お知らせ
2025.09.01
産学連携の取り組み「本の架け橋プロジェクト」に多くの本をご寄付いただきました
この度、横須賀市大矢部で近隣の児童に向けたくさんの本を用意し、開放する取り組みをされていた「キッズ文庫」様より絵本や児童書、辞書など約1,000冊を、本学がブックオフコーポレーション株式会社(以下、ブックオフ)との連携により取り組んでいる「本の架け橋プロジェクト」にご寄付いただきました。そこでお礼とともにキッズ文庫のお取り組みについて詳しくお話を伺うべく学生ボランティアの井口美音さん(本学英語英文学科2年)とともにご自宅に伺い、インタビューを行いました。
インタビューをさせていただいたのは碓井正志さん。昨年10月に逝去されたお母様がお仕事を引退されたあと約15年に渡り運営されたキッズ文庫にあった数多くの本について、「絶対に捨てることはできない。キッズ文庫らしい、誰かのためになることに繋がれば」という想いからインターネット等で様々な取組を調べる中、本学の同プロジェクトの存在を知り、寄付のお申し出をいただきました。
約15年近く続いた「キッズ文庫」にはたくさんの本と思い出がありました。図鑑や国内外の絵本、漫画、小説など幅広いジャンルの本があり、見たこと、読んだことのある懐かしい本や初めて見る本もたくさんありました。作業を進めていくうちにまるで宝箱の中を覗き込んでいるかのようなワクワク感が止まりませんでした。本の裏には今ではあまり見かけなくなった貸し出し用のカードが残っていて、子供たちがキッズ文庫で見つけたお気に入りの本たちをおうちに持ち帰り、読み返したり、親御さんに教えたりしている様子が想像でき、その光景が自分の小学校時代に重なり、懐かしさがこみあげてきました。キッズ文庫がある碓井さんのご自宅の庭にはふかふかな芝生が生い茂り、柿の木などのたくさんの植物があります。
学校が終わった後、子供たちはこの素敵なキッズ文庫にきてお気に入りの本を探し、木陰の下や芝生の上など自由な場所で読書を楽しんでいたそうです。また、碓井様のお父様が得意の工作などを子供たちに教えたり、お母様が英語を教えたりと読書以外にも子供たちが楽しめる学びがありました。このキッズ文庫に通う子供たちは、最初は少し硬い表情をしていたけれど通ううちにだんだんと打ち解けて、笑顔が増えていったそうです。碓井様のお母様はそんな子供たちの表情が明るくなっていく様子をとてもうれしそうに語っておられたそうです。ここは学校でもおうちでもない場所で夕方のチャイムが流れるまでの間、一年生から六年生までたくさんの子供たちが集まりみんな仲良く読書や工作などを楽しみ学ぶことができる、子供たちの憩いの場でした。まるで、子供たちにとっての「もう一つの居場所」のように感じられました。このようなとても素敵な場所で過ごすことができた子供たちをとてもうらやましく思います。現在、キッズ文庫はなくなってしまいましたが、ここに残された思い出の本たちや、碓井様のお母様の想いを受け継ぎ、場所は変わっても、これからも子供たちの笑顔につなげていきたいと思っています。(文:本の架け橋プロジェクト学生ボランティア 英語英文学科2年 井口美音)
本の架け橋プロジェクトは中古書籍を通じた国際交流の取組であるとともに、国内外で日本語を学ぶ子どもたちを支援する社会貢献活動のひとつです。連携するブックオフや一般の方々から書籍を寄付いただき、その中から絵本や児童書、コミック、紙芝居など相手先の要望に適うものを選び、送り届ける取組みです。また、そのまま送り届けることができない本はブックオフが買取り、買取金額を同プロジェクトの送料などに充当しています。おかげさまで大変多くのご寄付、ご要望をいただき、これまで述べ15,000冊を超える書籍を送り届けてきました。この度キッズ文庫様からご寄贈いただいた書籍類も、いつか世界中のどこかで再び子どもたちの笑顔や学びを生み出すことに繋げられればと思っています。