
Fan Keren
樊 可人 外国人特任准教授
Profile
出身地/中国上海
好きな映画/SF、ホラー
好きな食べ物/さっぱりしたもの
語学を学ぶことは、その国の文化を学ぶこと。 海外の文化を知れば、日本への見方も変わる。
母国・中国の文学が日本人に与えた影響とは
両親が外国語関係の仕事を務めているため、私は小さい頃から外国の言語や文学に対して興味を抱いていました。中でも、日本の言語や文化に特に興味を持ったため、大学では日本語を専攻しました。日本の歴史を学ぶうちに、日本が中国の文学を取り入れながら独自の文学や文化を築き上げていったことに対して強い関心を抱くようになったため、大学卒業後は日本に留学することにしました。
私はこれまでに、日本人が中国文学をどのように受容したかという問題に取り組みました。その中でも中心となるのは、中国古典劇を代表する名作『西廂記』が、近世日本においてどのように受け入れられたのかという問題です。明治維新の前まで、中国学はある種の先進学問として「高級文学」と呼ばれ、知識人たちに人気でした。貿易の中心だった長崎では、通訳の人が中心となって中国語を学んでいましたし、京都や江戸一帯では、漢文で書かれた作品が多く出版されました。『南総里見八犬伝』で有名な曲亭馬琴は、中国文学の影響を大きく受けていると言われています。彼の書簡を読むと、『西廂記』を含めて多くの中国の文献を渉猟したことがわかります。また、彼には『水滸伝』や『金瓶梅』などの中国俗文学作品を翻案した作品がいくつかあります。このように、中国と日本の文学作品を照らし合わせて、日本における中国文学の影響を読み解いていくのが研究の醍醐味です。自分に関わりの深い中国と日本が結びついていく様子を知ることができ、とても面白いです。
ドラマやバラエティ番組も立派な教材
授業では、生きた中国語を学ぶ機会を大切にしたいと思っています。教科書を読めれば良いというのではなく、中国語を使ってコミュニケーションをするための授業を心がけています。コミュニケーションとは、「聞く」「話す」「読む」「書く」のすべてです。語学は急に上達するものではありませんから、コツコツ練習を積み重ねていきましょう。
私自身が日本語を学ぶ中で感じたことですが、語学は受け身では身につきません。授業だけ、宿題だけ……というのでは、あまり面白くないでしょうし、上達するのにも時間がかかります。語学を学ぶことは、その国の文化を学ぶことです。中国語には、日本語とは異なる言い回しもたくさんあります。そうした文化を学ぶ時におすすめなのが、中国のドラマやバラエティ番組を見ることです。楽しみながら、自然と表現や文化を学ぶことができます。
インターネットを通じてたくさんの情報が手に入るようになりましたが、「日本語の情報」は世界的に見ればほんのひと握りです。一つの語学を学ぶことによって、情報量は格段に増えます。世界をよく知るためにも、ぜひ楽しみながら語学を学んでほしいです。
ぜひ学生のうちに海外へ!海外での生活は視野を広げる
語学力をつけたいという人にも、そうでない人にも、学生時代に一度は海外へ行くことをおすすめします。「文化を学ぶ」には、現地で生活をするのが一番です。何十時間の授業より、1週間その国で生活した方がずっと早く文化を理解することができるでしょう。私自身も、日本での留学経験は忘れがたいものになりましたし、その経験がなければ、日本で働くこともなかったかもしれません。語学力の向上につながるのはもちろん、違う文化の中に身を置き、そこから日本を眺めてみると、今まで気がつかなかったことが目に入るはずです。日本にいると、日本を中心に物事を考えがちですが、日本から少し離れてみることで、客観的に世界が見えてくるはずです。
海外へ行く機会が作れないという人は、留学生の友人を作りましょう。自分と違う考えにどんどん触れ、視野を広げる4年間にしてください。

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