Morales Rama Alejandro

モラレス ラマ アレハンドロ 助教

所属
外国語学部
スペイン語学科
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専門分野

日本文学、文学一般、外国語教育

キーワード

Profile

出身地/スペイン・マドリード
子供の頃の夢/エンジニア
尊敬する人/父、妻
愛読書/メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』、泉鏡花『高野聖』、フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』、ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』
趣味/写真撮影、音楽鑑賞、映画鑑賞
休日の過ごし方/犬の散歩
好きな音楽/ロック(Queen, David Bowie, Tool, 椎名林檎)
好きな映画/『ブレードランナー』、『パンズ・ラビリンス』
好きな著名人/ティク・ナット・ハン、ミシェル・フーコー
好きな食べ物/フォー、寿司、母の料理

明治時代の「日本幻想文学」に現れる文学的な美しさと社会問題を分析する。

人種差別などの社会の姿が描かれた幻想文学

私は日本の幻想文学を研究しています。特に、明治後期から昭和初期にかけて活躍した泉鏡花の小説が専門領域です。出版当時の日本において、幻想文学は子ども向けの作品と見なされていました。しかし、その物語を読んでいくと、部落差別など、当時の社会問題が色濃く反映されているものもあります。私は泉鏡花の小説の文学的な美しさを分析しながら、そこに描かれる社会問題についても考えを深めています。

私が幻想文学に興味を持ったのは小学生の頃で、世界的なベストセラー小説であるミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を何回も読み返しました。

また、ちょうど同じ頃、通っていた小学校の近隣に「ロマ」と呼ばれる民族の居住地がありました。ロマは、ナチス政権による大虐殺を経験するなど、長い歴史のなかで差別や迫害の対象とされてきた民族です。そうした差別問題が身近にある環境で育ちました。

幻想文学への興味と、人種差別などの社会問題への意識。このふたつの関心領域が混じり合ったのは大学生の頃です。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』という幻想文学を読んだことで、物語内に登場する「怪物」や「化け物」の存在が、人間の醜さ・美しさといった内面性や社会背景と結びつけて考えられることに気づきました。そして、2006年に上智大学へ留学した際に、恩師であるユー・アンジェラ先生の指導により、『高野聖』を始めとした泉鏡花の小説に出合いました。

泉鏡花の小説には、かつて「穢多(えた)」と呼ばれたような部落差別の対象となった人物が登場することがあります。また、男性によって抑圧される女性の存在も印象的に描かれます。こうした作品の特徴について、「作品の構造(メタファーのような修辞技法がどのように使用されているか)」や「作者の背景(執筆活動の過程と社会的なテーマに関する随筆の考察)」、そして「作品が書かれた当時の社会」といった要素をリンクさせながら分析しています。

他者の文化に触れ「批判的な視点」と「共感」を学ぶ

私が担当している「スペイン芸術論」の授業では、歴史的な視点からスペインの美術や音楽について学びます。代表的な流派や作家、または作品を取り上げて、スペイン文化の源泉から現在に至るまでの流れを明らかにします。

例えば、皆さんは「フラメンコ」というスペイン音楽をご存知でしょうか。フラメンコはスペインの象徴として長い伝統を持つ芸能だと思われがちですが、実のところその歴史は200年に満たないと言われています。また、その起源はインドからスペインのアンダルシア地方へ移動してきたロマ族の音楽やアラブ系民族の音楽にあり、多様な音楽が融合して生まれたものだとされているのです。このように芸術には多面的な背景があることを、批判的な視点から学んでほしいと思っています。

文化や言語の授業をする上で重要視しているのは、社会から抑圧されているマイノリティ(セクシャリティ・人種・宗教)の存在や多文化の習慣をテーマとして取り入れ、学生に考えてもらうことです。こうした機会を通じて、学生には他者の文化に対してのEmpathy(共感)や尊重する姿勢を学んでほしいと思っています。

学生の皆さんに伝えたいのは、「人生は長い」ということです。私は最初から教員を志していたわけではなく、他の仕事を経験して25歳のときにこの選択肢を選び、大学院の修士課程で研究を始めました。大学教員になったのは30歳を過ぎた頃です。最初に自分が選んだ道を、最後まで歩む必要はありません。間違っていても大丈夫。勉強や仕事に取り組むなかで自分の目指す方向が見つかっていくので、自分に優しくしながら気長に頑張ってください。

モラレス ラマ アレハンドロ ゼミナール

メディア批評分析研究 ─理論の勉強から作品分析へ─

メディアをただ単に楽しむのとメディアを分析するのはまったく別のアプローチです。映画やテレビドラマ、音楽、文学などは文化的な産物ですので、それぞれが生まれた社会背景と時代について勉強する必要があります。本ゼミナールでは、文化的な産物の分析をするためのさまざまな視点を身につけます。例えば、歴史的批評、心理学的批評、ジェンダー批評などです。本ゼミナールの終了時には、学生たちは多様な視点からスペイン語圏の作品を分析できるようになるだけでなく、日本社会の至る所にあるメディアに対する理解も深められるようになります。

Photos

  • 泉鏡花の作品が大好きな私は、自分の研究テーマにするだけでなく、スペイン語圏の読者に紹介したいと思いました。その夢が叶ったのは2014年。出版社(Satori Ediciones)の尽力もあり、私がスペイン語に翻訳したこの1冊を出版することができたのです。夢を叶えるために取り組んだ2年間でしたが、発売されたときには長い苦労が報われたのを実感しました。今では自分の「子ども」のように愛でています

  • 私が飼っている犬たちです。私は10代からスペインで犬を飼っていました。しかし、来日後は犬と離れていたので寂しい気持ちを抱いていました。2020年に大分県別府市に住んでいたとき、偶然、私が飼っていたシュナウザーと出会い「一目惚れ」してすぐに家に連れて帰りました。コロナ禍の暗い時代も、犬たちのお陰で無事に乗り越えられました。それだけでなく、東京に引っ越したあと、犬の散歩をしているときに現在の妻と出会うことができました。妻はビーグルを飼っていて、犬好きの絆がきっかけとなり、結婚しました

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