Tamura Tadahisa

田村 忠久 教授

所属
工学部
応用物理学科
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専門分野

観測天体物理学、宇宙線物理学

キーワード

Profile

趣味/家周りのDIY
子供の頃の夢/大工、飛行機のパイロット、画家
愛読書/ドストエフスキーの作品
休日の過ごし方/妻と過ごす
好きな映画/「キッド」「Shall We Dance?」「となりのトトロ」
好きな音楽/カノン、四季、ボレロ、バッハ、シンディローパー
好きなTV番組/ニュース、スポーツニュース、1年に1本くらいドラマにはまる
好きな著名人/チャップリン、ゴッホ
好きな食べ物/和食、麺類、アイスクリーム、チョコレート、ビール
好きな国/日本、ブラジル

物理学では、数学は「ことば」。 覚えることの少ない、考える学問なのです。

4年間の基礎、しっかり自分を高めよう

大学で専門的な研究を進める上で基礎となる物理について、「物理学A(力学)」「物理学Ⅱ(電磁気学)」「総合工学実験A」の授業を受け持っています。高校生の皆さんは、もしかすると物理は公式を丸覚えしなければならない科目、と誤解しているかもしれませんね。それで苦手意識を持っている学生も、実際多いのです。しかし物理学は、数少ない法則を出発点に、数学という「ことば」を使いながら、現象の説明・予測をする、という学問。数式の物理らしい使い方が身に付けば、覚えるべきことは意外に少ないのです。筋道の通った物理的な思考こそを身に付けられるように、しっかりと基礎を積み重ねていきましょう。私の授業では、授業の内容、進度、理解度などについてのアンケートを毎回とっています。授業計画の建て直しも度々していますし、わからないところはとことん説明します。大学は自分を高め、磨く場所。ぜひ目的意識を持って、人との比較ではない自分の力を高めていってほしいと思います。

夢中になれるテーマとの出会いを大切に

皆さんは“観測気球”というものをご存知ですか? 私の専門は宇宙線についての研究で、気球にのせる観測装置の開発を行ってきました。気球は高度40 km付近を飛翔するため、大気の影響をほとんど受けずに宇宙から降ってくる、電子やガンマ線といった粒子(宇宙線)の観測をすることができるのです。宇宙線は何千光年あるいはそれ以上離れた宇宙のどこかの、おそらく想像を絶する激しい天体現象の中で、高いエネルギーを得て光速に近い速度で地球にやってきます。地球ではとても起こすことができないような現象が、広大な宇宙ではいろんなところで自然に起こっているのです。宇宙線という微弱な信号の観測は、そんな遠くでの天体現象からの語りかけを聞く気分です。自分達が作った装置で、誰よりも早く、未知のことを突き止めてみたい。これが研究の原点で、今もその気持ちは変わりません。

現在、この研究は国際宇宙ステーションに観測装置を搭載したCALETプロジェクトへとさらにグレードアップして、宇宙線観測を継続しています。宇宙ステーションでは、大気の影響を全く受けない高度350~450kmで観測を行えるだけでなく、数年にわたる長期間の観測ができます。観測装置の開発では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と各大学が共同して、ロケットの打ち上げや宇宙環境に耐えるように、科学観測に必要な装置性能を確保しつつ、熱特性や耐振動性を考慮した物造りが行われました。例えば、測定精度や処理スピードを重視して電力消費が大きくなると、放熱の困難な真空環境下では回路温度が上がって、かえって性能が悪化したり、故障の元になったりします。また、どんなに精巧な装置を造っても、ロケット打ち上げの振動に耐えられなければ、歪んだり壊れたりします。新しいものを造る(生み出す)ときには、どこにもマニュアルはありません。常に根源に立ち戻って、基礎的なことを一つずつ積み重ねることの繰り返しです。その際、剛性、共振、粘性、熱伝導、熱放射、放電、電磁波などの物理現象が関わってきます。そのために、基礎的な物理の理解が必須となります。

私が宇宙線の世界に踏み込んだのは、大学3年生のときに大マゼラン星雲で発見された超新星「SN1987A」がきっかけですが、皆さんにも同じように夢中になれるテーマがあるはず。大学での研究や将来の仕事を成し遂げるためにも、ぜひ物理学の基礎を身につけてほしいと願っています。

天体放射線計測研究室

ISSに搭載した観測装置で宇宙線を観測

宇宙では電子などの粒子(宇宙線)が、地球上では考えられない高エネルギー現象の中で光速近くまで加速され、地球にも降り注いでいます。私の研究室では、この宇宙線を気球や宇宙ステーションにおいて観測するための装置を開発しています。それには、検出器構造の設計、信号処理回路やデータ取得システムなどの研究開発が必要です。同時に、取得したデータから結果を導き出すデータ解析にもオリジナリティが求められます。 現在はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と各大学で共同開発した観測装置が国際宇宙ステーション(ISS)に搭載され、宇宙線の観測を行っているところです。自分たちで開発した装置を使い、誰よりも早く未知のことを解明したいという思いで研究を続けています。

Photos

  • 高校生のとき秋葉原に通っていたオタク時代の愛読書『デジタル・ゲーム製作集』。このエレクトロニクス工作の知識は、後々の開発で多いに役立っている

  • 大学院時代に、Macintosh SEでインベーダーゲームをプログラミングしたときのバイブルです。PASCALという言語で書きました。インベーダーの動きや要塞が崩れていくのを画面に表現しようとするとき、「こんなことができるかな?」と思うと、たいていイメージ通りの関数が用意されていて、簡単に思い通りのことが実現できることに、とても感動したのを思い出します

  • 観測装置を開発するためのビーム実験(CERNにて)

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

・物理学一般
・国際宇宙ステーションを利用した科学観測

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