プレスリリース
2024.10.29
理学部 佐藤たまき教授らの研究グループが生物規範型制御方式から首長竜の遊泳様式を復元
絶滅した古生物の動きの復元では、類似した形態を持つ現生種を手がかりに類推するという手法が広く用いられています。現生種に見られない特異な形態を持つ古生物の場合、この手法を用いることはできないため、それらの動きの復元は非常に困難でした。このため、フタダバスズキリュウなどの首長竜が四肢にある翼のような大きなヒレをどのように動かして泳いでいたのかは、今も論争が続く古生物学上の大きな問題の一つとなっています。
東北大学電気通信研究所の佐藤光暁、小川久介大学院生(当時)、福原洸助教、石黒章夫教授と神奈川大学の佐藤たまき教授、マンチェスター大学のWilliam Sellers教授らの研究グループは、イヌやネコをはじめとする様々な現生四足動物種の足並みを再現可能な生物規範型の自律分散制御を基盤に設定することで、首長竜型ロボットに羽ばたき周期や形態の変化に呼応した前後ヒレ間の合理的な協調パターンを生成させることに成功しました。絶滅動物が状況依存的に運動様式を柔軟に調整していた様子を復元しうる新たな手法として期待されます。
本研究成果は、科学誌Scientific Reportsに2024年10月28日付けで掲載されました。
発表のポイント
♦中生代に生息していた首長竜はほぼ同じ大きさのヒレに変化した四肢を持っていましたが、それらをどのように動かして泳いでいたのかは今も論争が続く古生物学上の大きな問題の一つです。
♦首長竜の遊泳様式を復元するために、現生の四足動物を参考にして四肢のヒレを協調させる生物規範型自律分散制御則を構築し、首長竜型ロボットに実装して生成される運動様式を調べました。
♦ヒレの羽ばたき周期や前後ヒレの間隔に応じて、前ヒレの羽ばたきが生み出した渦列を活用するタイミングで後ろヒレの羽ばたき方を柔軟に変化させてことで効果的な推進力を生み出す様子が観察されました。
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