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2023.01.20

学習の成果が光った「文化の祭典」

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(取材・撮影:神奈川大学みなとみらいマスコミ研究会 遠原さくら、笹崎真生)

2022年11月29日、みなとみらいキャンパスの米田吉盛記念講堂で「第2回 文化の祭典」が開催。本記事ではその様子と、運営の裏側についてお伝えしていきます。

文化の祭典とは、国際日本学部(国際文化交流学科・日本文化学科・歴史民俗学科)と外国語学部 国際文化交流学科が合同で行う学部祭です。今年は3限と4限の2部にわたって行われました。

第1部 学習成果発表

各学科の学生たちが、個性溢れる発表を披露しました。学生と先生の投票によって最優秀賞と優秀賞を決定する、コンテスト型式になっています。

●1団体目
英語英文学科の学生たちによる、英語での落語「粗忽者」です。自分の顔をした死体を見て、自分がいったい誰なのか分からなくなってしまうお話です。
英語もさることながら、自然な演技に引きつけられました。混乱のさなかの叫び声も絶妙なものでした。

●2団体目
日本文化学科の学生による、歌舞伎の演目「白波五人男」についての解説です。
複雑な人物関係を軽快に紹介し、普段触れる機会の少ない歌舞伎に興味が持ちやすいものとなっていました。五人の盗賊にある決め台詞が、現代のスーパー戦隊の名乗りの型式に繋がっているという紹介には非常に驚きました。歴史を受け継いでのものなのですね。

●3団体目
国際文化交流学科の学生たちによる、英語での落語「まんじゅうギャング」です。
よく知られた「まんじゅうこわい」のストーリーは見ていて分かりやすく、楽しむことができました。ときどき「マジ」や「嘘つき!」といった日本語のリアクションを巧みに交じえて笑いが起きていました。

●4団体目
国際文化交流学科の学生による弾き語りです。
1曲目はあいみょんさんの曲を力強くカバーし、2曲目ではオリジナルソングを切なく歌い上げました。様々な色を魅せた歌声に、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。

●5団体目
国際文化交流学科の学生たちによる、英語での落語「The fastest pots delivery in Japan」です。巧みな話術で大きくまけてもらった壺を、人力車でデリバリーするお話です。
カートを人力車に見立てて疾走したり、デスクを電車に見立てて動かしたりとステージを大きく使ったパフォーマンスでした。

●6団体目
歴史民俗学科の学生による、民主主義についての講義です。形式的民主主義・実体的民主主義によって民主化の度合いが違ったり、民衆から選ばれたはずのヒトラーが引き起こした悲劇があったりといった、民主主義の問題点を知ることができました。「本当の民主主義とは?」を考える良い機会になりました。

第2部 尺八演奏家の小濱さんによる演奏会

尺八は竹に穴が5つ開いたシンプルな楽器ですが、演奏方法によって多種多様な音色を出すことができます。息を激しく吹き込んで風の音、舌で音を震わせて動物の鳴き声、といったように自然の音を表現することができます。尺八の大きな特徴であり魅力でしょう。普段楽器からは聞かないような音がとても新鮮で、聴き入りました。
流れるように音が揺れる「打波」、ゆったりと余韻のある「本調」、激しい風の音が多い「山越」と、個性豊かな3曲を披露されました。

全てのパフォーマンスを終え、3限で行った学生発表部門での表彰結果が発表されました。優秀賞を受賞したのは「まんじゅうギャング」、そして「The fastest pots delivery in Japan」を披露した2団体です。最優秀賞は、弾き語りを披露された学生でした。おめでとうございます!

文化祭(文化ウィーク)実行委員会へのインタビュー

最後に、祭典の運営を務めた文化祭(文化ウィーク)実行委員会3年の学生にインタビューをしました。
文化祭(文化ウィーク)実行委員会は、文化祭(文化ウィーク)中のイベントを企画・運営している委員会です。毎週月曜日と木曜日の昼休みに17027でミーティングを行っています。

―――まず文化祭(文化ウィーク)実行委員会​についてお伺いします。この委員会をいつ、どういった経緯で知りましたか?
私が1年生の頃、2020年度はコロナ全盛期で、1回もキャンパスに行けなかったんです。知り合いも作れませんでした。後期に移動したFYSで、11月頃にFYSで先輩たちが来てくれました。そこで文化祭(文化ウィーク)実行委員会を知りました。私は誰でもいいから大学の関係の人との繋がりが欲しいと思い、半ばやけになりながら入りました(笑)。

―――委員会に入って、得られたものはありますか?
(自宅待機の間)大学生が身近にいなかったので、大学生の先輩ができて、大学ってこういう人間関係ができるんだっていうのがわかりました。あと、ちょっと感染状況が落ち着いてきた頃にその先輩たちと一緒に中華街に行きました!久しぶりに外に出られて、中華街という横浜らしいところに行けて楽しかったですね。

―――文化の祭典についてお伺いします。この祭典を開催する目的は何でしょうか?
日ごろどのような勉強をしているのか、その成果を発表する場っていうのが一番の目的になっています。文化の祭典って、外国語学部 国際文化交流学科だった頃は「言語の祭典」というイベントをやっていて。それぞれの第二外国語を使った劇・発表などを行っている場でした。学部祭の中心が国際日本学部になって、言語だけではなく、一体どういう風にするべきかと考えた結果、包括して「文化の祭典」という名前を付けました。特に国際日本学部は、それぞれの学科ごとでやっている内容が異なります。学部内の別の学科の人たちがどういうことをやっているのか見る貴重な場に、っていうのもあります。「多様性を再確認する場」ですかね。

―――祭典を運営するうえで苦労されたことはありますか?
やはり新しい学部であることや、新キャンパスで行われるイベントっていうことで、先生方からの期待がものすごく大きいんです。手厚く助けていただきました。前例がない中で、新しいものを作らなきゃという思いもあり、まだまだ過渡期っていうところがあります。委員同士も意見が割れて衝突して、どうやって一つにしていくかっていうのも大変です。多くの先生が来てくださるので、プレッシャーが大きかったです。あとは、学生の参加者が少ないんじゃないかっていう不安もありました。せっかく来てもらっても、退屈させてはいけないなって思ってました。

―――先生方との団結も必要になりますね。
全体像が分からない中、道を自分たちで切り開いていかないといけないみたいな感じです。集客の面でも先生方の協力が必須だったので、こんなに頼っていいのだろうかっていう心配はありました。もっと学生主体になれたら、っていうのが理想かなと思いました。

―――文化の祭典を終えての反省点はありますか?
今年の文化の祭典は去年とは違いました。去年は2つのイベントを分けてやったんです。でも、ゲストをお呼びして行った多文化フェスタっていうものには、集客に課題が残りました。2つのイベントを同日にまとめた方が人が来るんじゃないかと。(今年は)学生発表の場とゲストの発表の場の2部に分けて、文化の祭典って形にしたんです。学生発表は投票で順位を決めるんですけど、この順位の発表を一番最後に持ってくれば学生が最後までいてくれるんじゃないかなって期待してました。課題解決とはなりませんでしたが、それでも、ゲストの尺八の先生の公演にはたくさんの人が来てくださいました。

―――2つのイベントを1日でまとめる方法は効果的でしたね。
ここだけの話、もともと1年生がたくさん入ってきてくれたので、イベントを4つにしないかっていう提案が先輩の方から出ていました。学部が集まって行う祭典と、学科ごとに発表するフェスタを開催したら、それぞれ深いものができるんじゃないかという意見がありました。運営側の負担が大きいと、意見が衝突することもありました。たくさんの人の思いや願いを1つにまとめることの大変さを実感しました。

―――祭典を終えて良かった点はありますか?
たくさんの先生方に「大成功だったね」と言っていただけたことが一番嬉しかったです。本番中のトラブルも多く「もうこれは上手くいかないかもしれない。なるようになれ!」と思いましたが、無事に終えることができ安心しました。

―――本番中、どういったトラブルがありましたか?
発表者が遅刻してしまったトラブルがありました。でも、そういうトラブルもあってこそイベントなのかなって思ってます。当時は大変でも、終わってしまえば全部いい思い出になったかなって思ってます。もともと私、あんまり人前に立つのとか好きじゃなくて…。それでも、やってみれば嫌でも成長するんだなって実感しました。なので是非、自分を変えたいって方におすすめの委員会です。

―――来年度以降、祭典の発表に参加したい学生にメッセージをお願いします。
たくさんの人が集まる個性的なイベントなので、怖がらずにどんどん参加してきてほしいです!

―――発表の内容はどのようなものを募集していますか?
基本的には普段の学習成果を発表する場ってなっています。歌を歌ったり、劇を行ったり、プレゼンテーションを行ったりが多いと思います。学習、と言うと怪しいものもありますが、そもそも名前が「“文化”の祭典」なので。とにかく、今はイベントが少ないので、荒んでいる心をちょっとでも癒してもらえたらと思います。

文化の祭典は、学科ごとの学生の個性とたくさんの文化に触れることができる素敵なイベントでした。
来年度以降もよりよく発展して続いていくことを願っています。