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2018.12.04

世界にここしかない研究を。『国策紙芝居からみる日本の戦争』日本児童文学学会 特別賞を受賞

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本学、日本常民文化研究所非文字資料研究センター「戦時下日本の大衆メディア研究」研究班(代表 安田常雄法学部特任教授/非文字資料研究センター研究員)が編集する著書『国策紙芝居からみる日本の戦争』にて、日本児童文学学会特別賞を受賞しました。

「国策紙芝居」とは、戦時中、戦争の正しさ、国民の心構えを啓発する紙芝居であり、子どもを含め、人びとを「総力戦」に統合する役割を果たしました。しかし、その多くが敗戦から占領に至る間に焼却されるなど、散逸してしまい全貌がつかめていませんでしたが、本学研究班が各地の調査を実施し、研究を重ねたことが評価され、今回の受賞に至りました。

受賞に際し、代表の安田常雄特任教授は「思いがけない受賞でびっくりしていますが、研究は今後も続きますので大変励みになりました。また今まで光が当たらなかった国策紙芝居ですが、新聞や書評等で取り上げていただいたこともあり、“実は家にあります”などの声も寄せられ、現在は241点所蔵をしていますが、この受賞をきっかけにさらなる研究の推進になったらうれしく思います」とコメントされました。

受賞作品について

【受賞作品】
『国策紙芝居からみる日本の戦争』(神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター第3期研究成果報告書)勉誠出版、2018年2月28日
神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター「戦時下日本の大衆メディア研究」研究班 代表・安田常雄 編著

【贈賞の理由】
本書は、戦後その多くが散逸して不明であった「国策紙芝居」の詳細な調査結果に基づく「解題篇」「論考篇」「データ編」から成り、これまで明らかにされていなかった「国策紙芝居」の全体像とともに、戦時下の紙芝居制作の背景や子どもたちの享受の状況を浮かびあがらせたその意義は大きく、今後の児童文学・児童文化研究に資するものである。

【受賞グループの紹介】
神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センターは、2008年4月に発足し、2012年度に戦時下の紙芝居241点(「戦意高揚紙芝居コレクション」)を購入・収蔵した。それを契機に、本センターは2014年度より「戦時下日本の大衆メディア研」研究班を組織し共同研究をおこなう。研究班代表は安田常雄法学部特任教授(非文字資料研究センター研究員)。

【共同研究班メンバー】
安田常雄(神奈川大学法学部特任教授)、新垣夢乃(東京福祉大学)、大串潤児(信州大学人文学部)、小山亮(公益財団法人広島平和文化センター)、鈴木一史(昭和館)、富澤達三(松戸市立博物館)、原田広(神奈川大学非文字資料研究センター)、松本和樹(神奈川大学歴史民俗資料学研究科)、森山優(静岡県立大学国際関係学部)