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2024.03.29

総合理学研究所 久堀徹 客員教授が「2024年度日本植物生理学会学会賞」を受賞

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テーマおよび内容

研究題目:光合成エネルギー変換系酵素の機能制御の解明


私は、常に変動する光環境の下で光合成システムが正常に働くように制御している酸化還元制御に注目し、その全体像と分子機構の研究を行ってきました。まず、この制御の鍵タンパク質であるチオレドキシンを用いた親和性クロマトグラフィーを開発し、プロテオミクス手法によって制御ネットワークの存在を明らかにしました。そして、新技術の開発を含めて包括的にネットワークの解析を進め、還元側と酸化側の両方向の制御系を解明しました。さらに、分子モーターである葉緑体ATP合成酵素の回転軸部分に備わっている制御スイッチを分子レベルで調べ、光合成におけるATP合成の制御の全体像を記述することができました。

受賞のコメント

私が葉緑体ATP合成酵素の研究を始めたのは、修士1年の時です。光合成におけるエネルギー変換の鍵酵素として極めて重要な研究対象ですが、意外にも国内に研究者が少ない状態が長く続きました。この酵素の制御の研究が、光合成システムの制御機構として普遍的に働く酸化還元制御に発展し、大きく展開することができました。これまでに150名近い学生・スタッフが一緒に研究を進めてくれて、光合成の機能制御という世界全体を見渡すような研究成果を上げてくれました。今回の受賞は、一緒に頑張ってくれた皆の努力が認められたものと思い、心から感謝しています。

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