
江元 正和 特任助教
Profile
出身地/神奈川県横浜市
子供の頃の夢/騎手
趣味/スポーツ観戦、音楽鑑賞、ゲーム
好きな音楽/Synthwave、Synthpop
好きな著名人/Riccardo Gabriele Patrese
好きな食べ物/スペイン料理
個人や企業のミクロな「格差」とマクロ経済の関係性をデータで分析。
「脱税」をキーワードにマクロ経済を「モデル化」
最近、「格差社会」という言葉をニュースなど様々な媒体で目にすると思います。私は学生時代から、経済の「格差」に注目してきました。世の中には、裕福な人もいれば、貧しい人もいます。また、規模が大きい企業、規模が小さい企業もいます。私は、このような家計の資産格差や企業の生産性格差といった「経済主体の異質性」に焦点を当て、この異質性とマクロ経済の関係性について分析しています。同時に「経済主体の異質性」を分析するモデルの数値計算のアルゴリズムに関する研究も行っています。大きい分野としては、「マクロ経済学」の研究になります。
なかでも私が注目したのが「脱税」です。どの国にも脱税をする企業や個人は存在します。国家にとっては、大きな問題です。これまでの研究では、脱税によって人々の資産格差はどうなるか、また、脱税によってマクロ経済の水準にはどのような影響が出るかについて、現実のデータに即した形でモデルを計算して分析してきました。
大学院の修士論文では、脱税が発生している場合に、「経済成長率の水準」と「人々の資産格差の水準」にどのような関係性が存在するのかについての理論的な分析を行いました。その後、博士論文では、これらの格差の水準と消費などのマクロ経済の変数との間にどのような関係があるか、現実のデータを用いて分析しました。
近年では、ミクロのデータの拡充とパソコンの演算能力の向上によって、一国全体の経済(マクロ経済)を一人ひとりの行動から「モデル化」する研究が増えてきました。私も個人や企業の現実に即したデータを用いて、マクロ経済の「モデル化」に取り組んでいます。最近は、人々の投票行動を踏まえた脱税の影響についての研究などに力を入れています。
経済学の多様な視点で、物事を考察してほしい
現在は、経済学部で、「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」の授業を担当しています。「ミクロ経済学」では、ミクロ経済学の基礎となる理論である消費者の行動や企業の行動などを理解してもらうと共に、実際に手を動かす演習問題にも力を入れています。
一方、「マクロ経済学」の授業では、マクロ経済学の基礎となる理論や概念について、その歴史的な背景や現実のデータなどを紹介したり、関連する最新トピックなどを取り上げたりして、学生の皆さんにマクロ経済学を身近に感じてもらえるように工夫しています。例えば、最近だと新型コロナウイルス感染症とマクロ経済の関係をテーマに、補助金を出すと消費行動にどう影響が出るかなどについて、説明をしたりしました。
私の担当科目も含めて、経済学部の授業では、さまざまなアプローチで経済や社会の現象を考察する方法を学ぶことができます。学生の皆さんには、こうした経済学の多様なアプローチを通じて、経済問題だけに留まらず、さまざまな物事に対する多様な見方・捉え方を学んで、今後の自分の人生に活かしてほしいと思います。また、多様な見方・捉え方を学ぶことで、他者の価値観についても尊重できるようにもなってほしいと思います。
大学時代は、勉強、サークル活動、アルバイトなど、さまざまな活動を自分の裁量で主体的に行うことができます。別の表現で言えば、自分の行動に対して、自分の責任が伴うということです。そのため責任感を自覚しながら、大学生活を楽しんでもらいたいと思います。私自身も大学時代はサークル活動などを通じて、多くの友人とさまざまな経験を得ることができました。皆さんにも大学生活を振り返った際に、悔いがなく充実した4年間であったと自分自身で思い返すことができるような日々を過ごしてもらいたいと思います。

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