Umezaki Kahori

梅崎 かほり 准教授

所属
外国語学部
スペイン語学科
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専門分野

ラテンアメリカ社会史、地域研究(ボリビア)

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Profile

出身地/佐賀県
趣味/音楽(鑑賞・演奏)、映画鑑賞
子供の頃の夢/魔法使いになること
尊敬する人/手塚治虫
愛読書/辺見庸『もの食う人々』
好きな映画/「モーターサイクル・ダイアリーズ」他
好きな音楽/演奏するのはボリビアやアルゼンチンの音楽。聴くのは英語・スペイン語のポップスやロック、フォークなどいろいろ。シャンソンやカンツォーネも好きです
好きなTV番組/「ドキュメント72hours」「世界の車窓から」他
好きな食べ物/各国・各地の郷土料理
好きな国/日本、ボリビア、アルゼンチン他
休日の過ごし方/ライブや練習、友人と食事、のんびり家事など

時間と体力のある学生時代こそ発展途上国に足を運び、 不便や不自由を体験しながら、自身の視野を広げよう!

南米ボリビアに魅せられて、研究の道へ

研究分野であるラテンアメリカと関わるきっかけになったのは、南米大陸の中央に位置するボリビア多民族国(当時はボリビア共和国)との出会いでした。大学2年生のとき、街中でたまたま聴いた南米アンデス地方の音楽に魅せられて、自らその楽器を手にするようになり、大学3年生の夏休みには、現地でアンデス音楽を聴いてみようと友人たちとボリビアへ。数あるアンデス地域の中から旅先にボリビアを選んだのは、偶然の巡り合わせでした。スペイン語がまったくわからない状態で訪れたボリビアでしたが、植民地支配していたスペインの文化と先住民の文化が混在・融合していて、当時の私にはとても魅力的に映りました。翌春、再びボリビアへと赴いた私は、前回の訪問では気づかなかった光景を目にします。スペイン語で土産物を観光客に売っていた市場の女性たちが、客が立ち去った途端にまったく耳慣れない言葉で話し始めたのです。ケチュア語というインカ帝国の言語でした。そのとき、ケチュア語を理解できるようになりたいと強く思ったのです。
日本に帰国してからは、とにかくボリビアのことがもっと知りたい、関わっていたいという思いがあふれ、大学院へ進もうと決意。就職すればあんなに遠い国には絶対に行けないし、研究という名目があれば、またボリビアに行けるという単純な理由からの選択でした(笑)。ですから研究ありきで、今の道を選んだわけではなかったのです。とはいえ「好きこそものの上手なれ」というだけに、今は好きなことを探究する大切さを実感しています。大学に入学しても、自分が何をしたいのかわからない学生がいると聞きます。そんなときは、とにかく好きなことに挑戦して、何か生涯続けていけるようなものを、ひとつでも見つけてほしいと思います。

マイノリティ“アフロ系ボリビア人”のアイデンティティを考える

研究では「ボリビアの多民族主義政策とエスニック・アイデンティティの変容」というテーマで、ボリビアのマイノリティである黒人奴隷の子孫“アフロ系ボリビア人”について調査しています。もともとアンデス文化圏は先住民の多い地域ですが、独立後はスペイン系の人たちが一部の権力と富を握っていました。そこで先住民たちは、自分たちはマジョリティなのに、政治も権力も持っていないと疑問を持つようになり、60年代、70年代を通して、先住民運動を激化させたのです。結果としてボリビアは、90年代頃から「ボリビアは多民族の国家だからみんなが平等だ」という思想で国をまとめようとします。2006年には初めて先住民の大統領が誕生し、先住民の権利拡大などを掲げる「多民族主義政策」が推し進められています。
しかし、ボリビアには先住民でもスペイン系の人でもない人たちがいます。そのひとつが、アフロ系ボリビア人です。現地でボリビア音楽の話になると、しばしば「このリズムは黒人の影響を受けている」などと言われるのに、街中ではほとんど“黒人”を見かけないので不思議に思っていました。そこから彼らの存在が気になり始め、実際に会ってみることにしたのです。今は、彼らが自分たちの民族性をどう認識し、どう表現したのか、また多文化主義政策の中でそれがどう変化してきたかということを研究しています。特にアフロ系ボリビア人が伝承してきた“サヤ”という音楽を通じた文化運動に注目して、分析しているところです。

海外での経験は、自分や自国について考えるチャンス!

私がスペイン語を習得したのは、主に現地でのフィールドワークを通してでした。良いか悪いかは別として、文法よりも話す方から身に付けたのです。今、スペイン語を教える立場になって思うことは、文法や単語を覚えることも大切ですが、やはり言語は使ってこそだということです。私たちは文法というルールありきで会話しているわけではないのですから。つまり、スペイン語を学ぶには、生きたスペイン語に触れること。その国の文化に触れ、興味を持つことがなによりの近道だと思うのです。そして、言語の習得で終わるのではなく、その言語を使ってどんな風に自分の世界を広げていけるかが、外国語学部の4年間で見つかるといいなと思います。
だからこそ学生の皆さんには、在学中にぜひ海外へ飛び出していってほしい。特に発展途上国には、時間と体力のある学生時代にこそ行ってほしいと思っています。日本と変わりなく生活できる国ではなく、ちょっとしたことでも不便や不自由を感じることが多い国に行けば、日本のことを改めて考えたり視野が広がったりするはずです。私がラテンアメリカを対象に研究している理由も、最終的には自分を知りたいからだと思っています。なぜ、自分はこの時代に生きていて、何をするためにいるのか、何をしたいのか。私の住んでいる日本とはどういう国なのか、ということを考えるきっかけを与えてくれたのが、ラテンアメリカです。どの国を旅しても構いませんが、できれば私が愛するラテンアメリカにも訪れて、興味の幅をうんと広げてもらえるとうれしいです。

Photos

  • ボリビアの民俗舞踊「モレナーダ」に使われる楽器とお面。南米3大カーニバルのひとつであり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている「オルロのカーニバル」でも人気の舞踊で、黒いお面は黒人奴隷を象徴していると言われている

  • 恩師の退職を記念して出版された『ラテンアメリカ 出会いのかたち』の中のエッセイを執筆。ボリビアとの出会いや研究テーマの発見などを綴った

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