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2024.11.21

受験と心理について、人間科学部 山蔦先生(公認心理師・臨床心理士)に聞きました

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山蔦先生は、人間科学部教授であり、公認心理師・臨床心理士としてもご活躍されています。これから受験シーズンが本格化していきますが、今回は受験と心理(こころの変化)との関係についてお話を伺います。

 

受験と心理(こころの変化)について

不安や心配を抱えながら日々勉強に励んでいる受験生は多いと思います。強いストレスを抱えると、こころは大きく変化し、こころの健康を損ねることもあるようです。不調の予防や改善策について教えていただければと思います。

 

― こころが不調になりやすい時期はありますか?

春先と秋口は調子を崩す方が多いように感じます。春は周りのみんなが輝いて見え、自分だけ取り残されているような感じがしたり、秋はどこかもの寂しい感じがしたり、こうしたことも原因かもしれません。また、気圧の変化や日照時間の影響が心身に影響を与えるという研究データもあるので季節とこころの変化は密接に関係するといえるでしょう。

 

― 受験とこころの不調に関係はあるのでしょうか?

受験時は過度の緊張状態が続くので、追い詰められたりプレッシャーを感じてきつい思いをする方もいらっしゃると思います。
気をつけることとして、まずは病気をしないことが大切です。風邪やインフルエンザに罹っても、焦らずしっかり休むことが重要です。心身相関(心理的なストレスや喜怒哀楽といった情動が身体に影響を与え、さまざまな反応が生じる現象)という言葉があるように、身体の健康とこころの健康というのは連動しています。身体の健康を保つことはこころの健康にもつながります。勉強と合わせて、簡単に運動をしてください。筋肉の緊張がほぐれると、こころの緊張もほぐれてきます。近所をぶらぶら散歩するだけでも構いません。
 

― 周りからのプレッシャーはどうでしょうか?

さまざまな他者からのプレッシャーを感じることもあるでしょう。受験に限らず、何かに取り組み成し遂げようとする時には、自分以外の存在から「期待という名のプレッシャー」を感じることも多いですね。たとえば、保護者は⼦どもに期待を抱きますが、それは子どもにとっては、時にプレッシャーにもなり得ます。 何かに取り組み成し遂げようとする時、そんなプレッシャーにイラつきを覚えることや「もう放っておいて」と思うことがあるかも知れません。そんな時は、自分以外の存在(プレッシャーの源)から距離を置くことも大切です。いつか振り返ったとき、プレッシャーと感じていたものが期待だと感じられるようになることもあるでしょう。
一方、受験生を取り巻く環境(他者)は、受験生に対する期待を良い意味で手放すことも重要です。多感な時期で心理的にも独立していく段階にあるので、その過程を見守るということも⼤事だと思います。苦しく厳しい時期は、その状況から少しだけ距離を置くことがキーワードなのかもしれません。

 

― 最後に一言お願いします。

神奈川大学は学びの場として素晴らしい環境ですから、神奈川大学を受験する方は、入学したいという気持ちを最後まで持ち続けて欲しいと思いますと語る山蔦先生
神奈川大学は学びの場として素晴らしい環境ですから、神奈川大学を受験する方は、入学したいという気持ちを最後まで持ち続けて欲しいと思いますと語る山蔦先生

失敗しても大丈夫というくらいの気持ちで臨んでください。失敗すると全てが終わったように感じるかもしれませんが、そこから新しい成功や気づきが生まれることもあります。また、合格後や進学先で、例え自身が願っていた進路だったとしても、理想と現実のギャップに直面することもあります。しかし、それは成長の一部であり、「こうでなければならない」という自身の価値観にとらわれず、「こうでなくてもいい」という柔軟な考え方を持つことが大切です。

 

神奈川大学発ベンチャー 合同会社メンタルヘルスケア・ネットワークについて

― 神奈川大学は、大学の研究・技術を社会実装し、より良い社会の実現に寄与するため、神奈川大学発ベンチャー認定制度を設けています。2024年2月、山蔦先生が代表を務める合同会社メンタルヘルスケア・ネットワークが認定されましたが、どのような会社ですか?

医療者のケアをメインにしていますが、様々な事業が増えています。オンラインプラットフォームを作って心理職の再教育をしたり、海外から教育コンテンツを作ってもらえないかというような相談もあります。今回法人化にしたことで仕事も広がり、色んなメンバーと一緒にやっていくことが楽しく、大学発ベンチャーの窓口を担ってくれている産学官連携課とやり取りするのもすごく刺激的です。関わる人がみんなハッピーになって欲しいと思いますし、この仕事をやっていて良かったなという組織を作りたいなと思います。

 


 

多忙な山蔦先生にリフレッシュする方法を聞いたところ、「仕事です」と即答されました。海外の国立大学に赴いた際、日本の心理学教育の質の高さを実感したそうです。今後は日本の心理学や臨床心理学の良いところを海外に発信し、逆に海外の教育の良いところを取り入れたいとも話されていました。また、子どもたちのため、社会と地域をつなぐ事業にも取り組みたいとのことです。

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