2025.12.22

人間科学部は「探究の人科」へ

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Q.新しい人間科学部ってなに?

人間科学部は、「こころ・からだ・社会」の側面から「人間とは何か」を学びます。

グローバル・ローカルな視野と接近してフォーカスする視点の両方を持って、「人間」や「人間が生きる地域・社会」の現在と未来を考えられる人を育てています。

2026 年度より、人間科学部は「探究の人科」として発展します。

正解のない問題に挑む「探究学修」

Q.「探究学修」とは

「探究学修」とは、学生自らが課題を設定し、課題の解決に向けて必要な情報を収集・整理・分析し、他者と意見交換・協働しながら進める学びです。

高校で体験したかもしれない「地域・社会と連携したPBL」(Project-Based Learning)を学術的な専門分野を基礎として大学レベルに高め、研究し、実践していきます。自由性の高い、コース横断的な学びで「社会に貢献できる実践力」を育みます。

Q.「探究学修」の授業

【自由性の高い、分野横断的な学び】

1 年前期「人間科学探究入門」

1 年後期「人間科学探究入門ゼミナール」

2 年前期「人間科学探究ゼミナール a」

2 年後期「人間科学探究ゼミナール b」

真の実学で多角的視野を育む

Q.実学の学び方

  • 少人数でコミュニケーション・ディスカッション

  • ワークショップ等のグループ活動・実験

  • 地域・社会に接続したフィールドワーク・実験・実習

  • プレゼンテーション など

Q.「探究の人科」で多角的な視野を育む

<7つのジェネリックスキル>

  • 自他の健康を創造する力

  • 多様な他者と関わり、協働する力

  • 主体的に社会に参画し発信する力

  • 多様な専門性を繋げて創造的に思考する力

  • 自分の考えや思いを構造立てて伝える力

  • データを分析し、対象を省察する力

  • 問題を発見し、解決に向けて考え抜く力

探究ゼミナールの紹介例

【教育】学生参画で地域を元気にする

生涯教育学ゼミでは、学生の参画力を育むために、地域のさまざまな団体の協力を得てコミュニティ・ベースド・ラーニング(CBL)を進めています。

ワークショップに取り組む

人間や地域をめぐる小さな疑問を探します。「なぜ?」の問いをみつける対話を行います。互いの意見の合意形成をはかる一手段として、ワークショップを活用します。

対話と通じて、多様な考え方を知る

同質の人だけでなく、異質な人との関わりを意図的に行います。例えば、留学生を囲んで、人間図書館と称する「ヒューマンライブラー」を行います。異質な存在を認めることで、コミュニケーション力を高めていきます。

キャンパスの外へ、地域に出かけよう

近隣の地区センターのまつりに参加する

横浜市にはどんな公共施設があるでしょうか。近隣の地区センターへ現地ヒアリングを行います。地域の要望もあって、センターの秋まつりのお手伝いへ。老若男女に出会いながら、豊かな経験を積んでいきます。

自治体の地域課題を学ぶ

小田原の森や里山に出かけていきます。耕作放棄地になった里山、森林の管理運営、持続的な農業・漁業など地域課題を初めて知ります。

現地で様々な体験を通じて、自分にできることを考えていきます。


子ども達の育み方やその環境を考える

長野県茅野市にある「蓼科ポニー牧場」にて、牧場保育園の子どもたちと交流します。近くの農家で採れた野菜を使って、美味しい昼ごはんを作ります。野外保育で育つ子ども達やそれを支える大人の存在に気づきます。

子どもにとって、本当に良い教育環境って何だろう、という新たな探究が始まります。

多文化共生ラウンジと連携して、冬の運動会を企画実施する

外国ルーツの子どもたちの課題を学びます。私たち出来ることを考え続けます。そこで、寒い冬に、大学生と子どもとが思いっきり遊ぶ案はどうだろうか。

近隣の地区センターの協力を得て、子どもたちに向けた「ウィンターKIDS運動会」を企画・運営します。

このように学生の参画によって、コミュニティにおける様々な現場経験も増やしていきます。さあ、皆さんは、どんなテーマにアプローチした探究学修に挑戦したいでしょうか。

(生涯教育学:齊藤ゆかゼミ)

【教育】学校と連携した学食メニュー開発

地域の小学生とともに“食の探究”を実践

白幡小学校6年生と連携して、「地域の人を食で笑顔に」をテーマとした学食メニュー開発プロジェクトを実施しました。「食の探究プロジェクト」は、地元・白楽の活性化を目指す「総合学習」の一環として、教育学ゼミ(間山ゼミ)、教職課程の学生、神大生活協同組合の協力で実現しました。

児童の総合学習を大学生がアドバイス

児童は、大学の食堂を訪れて人気メニューを学びました。大学生のアドバイスを受けながらアイデアを磨き上げ、最終的に3種類の新しい学食メニューを提案しました。横浜キャンパスの食堂で、実際に販売も実現して、学生や教職員から高い評価を得るなど大きな反響を呼びました。

児童と大学生との協働学習

「食の探究プロジェクト」を通じて、児童は「協働して一つの形を作り上げる喜び」を、大学生は教育現場とつながる「実践的な学びの意義」を実感しました。このように、地域と連携した探究的な学びを通して、共に学び合い、社会とつながる力を育んでいます。

(教育社会学:間山広朗ゼミ)

【社会】地図を持ってフィールドワークの楽しさを

フィールドワークの実践

人間社会コースには、地域調査の実践として地図を持って街を歩く、観察する、記録する、というフィールドワークを行う科目があります。

秋の一日、横浜市鶴見区で学外実習を行いました。今回は,事前学習はあえて最小限にとどめ,学生たち自身で地域の様子を観察することに重点を置きました。

鶴見区の臨海部の観察と記録:土地利用調査に挑戦

JR鶴見線浅野駅に集合後,新旧の地形図を比較して,自分たちの立っている駅周辺やそれより南側(海側)のエリアが,昭和初期の埋め立てによって形成されたことや,その区画には多くの工場が立地していることを確認しました。

その後,仲通り地区に移動し,建物1つ1つを観察し,その機能(小売業,サービス業など)を記録する土地利用調査に挑戦しました。いつもならあっという間に通り過ぎてしまう東西400m程度の範囲ですが,建物1つ1つが分かる程度に拡大した地図を手に,気づいたことを記録しながら進むと意外と時間がかかります。

作業から得られた気づき

作業から気づいたことを学生たちで話し合ってみました。この地区は、沖縄の食材やアクセサリーなどを扱う小売店や,沖縄料理のお店が多く見られることと同時に,ブラジルなど南米の料理を提供するお店も存在することが確認できました。

このことは,臨海部の埋め立て地への工業機能の集積とともに,様々な地域から人々が流入したことと深く関わっており,臨海部の埋め立てが,単なる工業地域の形成のみでなく,地域コミュニティにも大きな影響を与えていることを示しています。

フィールドワークを通じて、地理学の楽しさも感じる一日となりました。

(人文地理学:平井誠教授)

【心理】企業と連携した「支援の在り方」を本気で考える

人を支えるとは何か

心理学のゼミでは、「人を支えるとは何か」という問いを立て、主体的に学ぶ姿勢を育みます。支援の現場で求められる視点やコミュニケーションのあり方についての考えを深めていきます。

企業と連携した探究学

さまざまな学外機関と連携を通して、実社会の課題に触れた探究的な学びを推進しています。

例えば、メディカル・ケア・サービス株式会社(以下、MCS)は、「認知症を取り巻くあらゆる社会環境を変革する」という企業ミッションに掲げた介護・福祉分野など多様なサービスを展開した企業です。MCS担当者による講義のほか、学生が主体となったワークショップを行いました。「支援の在り方」をテーマとしたグループディスカッションで学びを深める取り組みが実現しました。

心理・介護・福祉など多角的視野を育む

学生からは、「支援を受ける立場の人の気持ちに初めて気づいた」「一方的な“援助”ではなく、共に考える姿勢が大切だと感じた」といった声も聞かれました。

学外機関との連携で、心理だけでなく、福祉・介護の現場を身近に感じる貴重な機会となりました。

(臨床心理学:山蔦圭輔ゼミ)

【スポーツ】指導実践で学年を超えた学び合い

「保健体育」の模擬授業・省察会を実践

良い教師・スポーツ指導者になりたい

「良い教師・スポーツ指導者になりたい」というゼミ生の想いから始まった授業実践・省察会。

「体育授業の実践力を高める」という探究の学びは2011年から実施しており、次第に輪が広がり、ゼミナールの枠を超えた会へと発展してきました。

教育実習を控えた3年生が体育授業を計画し、交代で実践するほか、2年生や4年生も参画し、生徒役や授業省察を行うなど、学年を超えて学び合う場となっています。

扱う種目は教師役自身が決めます。専門種目を選択する学生もいれば、苦手な種目や経験のない種目に挑戦する学生もいます。計画段階から何度も指導案の添削を受けながら教材研究を重ね、準備を徹底した学生ほど、授業本番ではより堂々と実践できていたように思います。そう、準備の質の重要性に気づく機会でもあるのです。

省察会では厳しい指摘を受けることも多いですが、それは互いの成長を願う「愛のある指摘」 。毎回、互いに成長し続けることを約束し、会を締めくくっています。

現役の保健体育科教員(卒業生)のアドバイス

長期休暇には、現役の保健体育科教員(太田ゼミの卒業生)が駆け付けて下さり、指導を受ける機会があります。教職の魅力をはじめ、学校現場で抱える課題などについて講話をいただくこともあり、教師を志す後輩たちにとって、現役教員から直接アドバイスを受けられる貴重な学びの場となっています。

探究し続ける:授業実践と教材づくりの往還

模擬授業で得た課題や、現職の保健体育科教員から提供いただく話題、学校現場やスポーツ指導の場で得た課題などを踏まえ、学生は教材研究に励みます。

作成した教材は、実際のスポーツ指導の場や模擬授業で実践し、そこから新たな課題を得て、さらに教材研究を重ねていきます。

このサイクルを繰り返すことで、体育授業の実践力を着実に高めていきます。

(体育科教育学:太田早織)

自由性の高い、分野横断的の学び

探究の人科は、心理、教育、社会、健康、スポーツなど、様々な専門分野をパズルにように組み合わせていきます。業界の境界を越えて、分野横断的な学びを探究していきます。


<探究学修 分野を越えて多角的に学ぶ>

動く・つながる・深める