ロシア語

どんなことば?

ロシア語はロシア連邦で広く使われている言語です。ロシアは多民族国家で、民族としてロシア人以外もたくさんいますが、誰もがロシア語を使えると考えてよいでしょう。
また、ロシアの近隣の国でも公用語の一つとなっていたりしますし、国連の公用語の一つでもあります。母語話者の数は日本人より多く、第二言語として使える人もたくさんいる言語です。

文字はキリル文字(ロシア文字)を使うので、ローマ字(ラテン文字)で表記される外国語に慣れていると見慣れない感じがしますが、学んでみるとヨーロッパの言語のひとつだということがよくわかるでしょう。他のヨーロッパの言語に似ているところがたくさんあります。なお、キリル文字もローマ字も、ちょっとおおざっぱに言えばどちらもルーツはギリシャ文字にあります。ルーツが一緒ですから、個々の字ではローマ字と同じような使い方をする字がずいぶんあります。見慣れない感じがするのはローマ字にはない字のほうが目立つからかもしれません。

文字の読み方はかなり規則的ですから、少し勉強するとすぐわかるでしょう。発音も日本人にとってそれほど難しくはありません。
文法は、英語などに比べると少々面倒でしょうか。でも、外国語というのはどれも簡単ではありません。神奈川大学のロシア語教員はみなロシア語教育の専門家ですから、効率良く学習を進めることができます。

神奈川大学でロシア語を学んで、検定に合格したり、ロシアに留学したりする学生はたくさんいますし、卒業後にロシア語を使って仕事をしている先輩もいます。

ロシア語を学ぶ魅力

ロシア語を学ぶ魅力とは、まずロシアの人たちとコミュニケーションが取れるということでしょう。ロシアの人たちも皆さんと同じようにSNSを使いこなしますから、日本にいながらロシアの学生と友達になっている人もいます。ロシアの人たちは、日本についてよいイメージを持っている人が多く、日本の文化について大変興味を持っていますし、日本人と知り合いになりたいと思っている人もたくさんいます。多くの日本人が知らないうちに、日本の文化がロシアに入り込んでいるのです。

ロシアは文化の様々なジャンルにおいて大国です。19世紀に文化が花開き、今日まで、文学・音楽・美術・スポーツなどなど、様々な分野で活躍する文化人を輩出しています。ロシア語を知っていれば、そんなロシア文化に直接触れることができるようになります。

ロシアは世界一広い国で、日本海やオホーツク海をはさんで日本の隣の国でもあります。海を少し超えると、そこはロシアで、一番近い「ヨーロッパ」です。モスクワのような大都市からシベリアなどの大自然まで、さまざまな顔を持っています。
ロシアは、文化だけでなく、自然の宝庫でもあります。今後はさらに気軽にロシアを旅行できるようになるでしょう。ロシアのヨーロッパ風であったり、アジアと混ざっているところがあったりする、ちょっと独特な文化や自然に触れることもできます。

では、そんなロシアについて、首都であるモスクワのある一年をのぞいてみましょう。モスクワは人口が一千万人を超え、ヨーロッパ第一の都市です。

モスクワのある一年

赤の広場への南側の入口
左がクレムリン、右が聖ワシーリー寺院

ロシアは北にあって寒い国とお考えでしょうか。ロシアは広いのでいろいろな気候がありますが、首都のモスクワは思うよりずっとずっと住みやすいところです。一千万人以上の人が住んでいることでも明らかでしょう。私は2019年4月から2020年3月までモスクワに滞在しました。その時の様子を書きます。
ロシアの首都モスクワはクレムリンを中心として放射状に四方に広がっています。クレムリンには大統領府があり、政治の中心ですが、その周囲に赤の広場などもあって、モスクワの有名な観光地のひとつです。

4月~9月

4月初めは肌寒い日もありますが、だんだん暖かくなります。ロシアでも5月の初めは休日がつながり、クレムリンに向かう放射線のひとつのトヴェルスカヤ通りは車両通行禁止となって、路上に特設ステージや様々なアトラクションなどが設置されて、多くの人でにぎわいます。

6月はもちろん梅雨はありません。7月・8月も日本のような暑さはまずありませんし、台風のような暴風雨もめったにありません。
秋は天気が良い日が続けば「黄金の秋」と呼ばれ、行楽のシーズンでもあります。9月の初めに「モスクワの日」と呼ばれる建都祭が行われます。5月と同じように、トヴェルスカヤ通りなどは車両通行止めとなり、多くの人出があります。

9月も後半になると部屋の中ではそろそろ暖房が欲しくなったりもします。ロシアの都市部では暖房は街中に供給されるお湯を使います。各部屋に暖房装置があり、一定の気温以下の日が続くと暖房のためのお湯の供給が始まります。暖房運転が始まると家中が常に23~25度くらいに保たれていて、とても快適です。

10月~3月

10月から11月には東京や横浜の冬の気温となり、12月から2月へとさらに気温は下がります。私の体感では、少しだけ厚着をすれば、外に出てもそう寒くはないように思います。部屋の中がいつも十分に暖かく、体が温まっているから外でも寒さを感じにくいのかもしれません。日本では冬になるとシベリアから寒気団が入ってきて、強い北風が吹きますが、モスクワでは強い風が吹くこともあまりありません。北にシベリアがある日本とは違うようです。雪もが降りますが、それほど積もることはありません。しかも、清掃員が素早く雪かきをするので、雪の道を歩くということがほとんどありません。

12月になると、街の至るところにヨールカが立てられます。ヨールカはクリスマスツリーのようなものですが、ロシアのクリスマスは1月7日で、新年とクリスマスのために飾られます。その他にもいろいろなモニュメントが設置され、随所に飾りつけがされて、街中が華やかです。

2019-20年の冬はロシア観測史上なかった暖冬でした。2月が過ぎると、寒さもゆるんでいき、春に向かいます。
一度モスクワを訪れてみたらいかがでしょう。ロシアやロシア語についての興味もわいてくると思います。

(国際日本学部 堤 正典 教授)