Kuroda Yuga

黒田 祐我 教授

所属
外国語学部
スペイン語学科
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専門分野

スペイン中世史、地中海交流史、アンダルシーア地域研究、歴史学

キーワード

Profile

生年/1980年1月
出身地/富山県小矢部市
血液型/O型
子供の頃の夢/漫画家やゲームクリエイター(小学生)⇒プログラマー(中学~高校)⇒歴史研究者(高校受験時)
尊敬する人/自分の考えをもって正しく生きている人は全員尊敬の対象です
愛読書/歴史小説(高校時代から学部生時代、司馬遼太郎や塩野七生などをよく読みました)
趣味/研究(世の中のことをなんでも知りたい!という欲求)、たまにゲーム(ほとんど手を付ける暇がない・・・)
休日の過ごし方/多めに寝る。のんびりと上記の趣味に没頭する
好きな映画/歴史のロマンを感じる作品全般(古代だと「ベン・ハー」、中世だと「ブレイブハート」、近現代だと「マイケル・コリンズ」)
好きな食べ物/好き嫌いはないが、特にお酢を使う料理全般。スペインではBlanco Cerrilloというセビーリャ市内にあるバルの「アドボ」(マリネした魚のフライ)
好きな国/スペイン。いい加減なようでしっかりもの、でもやっぱりいい加減(余裕がある?)

明るそうにみえて暗い、けれど明るい。 ある種の屈折がスペインという国の面白さです。

「レコンキスタ」について知ることは「戦争と平和」を考えること

私の専門は中世スペイン史。なかでも高校の世界史では少しだけしか触れられない「レコンキスタ」の再検討を行っています。「レコンキスタ」というと、祖国を奪われたキリスト教徒たちが、それを奪還するためにムスリム(イスラーム教徒)と激しく戦争し続けたというイメージがあるかもしれません。しかし実際にはそれだけではなく、当時のムスリムとキリスト教徒はさまざまな文化交渉や平和的な関係も築いていました。この「戦争と平和」という、一見相反するかに思われている両側面をどのように整合性をつけて理解すればよいのかということを、歴史学の立場から考えています。
当時のことを調べていて強く思うのは、当時の人々は「人間らしいなあ」ということです。その時代のスペインとイスラームとの最前線の記録を見ると、毎日のように牛がさらわれたり人がさらわれたりしている。そこでまずは話し合いをして、交渉が決裂するとかわりに向こうから人をさらってきたり、仮に牛を百頭とられたら百頭とりかえしたりする、というようなやりとりを繰り返すのです。要するに、相手を100%抹殺するのではなく、なんとか共生していくためにはどうすればいいかということを常に考えている。それに比べるとユーゴスラビアの民族浄化やナチスによるホロコーストなど、現代になればなるほどイデオロギーによる殺し合いは激しくなっているように思えます。

異なる宗教や文化・文明同士が接触するとはどういうことか

いま担当している一年生向けの『スペイン概論』では、歴史はもちろん、文学、哲学、美術、食、お祭りなど、スペインの横顔まで、できる限りやさしく紹介するように心がけています。スペインは、フラメンコやサッカー、あるいはパエリアだけの国ではありません。歴史の古さと複雑さでは世界で有数の国です。そんなスペインの素顔を知ってもらえるよう、現地で作成されたさまざまなプロモーションビデオや、自分がスペインの各地を旅行して撮影した写真などを紹介しながら、文字情報だけではないスペインの魅力を伝えていきたいと思っています。
私は1年間を大学町で有名なサラマンカで過ごした後、2年半にわたってスペイン南部のアンダルシーアの州都セビーリャの大学で学びました。その後もほぼ毎年、研究のためにスペインを訪れています。その経験から得たスペインの印象は、明るそうで暗い、けれど明るい。いい加減なようでいてしっかりしているけれど、やっぱりいい加減。そんなところでしょうか。ちなみにスペイン人は意外と真面目で、日本人とはウマが合うように思います。アニメオタクもフランスの次か、同じくらいに多い国です。
基本的にはラテン系ですが、どこか屈折している。その根本には、やはり国境の先にイスラーム教徒がいて、彼らと戦わなければならなかったという歴史が関係しているのかもしれません。実際に現在のイスラーム関連報道や、知識人の主張、新聞の言説には、こうした中世スペイン時代の経験をめぐる歴史解釈がちりばめられています。
最近は、このような「現在の政治」と「過去の歴史認識」との関係性の解明。さらにスペインを含めたEUやアメリカと、イスラーム世界との関係の分析にも興味を持ちはじめています。地域・時代を問わず、異なる宗教や文化・文明同士が接触するとはどういうことなのだろうか? 「自分たちとそうじゃない人」を区別する仕組みを、スペインのたどってきた歴史から読み解いていくことには、現代的な意義があるのではないかと思うのです。

大学にはいろいろな世界につながる扉がある

大学での「学び」とは、教室で座ってするだけのものではありません。大学という場は、皆さんが思っているよりもはるかに世界中とリンクしています。それぞれの先生がそれぞれ専門を持ち、独自のコネクションを持っていて、それは世界中に広がっている。しかもそれは、皆さんが使おうと思えばいくらでも使えるのです。学生さん個々人も、それぞれ独自のネットワークを持っていますから、まずは「どんどん動いてみる」こと。面白いと思ったことや関心のあること、やってみたいことがあれば、友人同士はもちろん、先生にもどんどん話してみてください。そうすれば「こういう本があるよ」「こういう場所があるよ」というように、いろいろな情報を手に入れられるはずです。
皆さんが受ける授業は、はるかに広大な世界へとつながっている扉の鍵を入手する機会にすぎないと思っています。人の興味はそれぞれです。その興味や関心からつながる新たな世界への扉を、手に入れた鍵で開いて、自ら進んでいってみてください。

Photos

  • はじめての自著「レコンキスタの実像」(刀水書房)は博士論文に加筆したもの。「イスラームの国家と王権」(岩波書店)は、早逝された佐藤次高先生のサイン入り。直接の恩師ではないが、イスラームとヨーロッパをつなぎあわせて考えるきっかけをくださった、自分にとっては大切な先生

  • ここ数年、研究のために通っているアンダルシーア地方のヘレス・デ・ラ・フロンテーラという街はシェリー酒の産地として有名なので、安くて美味しいシェリーが手に入る。Emilio Lustau(エミリオ・ルスタウ)はスペインでも屈指のシェリー酒メーカー

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