人間科学研究科

人と社会への深い理解と高度な専門知識・実践力を備え、
現代の諸問題を解決に導く人材を育成する

少子高齢化・核家族化・国際化が進む現代にあって、質が高く心豊かな生活を可能にする社会の構築には、深い人間理解と、社会が抱える多様で困難な問題に適切に対応できる高度な専門知識・実践能力を兼ね備えた人材が必要とされます。本研究科では、心理学・社会学・スポーツ健康科学を中心とした人間科学の専門知識および技術に加え、社会の変化に主体的に対応し得る幅広い視野と総合的な判断力、多岐にわたる問題の分析・解決能力を磨いた人材を育成し、社会の要請に応えます。
学部卒業生はもとより、多様な経験を有する社会人・留学生が共に研究に励み、修了後は身に付けた専門性と総合力で人と社会を支え、諸問題の解決に向けて果敢に挑戦してくれることを期待します。

2020年度から公認心理師(国家資格)対応カリキュラムで「心理学の専門家」育成を目指します!

研究科の特色
本研究科では人間科学専攻のもとに2つの研究領域を設け、スペシャリストを目指すための人間・社会に関する研究や、学問的専門性を持って実社会で活躍することを目指す学修など、院生各自の学修目標に合わせて、その達成を支援します。人間科学領域では、人間を身体や心理、社会という観点から実証的に計測し、分析する能力、そうして得た知見を応用し、現代社会に還元する能力を養成します。
指導サポート体制
研究指導は指導教授のもとでの演習を基本として行われ、専門分野の知識を深め、技能を修得するよう支援します。その上で、柔軟性のあるカリキュラムによって関連分野の複数の教員による多様な指導が受けられ、自主的に学問する能力を磨くことができます。徹底した個別指導により、独創的な発想に立った研究と、その成果に基づく論文の完成へと導きます。
修了後の進路
博士前期課程の修了者は研究活動を通して身に付けた豊かな学識と企画力・公表力・自立力を基盤に、臨床心理士等の高度な専門的職業人として、産業界、公務員、福祉・教育機関、病院などの多様な場で活躍することが期待されます。また、 博士後期課程の修了者は、より高度な研究能力と豊かな学識に裏打ちされた新たな知見や価値を創出できる能力を基に、大学および各種研究機関の研究者、教育機関の指導者のほか、企業・行政の各種調査分析や立案に従事するなど、社会の多様な場で中核的人材として活躍することが期待されます。

人間科学専攻

2009年4月博士前期課程・博士後期課程として発足。

主な就職先

小田原市役所/特別区人事委員会/群馬県こころの健康センター/相模原市立青少年相談センター/学校法人幾徳学園 神奈川工科大学/常葉大学/小田原市教育委員会/町田市教育センター/学校法人横浜学園 横浜学園高等学校/スマートキッズ株式会社/特定非営利活動法人ユースポート横濱/医療法人社団明萌会 大塚クリニック/医療法人滔々会 金沢文庫エールクリニック/医療法人FLATS ヒルサイドクリニック/よこはま東部ユースプラザ/社会福祉法人青い鳥/こども家庭センター/社会福祉法人真生会 白百合ベビーホーム/特定非営利活動法人ピアネット北/社会福祉法人旭児童ホーム 児童養護施設旭児童ホーム/社会福祉法人横浜婦人クラブ愛児園/社会福祉法人横浜やまびこの里/特定非営利活動法人メンタルケア協議会/BASFジャパン株式会社/株式会社岐阜新聞社

臨床心理学研究領域 臨床心理学分野

徹底したスーパーヴィジョン・システムと少人数教育で、研究にも実践にも優れた臨床心理士を養成

分野の特色

企業人のうつ病や子どもの不登校が社会問題となり、健康な生活を続けるには心の問題が重要であることが知られるようになりました。日本ではこのような問題に取り組む専門職として日本臨床心理士資格認定協会の認定を受けた「臨床心理士」が各方面で活躍しています。本研究領域は、2010年度に臨床心理士の受験資格に関する第1種指定大学院となり、充実したスタッフ・施設・カリキュラムを整えています。カリキュラムは、教育・医療のほか、産業も重視した内容となっています。
臨床力を付けるにはケースのスーパーヴィジョン*が不可欠ですが、本分野では、個人およびグループ指導での徹底したスーパーヴィジョン・システムを導入しており、全国でも屈指の実践的学習が可能です。「個人スーパーヴィジョン」では、 学内の心理相談センターで大学院生が担当したケースに対し、 経験豊かな10名のクリニカル・スタッフ(臨床心理士)が助言を行います。1セッション終えるごとに毎回指導を受けて、臨床的な理解を深めながらカウンセリングを実施できるのが特色です。「グループ・スーパーヴィジョン」では専門性豊かな6名の専任教員(臨床心理士)が、ティーチング・スタッフとしてグループのスーパーヴァイザーを務めます。このようにクリニカル・スタッフとティーチング・スタッフが分業・協力体制を取ることにより、それぞれの専門性や経験を存分に生かした指導を行っています。両スタッフを揃える多面的・多層的で徹底した本分野のスーパーヴィジョンは、全国でも希な教育システムと言えます。
博士後期課程では、心理臨床家の指導者や研究者に必要となる、さらに高度な研究能力と臨床力を養っていきます。また、臨床心理士など、社会人が在職したまま修学できるようにカリキュラムを構成しています。
★ 臨床心理学研究領域は、臨床心理士受験資格に関する第1種指定大学院として指定後4年目を迎えた2013年度、日本臨床心理士資格認定協会の実地視察を受け、審査の結果「A評価」を取得しました。 これは、分業・協力体制による独自のスーパーヴィジョン・システム、少人数による密度の濃い臨床心理教育、産業領域に力を注ぐ実習教育、臨床心理士資格試験の高い合格率、良好な就職状況などが評価されたものです。
「A評価」を受けた第1種指定大学院は全国約150大学院のうち1割にも満たないとされており、この結果は、 本学の臨床心理教育が全国でも高い水準であることを意味します。
*スーパーヴィジョン:カウンセラー訓練生が自分のケースについて指導者から助言を受ける指導面接のこと。
*実習科目の履修には学費とは別に実習費が必要です。

人間科学研究領域 応用実験心理学分野

「人」の感覚や認知に関する専門的研究を基盤に、安全で快適な生活環境設計を担う人材を育成

分野の特色

世界一の少子高齢社会を迎えた我が国では、すべての人が、安全・安心で快適な生活、質の高い心豊かな暮らしができる社会の構築が急務です。施設や設備を整えるだけでなく、「人」を主体にしたモノづくり、環境づくり、まちづくりが求められています。企業における安全性・生産性・疲労を考慮した環境や知的労働を支援する環境整備、住宅におけるプライベート・スペースや疲労・緊張を緩和する団らん空間のあり方、快適性と利便性を支援するまちづくりなど、急速で多様な社会の変化に合わせ生活環境を設計できる人材が必要とされています。
このような社会の要請に応えるため、本分野では、感覚・知覚・認知心理学に加え、医療・福祉、生理学、人間工学やブレイン・インターフェースに関する知識を修得できるよう配慮し、障がいのあるなしにかかわらず、人々が「幸福感」や「生きがい」を実感しながら暮らすことのできる生活環境について、新たな方策を提言できる力を育てます。
本分野では、独自の触覚装置、行動解析装置、眼球運動測定装置、色彩研究装置といった先端機器を備え、人の知識情報システムに関する基礎的研究、医療・福祉に関する研究、バーチャル技術を使った感覚間の統合に関する応用的研究を行っています。
博士前期課程では、高度職業人の育成を念頭に応用研究に力を注ぎ、企業における環境の評価法、産業・交通の諸問題、障がいのある人や高齢を迎えた人の認知特性の解明と支援、生活の質(QOL)などの環境評価法を指導します。また、博士後期課程では、自立した先端的研究者の育成を図るため、創造性豊かな研究・開発能力、プレゼンテーション能力、研究論文など成果発表能力を磨きます。
研究者を目指す人はもとより、企業の製品企画部門や研究所、地方自治体や官公庁、医療・介護福祉施設などでの勤務経験から再学修を希望する社会人や、留学生の入学を歓迎します。

人間科学研究領域 スポーツ健康科学分野

身体運動・スポーツ学を心理学・社会学を包括した人間学として捉え、スポーツ活動を取り巻く構造を学び情報発信の中核となる人材を育成

分野の特色

スポーツに関わる職業は、保健体育教員をはじめ自治体や教育委員会のスポーツ振興セクション、スポーツ製品・用品産業、健康・福祉産業、指導者(コーチ・インストラクター)、スポーツメディアなど多岐にわたります。現在、国内ではこれらスポーツ領域に約40万人の人材が働いているといわれていますが、スポーツ活動を取り巻くユニバーサルスポーツ、少子高齢化、スポーツ社会構造に対応できる人材の育成は十分とはいえない状況です。本分野ではこうした現状を打開すべく、スポーツを身体学、心理学、社会学を包括したスポーツ健康科学として捉え、スポーツの普及・振興において高度な専門知識を有し、中心的役割を担っていく人材を育成することを目指しています。
そのため本分野ではスポーツ・身体科学、心理学、社会科学の学修を通じてスポーツ領域を学際的に捉え、スポーツ活動場面や周辺構造を広く学んでいきます。このような多角的視点を重視し、スポーツの普及・振興において新しい発想での提案力を持つ職業人としての高度な能力を養っていきます。
スポーツを愛し、これからのスポーツ振興等において中心的役割を果たしたいと考える人は、学部卒業者、社会人を問わず挑戦してください。学問領域、分野を離れて自由な発想でスポーツの未来や、人間にとってスポーツが持つ意義と本質を考える絶好の機会となることでしょう。

人間科学研究領域 地域社会学分野

現代日本の地域社会の現状と諸問題を熟知し、地域社会をデザインしていく人材を育成

分野の特色

現代日本の地域社会では、1990年代以降、グローバル化と産業構造の変化に伴う地域経済の停滞、家族や近隣・地域集団における人間関係の希薄化と機能不全、少子高齢化や福祉国家の解体的状況に伴う医療・福祉の後退など、構造的変動が続いています。こうした現状から、雇用不安や格差拡大、地域の教育力・福祉力の低下、外国人の増加と共生などの問題が生じており、その解決を目指して現代に即応した「地域社会の再生」が求められています。
本分野は、こうした地域社会の現状と諸問題に対する理論的・実践的な理解をもとに地域社会のあり方を提案し、その再生を推進できる人材の育成を目指します。そのため、地域社会学特論をはじめ、現代社会特論、人間形成特論、社会教育特論、環境科学特論などを通じた「地域社会と人間」の総合的解明に重点を置くとともに、地域社会をデザインしていく上で不可欠な調査技術の向上、フィールドワークも重視します。
こうして、各自の問題意識に合わせて、福祉問題や環境問題等の解決に不可欠となる住民の生活・意識の特質に対応した共助システムの形成、ジェンダーの観点による性別分業社会の問い直し、自治体・企業に住民を含めた自治・参加システムの形成、大衆文化状況や人間形成の問題など、人口減少社会にも対応可能な地域社会再生の鍵となる諸テーマについて幅広く研究していきます。さらに博士後期課程では、自立した研究者の育成を目指し、学会発表や研究論文作成のための指導を行います。
本分野は、学部卒業生はもちろん、地方公務員や福祉・教育関係機関、調査・政策立案機関などに勤務する社会人、あるいはそうした仕事を目指す人の挑戦を歓迎します。施設などハードウェアを中心とした従来の地域計画だけでなく、住民と地域諸集団、住民と行政機関・企業との協働・連携のあり方を踏まえた仕組みづくりを提案・実行できる能力を身に付けられるよう学修環境を整えています。

教育研究上の目的、教育目標および3つのポリシー

人間科学研究科の教育研究上の目的、教育目標および3つのポリシーに関する情報は、「神奈川大学 -本学の情報-」内にまとめておりますので、下記リンクよりご覧ください。

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