インタビュー
データ分析に必要なセンスと想像力は大学時代に培いました 小野寺和樹さん
プロフィール
2010年3月卒業
Yahoo! JAPAN データサイエンティスト
Sansan株式会社(クラウド名刺管理サービスを開発・提供する会社) 顧問
インタビュー
お仕事の内容をお聞かせください。
大学卒業後は金融コンサルタントをしていましたが、データ分析競技の世界大会KDD CUP 2015で準優勝したあと、Yahoo! JAPANに入社しました。現在はオークション担当として、データを分析することでユーザーの需要を予測したり、詐欺等の不正を検知したりする仕事をしています。他に副業としてSansan株式会社の顧問、某企業の総合研究所のデータ分析等にも携わっています。会社の看板でなく自分の実力で勝負できる世界なので非常にやりがいがあります。
データを分析するとはどういうことですか?
たとえばオークションなら、ユーザーの年齢、性別、これまでに買った品物、買い物した回数といった情報が残りますが、これらのデータを分析し、なんらかの法則性を導き出すことで、ユーザーが次に買いそうなものを予測することができます。皆さんの身近にあるコンビニエンスストアのようなお店も同じで、物販では販売の実績データを分析することで、商品のラインナップや在庫数を需要に見合ったものに最適化し、無駄のない仕入れや売上増加につなげることを目的としています。
物販だけでなく一般企業などでも、たとえば新しいプロジェクトで自分の意見を主張するときに、それが個人の思い込みではなく正当性のあることだと証明するにはデータの裏付けが必要だと思いますし、反対に信用性の低いデータを提示されたときには、それを見極める力も大事です。専門の分析官ではなくても、社会で仕事をするには、ある程度のデータ分析力が必要ではないかと思います。
データ分析には、どのような能力が必要ですか?
まず、データから法則性を導き出すために数学的なテクニックはもちろん必要です。私も大学時代にもっと数学を勉強しておけばよかったと思っていますが、単に数学だけをバリバリ勉強し、数字を処理できるようになればデータを正しく分析できるかと言えばそうではありません。ちなみに最近、あるテレビ番組で人工知能(AI)を使ったデータ分析を行った結果、ある町で病院数が減少したら病人も減少したという結果が出たそうです。これを番組では、病院が減ったことで高齢者の健康意識が高まったという解釈をしたそうです。しかし、自分の家の近くの病院がなくなってしまったら、重病の人は病院のある他の町に出て行くでしょうから、その結果が数字に表れたという可能性もあるのではないかと思います。たとえAIで多くのデータを処理することができたとしても、そのデータの意味を読み取ることができなければ、判断を間違うこともあるわけです。
つまりデータを分析するには、どの情報が重要で何が不要かといったことも見極めながら論理的に考えなければならないし、社会の動向や経済現象に関する知見も必要です。言ってみれば目利きのできるセンスがモノを言う仕事で、そのために必要な能力のひとつは想像力です。私は大学時代からいろいろな人と出会い、自分がそれまで知らなかった様々な話を聞くことで想像力を培ったと思っています。
※所属は取材時のものです。