、家具のような商品をコンテナなどで輸送する際に、規格に合うサイズに変形できれば、たくさんの量を積載できます。こうしたビジネスニーズも期待できるのです。また、形状記憶以外にも、酸化チタンをナノサイズに分散させる新規材料に関しては、100社以上の企業から問い合わせがあり、現在その中から私の研究を応援してくださる企業と共同研究を進めています。これは、「材料科学」「高分子科学」という研究分野になります。

漠然と生きることに意味を見出したくて化学に興味を持った

私が化学に興味を持ったのは、人間が生きるって何だろう?そもそも、人間って何で構成されているんだろう? そんな疑問を持ったとき、この謎に迫れるのは、化学しかないんじゃないかと思ったのです。化学の知識を究めれば、生きる意味や幸せや価値とは何かがわかるかもしれない。そこで、大学の理工学部に進学し、化学を幅広く学ぶなかで学部4年次に興味を持ったのが、「進化分子工学」という研究分野でした。進化分子工学は、10億種類の多様なDNAの配列空間から、望みどおりの機能を持つDNAを見つけ出す技術の開発です。この技術は、実験者の設定した選択環境と初期の配列空間をより膨大にすることで、多様な機能を持つDNAやタンパク質を創出することができるという点で革新的です。私がこの研究に興味を持った理由は、その技術の将来性もそうですが、人間社会にも当てはまるところがあると思ったことです。人間の社会もさまざまな人間がいて、その時代時代でイノベーションが生み出されています。この研究を通じて学んだことは、選択された個に価値があるだけではなく、さまざまな可能性を持った個が保持されている環境こそ価値があるこということです。

モチベーションは社会に新たな価値を提供すること

現代において価値とは何かを考えることは、人が幸福に生きる上でますます重要になってくると思います。資本主義において、価値は稀少性と相関があります。つまり、皆さんは、稀少な人材になることが求められます。ではどうしたら稀少な存在になれるのか? そのヒントは、化学に隠されています。化学は端的に言えば既存の物をくっ付けて今までに無かった新しい物を作っている学問です。つまり、皆さんが人と違う経験を沢山積み重ねその経験を融合させることで、皆さんの稀少性をあげることができます。大学で化学をきちんと学べば、皆さんが卒業する頃には、他の人より化学を知っている人になれます。そして、化学を理解したら、化学×(掛ける)何かを探究して下さい。この探求と行動のプロセスを繰り返せば皆さんの稀少性はどんどん上がっていきます。
私の研究は、進化分子工学を経て、現在は、高分子材料の工学的応用という違う分野に移りました、また、横浜市の運営している起業セミナーYOXOイノベーションスクールに通っていたりします。自分もまだまだ発展途上です。進化分子工学、生化学、高分子科学など、さまざまな知識を積み上げることで、「化学の力で多様な価値観をリアルにする」という自分の目標を達成していこうと思います。

ソフトマテリアル物性研究室

多様な高分子の物性を解明・応用する

高分子には樹脂のように比較的硬いものから、ゴムのように柔らかいものまで、さまざまな種類があります。なかでも、プラスチックやシリコン樹脂、天然ゴムなど、金属やセラミックと比較すると柔らかい物質を「ソフトマテリアル」といいます。当研究室が取り組んでいるテーマは、こうした多様な高分子の構造、性質、分子運動といった物性を解明し、応用することです。 新しい材料を生み出すには高分子合成の知識が必要ですが、何かに応用するにはその性質(物性)を評価することが不可欠。私たちは高分子がどのような性質を持ち、どんな原理が働いているのか、物理化学的手法を用いて研究しています。高分子物性を学ぶ際に身につけた論理的な考え方は、必ず役立つでしょう。

Photos

  • 開発中の「形状記憶高分子」で蝶を造形したモデル。丸めた状態で温めると蝶の形状に戻る

  • 趣味は釣りです。海釣りがメインです。この日は、カマスが大漁でした

  • 高分子結晶の顕微鏡画像

  • Si表面に結合した高分子の結晶

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地域課題

SDGs・地域課題について

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