
Ishikawa Takayuki
石川 貴幸 助教
Profile
出身地/千葉県
子供の頃の夢/宇宙物理学をやりたかった
尊敬する人/白洲次郎
趣味/近代建築巡り
休日の過ごし方/散歩、ゲーム
好きなTV番組/サイエンス系YouTube
好きな映画/『Back to the Future』
好きな食べ物/和食
多様化する企業の「投資」を経済全体の視点から分析する。
形ないものへの投資?
「企業の投資」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、新しい工場の建設や機械の導入といったイメージかもしれません。しかし実際には、こうした有形の資産への投資だけではなく、知識や技術、ソフトウェア、ブランド価値のように、手に取ることができないもの、すなわち「無形な資産への投資」も存在します。近年これまでになかったビジネスモデルが生まれ、こうした無形の資産に対する投資が多く見られるようになりました。その一例がCGのキャラクターに動きを投影しながら動画を配信する「VTuber」です。VTuberビジネスには、従来の製造業のように大きな機械や設備といったものは必要ありません。もちろん配信するために設備への投資は必要ですが、それだけではなく、プラットフォームの構築費やCGキャラクターの製作費、それを動かすためのプログラムの開発費、そしてキャラクターのブランド価値形成のための支出といった『「無形の資産」に対する投資』が大きな割合を占めています。こうした資産を考慮して企業の投資行動を分析することが私の研究テーマです。
関心があるテーマは、こうした無形資産投資の中でも特に「研究開発投資の効率性」と呼ばれるものです。新しいアイデアの発見や技術の進歩は、限界が来ているのではないかという議論があります。例えばコンピュータの性能の進歩は鈍化しつつあります。新しいCPUの開発には莫大な研究開発投資が行われていますが、以前ほど処理速度の向上は達成できていません。また、新薬の開発においても同様に投資がなされていますが、結果として人類の寿命は以前ほど伸びていません。こうした状況を受け、現在では「技術という果実を取りつくしてしまった」という悲観的な考え方と、「効率性は落ちてはいるものの投資を続ければ技術進歩は可能である」という楽観的な考え方の両面から議論されています。こうした議論に示唆を与えるべく、研究に邁進しています。
経済学は身近にあふれている
経済学は抽象的であり分かりにくいと思われるかもしれませんが、身の回りには経済学があふれています。例えばコロナ禍において不織布マスクを皆が一斉に求めました。また輸入ができなくなってしまったために、店舗から不織布マスクが消え、オンラインサイトや在庫を抱えた個人店での不織布マスクの価格が急騰しました。このときある商店街では店先において大量のマスクを高額で販売していました。駅に近く人通りが多い店では需要が高いため、マスクの価格は3000円を超えていましたが、一方で裏通りや駅から離れると需要が下がるため、それに応じて価格が低下していました。その後マスクの配布の決定や国内での生産開始などのニュースがあると、一斉に価格が下がるなど、経済理論が示すとおりの変化が生じました。こうした人々の営みが経済学では理論化されています。
経営学部では、経済の仕組みを理解するために重要な「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」の基礎を教えています。国際社会では経営者であっても経済学の知識は必須です。実際にMBAのコースワークにも経済学が取り入れられています。例えば企業の経営戦略である市場シェアの獲得や価格以外での競合他社との競争といった分野では、経済学からのアプローチは大きく役立つはずです。
経済学の理論の授業とは別に、学生にはデータを眺める癖を身につけてほしいと思います。SNSやマスメディアに溢れる情報は必ずしも正しいわけではありません。人はこれらコンテンツの内容を正しいと思ってしまいがちです。例えばインフルエンサーの主張や行動を鵜呑みにしてしまうかもしれません。しかし本当に多くの人が同じ主張や行動をしているのか、全体ではどうなのかをデータで確認してほしいと思います。経済学は現実を理論とデータの両面から観察できる良さがあるので、データを読む力を養うことはさらに社会を分析する力につながります。
最後になりますが、大学生として様々なことに挑戦してほしいと思います。少しの失敗であれば許してもらえるのが大学生の“特権”です。外に出て視野を広げてみてください。今は無駄だと感じることでも、その経験はきっと人生のどこかで役に立つと思います。よく学び、よく遊びましょう。

石川貴幸ゼミナール
投資から国際社会を眺める
経済学的な知見を用いて社会を分析します。そのために経済学の理論を学んだり、データ分析の手法を学んだりします。私は「企業の投資がどのように阻害されているか」や「無形資産投資がどのように生産性の向上に寄与しているのか」を分析しています。経済学と経営学は違いますが、企業の行動を分析しているので親和性が高いです。ゼミの活動方針としては、グループワークやインゼミ、合宿などを計画しており、みなで楽みながら活動できればいいなと思います。モットーは「take it easy(気楽にいこうぜ)」です。
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