Ohtaki Eisei

大滝 英生 教授

所属
経済学部
経済学科
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専門分野

理論経済学

キーワード

Profile

血液型/A型
出身地/神奈川県
趣味/読書、散歩、昼寝
子供の頃の夢/理系科学者
敬意を感じる人/これまでにお世話になった方々
好きな映画/「戦場のピアニスト」「レ・ミゼラブル」
好きな国/日本

経済学の分析道具の一つである“数理モデル”を使って、 “お金”が持つ役割や影響を研究しています。

消しゴムとパン、価値があるのはどっち?

私たちが毎日手にしているお金(貨幣)は、そのもの自体にはほとんど価値はありません。日本銀行が公開している情報によると、1万円札1枚の製造コストは約16円です。それなのに市場では1万円の価値がつけられ、私たちはこのお札と引き換えに、1万円相当の品物を手に入れることができます。これは、貨幣に“役割”があることで“価値”が生まれているためです。
貨幣の役割は大きく分けて三つあります。一つ目は「価値の尺度」です。例えば、消しゴムとパンのどちらの価値が高いか判断するのは難しいですが、仮に消しゴムが100円、パンが150円とすると、私たちはパンの価値のほうが高いと認識できます。このように、さまざまな商品の価値を、共通の単位で評価・比較することができます。二つ目は「価値の保存」です。150円で買ったパンを長期にわたって保存することは不可能ですが、貨幣であれば貯めておくことができます。そして三つ目の役割は「交換手段」です。物と物とを交換する物々交換では、お互いに欲しいものが異なれば取引は成立しませんが、貨幣であれば欲しいものと交換することができます。
貨幣が果たすこれらの役割については既に知られていることですが、私の研究分野では、貨幣の役割を経済学の分析道具の一つである“数理モデル”によって表現することや、その影響を分析することを行っています。数理モデルとは、経済現象の重要と考えられる部分だけを抜き出して数字や記号で表現することです。これによって曖昧さを排除し、誤解をなくすことができます。例えば「この部屋は暖かい」といっても人によって感じ方は異なりますが、「この部屋の室温は20℃」といえば、曖昧さがなくなります。事象を数字や記号に置き換えることで、共通認識が得られるわけです。近年、経済学者の間では貨幣の役割についてはある程度数理モデル化できていると認識されており、最近の研究ではそれらの数理モデルを用いた貨幣の影響についての分析が進められています。

分からないことに時間をかけて向き合う忍耐力

高校生まではどちらかと言えば理数系が好きでしたが、大学進学を考える時期になって経済に興味が湧き、大学の経済学部に進学しました。ゼミでは、ミクロ経済学の基礎をしっかりと教えてくれる教授にご指導いただきました。このゼミを選んだのは、経済学の基礎的な考え方や分析の仕方について理解不足のままでいると、経済学を実際に用いることは難しいと考えたからです。
大学の授業では、それまでに見たことも聞いたこともないような話がたくさん出てきます。皆さんも、知らないことや分からないことに直面することがあるでしょう。けれど、分からないことはそのまま放置せず、次の3ステップで向き合ってほしいと思います。

・ステップ1→どこまで分かっていて、どこから分からないのかを明らかにする。
・ステップ2→分からないところは、分からない理由を解明する。
・ステップ3→ステップ2の理由をもとに、分からないところを克服する。

ステップ1では、その内容を他者に説明できるか否かを理解度の基準にするとよいでしょう。そしてステップ2で理解できない理由が判明したら、ステップ3では教員や友人に相談して助けを借りてもいいでしょう。
ただ、この一連の作業にはとても時間がかかります。そして、分からないことに時間をかけて向き合うのは、正直なところ苦痛です。けれど大学では、その苦痛に耐える忍耐力を身に付けてほしいと思います。社会に出ると、さまざまな困難に出会います。荒波にもまれることもあるでしょう。そんなとき、心折れることなく前向きに人生を突き進むための一つの能力として、忍耐力はきっと有益なはずです。

経済学の基礎が身に付く授業を!

現在は「ミクロ経済学」の講義を担当しています。私たちの身のまわりの多くの商品には、買い手と売り手が存在します。買い手の希望する購入量を“需要量”、売り手の希望する販売量を“供給量”、買い手と売り手が取引を行う場所を“市場”と呼びます。ミクロ経済学とは、市場全体における需要量と供給量の大小関係に注目しながら、経済を読み解いていく学問です。
授業の前半では、需要量や供給量が決まる仕組みの一つを理解するため、買い手や売り手一人ひとりの経済活動や、それに対する価格の影響を学修します。後半では、経済全体の需要量と供給量を一致させる制度の一つとして、市場の機能や限界について学修します。経済学を学ぼうとする学生の皆さんが、“分からないこと”を克服できるよう、経済学の基礎がしっかりと身に付く授業を目指したいと思っています。

Photos

  • 『人間とは何か』(マーク・トウェイン著・中野好夫訳・岩波文庫)は、老人と若者の対話形式。 “人間は機械にすぎない”と語る老人の話には経済学の考え方に通じるものがあり、経済学部の皆さんにはぜひ読んでほしい一冊。『ミクロ経済学Ⅰ』(奥野正寛・鈴村興太郎著・岩波書店)は、学部3~4年生の頃自習に使っていた書籍。“たとえ教科書でも、説明が不足している場合がある。そこを自分で埋めていくのが本当の勉強だ”とゼミの教授に教わった

  • 家族の誕生日には、プレゼントを贈り合う習慣がある。写真のネクタイは2013年の誕生日に家族から贈られたもの

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