お知らせ

2022.03.25

工学研究科の谷本優斗さん、井口翔太さん、林眞太朗さんが「第28回ユニオン造形デザイン賞」で佳作賞を受賞しました

  • LINEでシェア
  • Xでポスト
  • Facebookでシェア

工学研究科修士1年の谷本優斗さん、井口翔太さん、林眞太朗さんが公益財団法人ユニオン造形文化財団の「第28回ユニオン造形デザイン賞」で佳作賞を受賞しました。

受賞者氏名

谷本優斗 井口翔太 林眞太朗

賞の名称および学会名称

第28回ユニオン造形デザイン賞(公益財団法人ユニオン造形文化財団)

テーマおよび内容

「ふるまいの共振」をデザインして欲しい。そもそも建築とは、ある特定のふるまいを集積させたものである。本を選び、読み、借りるふるまいを集積させれば図書館ができる。しかし、しばしば私たちの設計はふるまいを深く見つめることなく、部屋や家具のレイアウトに終始してしまう。この課題は、建築をふるまいとそこから立ち上がる感性の集積として再定義するものである。ふるまいは、行為の模倣を意味する「振り」と、反復を意味する「舞い」という文字からなる。赤ん坊が行為の模倣と反復を通じて共感を紡ぎ、共同体の一員となるように、ふるまいとは私たち集団の記憶と感情が折り畳まれた、言語化できない文化的体系である。そこには、個人と集団の心理に届く設計の可能性がある。今までの設計論では、人の心は主観的で定性化できないとして、積極的 に言及されてこなかった。
しかし、行動主義心理学や認知心理学が明らかにしたのは、人間は感情があって行動するという一般的 な理解の他に、行動があることで感情や認知が生まれるという事実である。そこで皆さんには是非、建築的な視点から人間を見つめ、ふるまいの観察を通じて、人の感情を捉えてほしい。必要なのは、対象の動きを捉える微視や動体視力なのである。今回の課題で求めたいのは、ふるまいを「共振」させることだ。ある特定のふるまいが複数の身体に自然と起こるとき、共感が生まれる。宗教や祭礼の儀式、農村やギルドなどの共同体、芸道や武道といった道と呼ばれる日本の伝統もまた、ふるまいの型とその 共振が核にある。日常的にも、私たちはおじぎや会釈、頷きなどのふるまいを共に重ね、「つぶやき」や「イイネ」といったふるまい をネットに重層させて、社会を紡いでいる。社会というものを、複数の身体の具体的な動きとして考えると、空間にできることは多い。それは、格差が広がり、共通の規範や絶対的価値が失われた現代において、建築が再び社会に資することのできる、大いなる可能性ではないか。提案は、都市や建築、家具やプロダクトなど、どんなスケールのものでも良い。ふるまいも、今まで誰も着目してこなかった些細な ものや、コロナ時代の新しいふるまいでも良い。それをどのように複数の身体に共振させ、そこからどのような感情を立ち上げ、共同体を築くのか。身辺から立ち上がりながらも、大きく広がりのある提案を期待している。

受賞のコメント

このようなコンペティションにおいて入賞を頂き、大変嬉しく思います。また、それと同時に自分たちの学びの至らなさについても、審査員方のご意見をいただき深く実感することとなりました。この結果をさらなる学びへとつなげられるよう、努力して行きたいと思います

関連リンク