お知らせ

2021.12.24

【神大スタイル学生編集スタッフ取材記事】ソーシャルビジネスを手掛ける社会起業家・李成一さん(経済学部 山本崇雄ゼミ)の特別講義に参加してきました

  • LINEでシェア
  • Xでポスト
  • Facebookでシェア

12月13日(月)、経済学部 山本崇雄先生の2年ゼミでは「多文化共生を目指すソーシャルビジネスの立ち上げと経営」をテーマに社会起業家である李成一さん(ボーダレスハウス株式会社 代表取締役)を招いて特別講義が行われました。企業の利益の一部を社会貢献活動にあてるのではなく、社会貢献活動をビジネスにしながら社会問題を解決しようとする李さんの活動を紹介します。

 

現在、世界では難民や障がい者雇用、貧困など様々な社会問題があります。このような問題はこれまで、国や自治体などによって解決しようとするのが当たり前でした。儲からないからです。しかし、この儲からない、誰もやらない問題をボランティアにとどめるのではなく、ビジネスとして成り立たせようとするのが社会起業家の理念です。

 

李さんが所属する株式会社ボーダレスジャパンは、グループ会社全体でプラットフォームとして、社会起業家のためにノウハウや資金、人材を提供し、世界15か国で事業を展開しています。グループ全体で年間約50億円の売り上げを出しており、儲からなかったはずのボランティア活動が確かにビジネスになっていることに驚きますよね!

 

李さんは現在、国際交流を目的としたシェアハウス「ボーダレスハウス」を運営しています。ボーダレスハウスは、外国人に家を貸したくないという社会問題を解決するために建てられました。日本人と外国人が一緒に住みながら国際交流・多文化共生することで、特定の国や宗教に対する「無知無関心」からくる差別や偏見をなくそうとしています。そのために、近隣の人も交流するイベントを行うことで居住者だけではなく、地域にも多文化共生の輪を広げています。現在、東京53棟のほか、関西・ソウル・台北にも事業を展開しているので、国際交流がしたいという方にはぜひおすすめです。

 

ボーダレスハウスの特徴として、他社のシェアハウスよりも少し家賃が高く設定されています。意外に感じますよね。社会貢献したいなら高くする必要はないのでは、とゼミに参加する学生からも疑問が飛びました。そこで「ボーダレスハウスという事業は安くするビジネスモデルではないんです」と李さん。「安かろう、悪かろう」ではなく「高くても異文化交流できる」という付加価値をつけて得た利益によって事業を拡大し、さらに社会問題を解決していくというのが李さんの考え方です。同じ社会貢献でもビジネスを通すという過程の違いがよくわかる一幕でした。

 

講義の中で多く登場した言葉のひとつに「やりがい」があります。社会問題を解決しようとするソーシャルビジネスは利益追求だけが目的の一般的な会社ではないからこそ、「やりがい」がモチベーションになっているそうです。ボーダレスハウスも在日コリアンとして日本で生まれ育った李さんだからこそ、やりたかった仕事であり、決してやらされている仕事ではない「やりがい」があるのかもしれません。

 

近年では、持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいるかどうかで企業の社会的評価に差がついたり、学生が就職をする理由のひとつになっていたりします。しかし、そのような社会問題を解決しながらビジネスするということは自分にとっての「やりがい」を持ち続けられるかが重要になってくるのではないでしょうか。李さんのように失敗を恐れず「やってみないと分からない」という気持ちで挑戦することが大切です。

 

今までにないこのソーシャルビジネスも、これからの重要なビジネスのあり方になりつつあります。みなさんもぜひ注目してみてください。

(取材・文:神大スタイル学生編集スタッフ 神田 幸)

関連リンク