
Takahashi Tomoki
髙橋 知希 特任助教
Profile
出身地/青森県
尊敬する人/両親、学生時代の恩師
趣味/スニーカー集め
休日の過ごし方/買い物
好きな映画/『スラムドッグ$ミリオネア』
好きな食べ物/寿司、すき焼き、天ぷら
微分積分の方程式で身近な現象を数学的に理解する経験をしてほしい。
流体の運動を記述する「ナヴィエ-ストークス方程式」
水や空気といった流体の運動を記述する「ナヴィエ-ストークス方程式」の数学解析を専門としています。これは、主に流体力学で用いられる偏微分方程式です。土木技術者のアンリ・ナヴィエが考案し、物理学者のジョージ・ガブリエル・ストークスによって、方程式として導かれたものになります。私は、このナヴィエ-ストークス方程式を用いて、飛行機の翼にあたる気流など、運動する物体の外部を占める流体の運動を解析しています。
高校時代から数学が好きで、国公立大学の教育学部で高度な数学を学ぶうちに微分積分の面白さに気づき、大学院の博士課程でも数学の研究を続けました。流体のような複雑な現象を微分積分の数式に結びつけ、それを解明できた時に大きなやりがいを感じます。非常に難しい分野だと思いますが、その面白さを学生の皆さんにわかりやすく伝えたいと思っています。
神奈川大学では、解析の他、工学部の1・2年生を主な対象とする微分積分や線形代数の授業を担当しています。どちらも理工系の基礎科目であり、計算できるだけでなく、公式や定理が導かれる過程を含めて理解することが望まれます。そこで、講義の前半は図や具体例を用いて定理の意味や背景の解説をし、後半は演習の時間としています。
大学で学ぶ「微分積分」は、どうしても難しいと思われがちです。そこで、微分積分をやるとどのような現象を理解できるようになるのかを、豊富な事例とともに学んでいきます。
工学部の力学の学びにつながる道を示すのが、この授業の役割だと思っています。同様に「線形代数」も情報系の学びに直結します。ただ、「何かに役立つから」といって無理やり学ぶのではなく、数学自体の面白さに気づいてほしい。義務感が好奇心に変わる瞬間を味わってほしいと思っています。
数学は自分で解いてみないと本当には理解できない
授業で学生の皆さんに身につけてほしいのは、謙虚に、主体的に努力する姿勢です。計算問題を通して、たくさん失敗して、試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの答えを見つけ出す経験をしてほしいと思います。
それは大学時代の学びにおいても同様です。大学に無駄になる授業はありません。何でも挑戦し、たくさん学び、吸収してほしいですね。私も大学時代からずっと自分のやりたいことを続けてきました。学部時代に恩師から紹介してもらった微分積分の教科書がきっかけとなり、今でも研究を続けています。教員という学生に教える立場になり、ますます数学を深く理解しなければいけないと思っています。
数学は、自分で解いてみないと本当に理解することはできません。しかし、がんばって粘り強く向き合ってみると、本当に必要な時に役に立つツールになります。数学は工学の基本なので、機械工学、電気電子工学、生物工学、情報工学のさまざまな研究テーマで役に立ちます。実をいうと、学部時代の私は「これが何の役に立つのだろう?」と思いながら微分積分を学んでいました。しかし、実際に現象を解き明かせるまで理解できるようになると、数学がどんどん面白くなっていきました。身近な例でいえば、洗面所の栓を抜くと、水はグルグル回りながら排水口に向かって流れていきます。こうした現象を数学的に理解することで、世界はまったく違う形に見えてきます。大学の高度な数学を通して、現象を読み解く新たな視点を身につけてほしいと思います。

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