2026.10.26

人間科学部松永理恵准教授らによる研究成果が国際学術誌に掲載されました

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神奈川大学人間科学部の松永理恵准教授らの研究グループによる3本の研究成果が、このたび国際的な専門学術誌に掲載されました。一連の研究は、「人間がどのようにして母文化の音楽に関する暗黙知を学んでいくのか」という認知心理学の根源的な問いに対して、音楽文化環境データの基盤整備、発達的実証研究、人工知能を用いたシミュレーションという異なるアプローチから取り組んだ成果であり、日本人の音楽文化の特徴や暗黙知の獲得過程を明らかにしています。それぞれの論文の概要は以下の通りです。

掲載論文(1)

Matsunaga, R., Ishimoto, T., Hartono, P. , & Abe, J. (2026). JSMel: A Dataset of 960 song melodies widely shared in Contemporary Japan. Data in Brief, 66, 112869

概要:

本研究では,過去30−40年から現在に至るまで,日本人に親しまれ愛されてきた歌の旋律960曲を収録した大規模データセット「JSMel(Japanese

Song Melody dataset)」を構築した。収録した960曲は,音楽の教科書(2010年度検定版),及び,愛唱歌の楽譜集(2010−2020年の間で発行)に基づいて選定したものである。これらはパブリックドメイン曲と非パブリックドメイン曲に分けられており,前者はZenodo上に無料公開している。

出版URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S235234092600421X

掲載論文(2)

Matsunaga, R., Hartono, P., & Abe, J. (2026). Developmental Trajectories of Tonal Schemas in Japanese Listeners from Childhood to Late Adulthood. Music Perception.

概要:

現代の日本人は,西洋音楽と日本伝統音楽の双方を理解し享受できる「耳」ー専門的には音楽スキーマと呼ばれる暗黙知ーを備えたバイミュージカルな聞き手である。本研究では,こうした音楽スキーマがどのように発達するのかを明らかにするため,6歳から80歳の日本人約400名を対象に,10年にわたる実験を行った。その結果,音楽スキーマの基本は児童期を中心に青年期初期までに形成されること,そして,一度確立された音楽スキーマは中年期以降から高齢期にかけて大きく変化することはなく,生涯を通して比較的よく保たれることが明らかになった。

出版URL:https://online.ucpress.edu/mp/article-abstract/doi/10.1525/mp.2026.2831127/219203/Developmental-Trajectories-of-Tonal-Schemas-in?redirectedFrom=PDF

掲載論文(3)

Matsunaga, R., Hartono, P., & Abe, J. (2026).  Bootstrapping learning of musical scales across Western and Contemporary Japanese musical

cultures: Simulations with deep recurrent neural networks. The Japanese Journal of Psychonomic Science, 44, 89-107.

概要:

言語習得と同じく,子どもは,生まれ育つ文化環境の中で音楽に触れるだけで,その文化で使われている音階(例えば,米国や日本の音楽環境であれば西洋全音階)に関する規則性を自然に身につけていく。しかも,明示に教えてくれる存在がいないにもかかわらず,生後1-2年のうちに,抽象的な音階的規則性を学び取ることができる。なぜそのようなことが可能なのであろうか。本研究は,深層リカレントニューラルネットワーク(DRNN)を用いて,子どもが何を手がかりに利用して音階的規則性を学習していくのかをシミュレーションした理論的研究である。

出版URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/psychono/44/2/44_44.16/_pdf/-char/ja