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2025.01.28

経営学部 尻無濱 芳崇准教授らの研究グループは、従業員が困難な目標に直面した場合でも仕事のエンゲージメントを向上できる要因を発見

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神奈川大学経営学部 尻無濱 芳崇准教授らの研究グループは、従業員に設定された目標の難易度*1が仕事のエンゲージメント*2に与える関係に対して、ポジティブな心の状態を維持する資源としての心理的資本(PsyCap)*3がモデレート効果*4を持つことを発見しました。また、日本企業特有の終身雇用制度がこの関係にどのような影響を与えるかも検証し、勤続年数の長い従業員群では、設定された目標の難易度と仕事のエンゲージメントが関連しないことも発見しました。

本研究成果は、ヨーロッパ会計学会誌「European Accounting Review」に掲載されました(2025年1月19日)。

(用語説明)

*1 目標の難易度:従業員に設定された目標の難易度を指し (Matějka and Ray 2017)、目標の達成に向けて「最大限の努力を要する」等の項目で測定されている。

*2 仕事のエンゲージメント:従業員が仕事に対して示すポジティブな心理的状態を指し、活力(vigor)、献身(dedication)、没頭(absorption)の3つの要素で構成される(Schaufeli and Bakker 2003)。

*3 心理的資本(PsyCap):次の4つの構成要素から成立する従業員の心理的状態のこと (Luthans, Youssef and Avolio 2007)。

  ① 自己効力感(efficacy): 難しい課題を成功させる自信。

  ② 希望(hope): 達成のための意欲と代替手段を考え出す力。

  ③ 楽観性(optimism): 将来の成功を信じるポジティブな見方。

  ④ 回復力(resilience): 困難や逆境から立ち直る力。

*4 モデレート効果:特定の2変数の関係性が、他の条件(モデレーター変数)の状態によって強まったり、弱まったりすることを示す。本研究では、目標の難易度と仕事のエンゲージメントの関係性が、心理的資本の状態によって強まることを、心理的資本のモデレート効果と記している。

研究成果のポイント

・従業員への高すぎる目標難易度は、仕事のエンゲージメントを低下させることを示唆。

・目標の難易度と仕事のエンゲージメントの関係を心理的資本が強化することを発見。

・勤続年数の長い従業員群の場合、目標難易度と仕事のエンゲージメントの関係がみられなくなる。

 

リリースの詳細については、下記関連リンクをご確認ください。

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