AIを活用し、DXを推進。社会課題を解決する数理モデリングを学ぶ

さまざまな事象が複雑に絡み合う現代社会においては、これまでの経験則や一つの発見・発明によって解決できない課題が数多く存在します。たとえば、交通事故や渋滞といった課題を改善するためには、信号制御や道路の形状、時間や季節などの状況だけではなく、予測が困難な人の動きまでも、AIなどの技術を活用したシミュレーションにより新たな施策が求められます。
そのために必要な力とは、社会のしくみを理解し、課題解決へと導くシステムを構築するための根幹となる数理モデリングの知識や技術であり、情報学と数学に基づいた数理的観点から物事を考える力です。

システム数理学科では、このような情報に関わる幅広い専門知識を持ち、複眼的且つ倫理的な視点で物事をとらえ、他者との共創に生かすコミュニケーション能力と技術力に裏付けられた真の問題解決能力を兼ね備えた人材を育成していきます。

4年間の学び

基礎から応用へ発展的に学ぶ

1・2年次

入学直後の前期には、「システム数理概論」という授業で、情報学と数学をもとにした数理モデリングを概観することを目的に、問題解決思考、対象とするデータの種類、さらに数理モデリングにおける視点について、講義と多くの例題をもとに理解を深めていきます。また、例題を通じて数理モデリングに基づく問題解決を学生自らが実践し、本学科における他講義での学びとその展開方法を修得していきます。

3・4年次

3年次からは専門発展課程へと進み、高信頼システム、セキュアシステム、複雑知能システム、データ分析システムの各分野での専門的な知識と技術を修得し、4年間の学びを通して、基礎から発展へと体系的な学修をしていきます。本学科での学びを通して、数理モデリングと情報システムの専門分野に精通した人材を育成していきます。

Pick Up

数理モデリングとは

世界では複数の要素が相互作用する中で、さまざまな現象が生まれていますが、それらを正しく理解するにはモデルが必要です。脳のモデル、生命反応のモデル、コンピュータのモデル、経済のモデル、インターネットのモデルなどを用いることで、問題が発生した時の分析や検証、あるいは管理といったシステムとして何を準備すればいいかを明確にするために、不必要な情報をそぎ落とし、本質的な部分に焦点を当てて、数式や図表などを用いて対象を正しく表現します。数理モデリングは、問題解決を実行する際の鍵となる手段となります。

世の中の見え方が変わる!?

神奈川大学に2023年4月、新たな学科が誕生しました。情報学部システム数理学科です。この学科ではどういったことを学べるのでしょうか。
今日はシステム数理学科の初年度の必修科目である「システム数理概論」について、授業を担当されている秋吉政徳教授にその面白さをお聞きしました。

Pick Up 授業

最適化数理

もっとも楽な乗り換え方法も、最適化数理の対象問題だ

最適化とは、与えられた条件の中で最適解を求めるための手法であり、工学など自然科学だけでなく、社会科学領域における問題解決にも役立ちます。問題をモデリングし、それを解くためのアルゴリズムの構築を数学的に学び、現実の問題へ適用するための技法の修得を目標とします。

ゲーム理論

ゲーム的状況において最適戦略を考える

ゲーム理論は、経済分野から発展してきた学問です。John Forbes Nash Jr.はゲーム理論に関する功績により1994年にノーベル経済学賞を受賞しています。現在では、社会システムの分析や人工知能などさまざまな分野で応用されています。この授業では、ゲーム理論の基礎的な概念であるナッシュ均衡やパレート最適について学んでいきます。

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卒業後の進路

論理的思考力を生かして情報産業などで活躍

4年間の学びで培った情報の基礎知識や問題解決能力を生かして、情報分野の産業を中心とした活躍の場があります。流れの早いIT業界では、職業選択においても柔軟に対応できる人材が求められています。具体的には、確固たる専門知識によりシステムやプログラムを構築したり、また、官公庁での政策・方針や企業などでの戦略を決めることもできる「論理的思考力」を持った人材の輩出を目指しています。

進路先例

  • ソフトウェア開発者、エンジニア、コンサルタント、プランナー
  • 中学校・高等学校教員(数学、情報)

取得可能な資格

  • 中学校教諭一種免許状(数学)
  • 高等学校教諭一種免許状(数学、情報)

在学中の学修により資格試験に向けた準備ができるなど学科との結びつきが強い資格

  • 基本情報技術者、応用情報技術者、情報セキュリティマネジメント(情報処理技術者)、ソフトウェア品質技術者資格、G検定(ジェネラリスト検定)、E資格(エンジニア資格)など
JINDAI CAREERS

先輩たちの学びと卒業後のキャリアをご紹介するJINDAI CAREERSから、卒業生のインタビューをピックアップ。

求める学生像・受験生へのメッセージ

論理的思考力や原理原則を見抜く力を身につけてほしい

移り変わりの激しい現代において、どのようなことにも臨機応変に対応していくためには、幅広い知識が必要です。そのために、数学を基盤とした情報学部での学びが大切になってきます。情報学部は、パズルや数独などを解いていくことに楽しさを感じたり、とことん突き詰めて考えていったりすることが好きな人には、論理的思考力を高めながら、成長していける場です。

たとえ複雑な問題であっても、論理的思考力や原理原則を見抜く力があれば小さな問題にブレイクダウン(分解)して、問題解決への道筋を立てていくことができるのです。これからの時代を担うみなさんにとっては、経験をしていない未知の状況で新しい価値を見いだし、問題解決していく力が必要になります。

学びの場では、失敗することを恐れずに、失敗した時にはきちんと原因を見極めて、次は同じ失敗をしないという心構えが大切です。大学でたくさん失敗してください。あきらめずに、地道に積み重ねていくことで、道は拓けるはずです。

学生のみなさんには、さまざまなことを「自分のこと」として捉え、自分で考えて、結論を出せる社会人になってほしいと思っています。そして、社会に出たときに「大学で学んだ情報学の基礎や知識、技術が支えになった」と実感できるような教育を目指していきます。

システム数理学科の特徴

Feature 1

基礎から応用までじっくりと学べる

入学直後から「情報学」と「数学」をもとにした数理モデリングを概観した上で、数理モデリングにおける視点について講義と例題をもとに理解を深めます。1・2年次は基礎を徹底的に学修し、後半2年の発展的な学びへと進みます。

Feature 2

3年次からは発展的な学びも展開

3年次からは専門発展課程へと進み、高信頼システム、セキュアシステム、複雑知能システム、データ分析システムの各分野での専門的な知識と技術を修得し、4年間の学びを通して、基礎から発展へと体系的な学修をしていきます。

Feature 3

共創社会におけるシステムをデザイン

変化し続ける社会や身の回りの状況をモデリングという普遍的道具の視点を通して表現、分析することで、本質的な問題の発見・解決できる能力とそれを伝える表現力を養い、共創社会で活躍できる人材をめざします。

Feature 4

ユニークな研究室が揃っています

AI、セキュリティ、応用数学をはじめとして、これからの共創社会の問題をさまざまな切り口から扱う多彩な研究室が揃っています。日々の研究を通じ、「システム」と「数理モデリング」に精通したスペシャリストをめざします。

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専門的な知識と技術を修得

高信頼システム
システムの品質保証・検証に関わる科目群。数学(代数・位相)も含めた論理的な方法に基づいてシステムの信頼性を高める技術を身につけます。
セキュアシステム
システムの安心・安全に関わる科目群。論理や暗号の数学的な理論に基づいて安心・安全なシステムを実現する技術を身につけます。
複雑知能システム
システム要素としての知能や生命に関わる科目群。数学(解析、線形代数、確率・統計など)に基づいて複雑な現象の理解や実社会の問題解決に役立つ理論・技術を身につけます。
データ分析システム
数学やプログラミングを適用することでデータの潜在的特徴の抽出や「見える化」を行える技術を身につけます。

取得可能な資格・免許状

所定の科目の単位を修得することで卒業と同時に(または実務経験を経て)資格などが得られる。
  • 教員免許状(高校一種数学・高校一種情報・中学一種数学)
  • 社会教育主事・社会教育士 ※
  • 学芸員
  • 日本語教員
在学中の学修により資格試験に向けた準備ができるなど学科との結びつきが強い資格。
  • 基本情報技術者
  • 応用情報技術者
  • 情報セキュリティマネジメント(情報処理技術者)
  • ソフトウェア品質技術者資格
  • G検定(ジェネラリスト検定)
  • 資格(エンジニア資格)など
  • 本学社会教育課程の修了者は「社会教育士(養成課程)」と称することができます。