
Ochi Takumi
越智 拓海 特別助教
Profile
生年/1989年
出身地/愛媛県
趣味/マンガを読む、読書
好きな音楽/Mr. Children、ゴスペラーズ、ポルノグラフィティ
神経系とホルモンが行動・機能を調節する仕組みを調べています。
たった9つのアミノ酸からなるホルモンが、人間の感情に大きな影響を与えている
ホルモンとは、私たちの身体の中で生成・分泌される化学物質のことで、神経細胞同士の情報伝達に使われたり、血中を介して全身をめぐり受容体を発現する細胞に作用したりします。オキシトシンは、脳の下垂体から大量に放出されているホルモンで、主に子宮筋の収縮に関係しており、出産時に分娩を促す薬としても使われています。他にも、中枢神経系では個体間の絆形成や男性性機能などにも関与しています。
オキシトシンに興味を持ったのは、大学時代に授業で聞いた、ある論文がきっかけでした。それは、“ペアを作り、相手にどれくらいお金を貸せるかを試すゲームで、オキシトシンを投与された学生は相手を信用し、多額のお金を貸した。このことから、オキシトシンは「信頼のホルモン」と呼ばれるようになった”という話でした。
興味を惹かれてさらに調べてみると、オキシトシンは「恋愛のホルモン」とも呼ばれていることが分かりました。高校生の頃から、“人はなぜ他人を好きになるのか”という疑問を持っていたこともあり、オキシトシンへの関心が膨らみました。たった9つのアミノ酸が結合した物質に人間の感情が影響を受けているということに、不思議さを感じました。オキシトシンをはじめとしたホルモンが行動にどう関わるのか知りたいと考え、オキシトシンと雄の性行動の関係をテーマに研究を行なってきました。現在はそこから少し発展し、性行動を制御する神経回路に対して性経験が与える影響について調べています。
生物学や生命科学は身近な学問。ぜひ興味を持ってほしい
担当科目の「生物科学実験Ⅰ・Ⅱ」では、DNAやRNA、蛋白質の定量といった分子生物学的な実験や、組織切片や標本を用いて動物の身体の構造を調べるなど、幅広く生物学の基礎知識や実験手法を学びます。「特別実習B(解剖実習)」では、モデル動物のラットを用いた解剖実習を担当しています。実習やレポートを通して、「①問題点を洗い出す、②計画を立てる、③仲間とのディスカッションを通して、チームの中で自分がすべきことを判断する、④自ら行動し、結果を出す」能力を身につけてほしいと考えています。このような科学的思考・問題解決能力は、皆さんが社会に出たときに、どのような仕事をするうえでも活かされる、重要な能力だと思います。
また、学生の皆さんには、大学での学びを通して生物学や生命科学に広く興味を持ち、卒業後、たとえ専門家にならなくても、科学を楽しめる大人になってほしいと考えています。科学に興味や理解を示す人が増え、科学を難しいものとしてではなく、身近なものとして捉えられる社会になればと思っています。

小谷 享 研究室【生物分野】
細胞内の骨組み構造から生命現象の神秘を探る
細胞は「生命の基本単位」と呼ばれますが、挿絵ではより小さな構造物を含む「袋」にすぎません。ここでどのように生命現象が生まれるのでしょう? 実は細胞内には、これらの小さな構造物や目に見えない物質を動かし、配置し、出合わせ、引き離す役割を担う骨組みが存在するのです。この骨組み構造の働きにより、生命現象のもととなる様々な化学反応が適切な場所とタイミングで起こると考えられています。 当研究室では微小管という骨組み構造を調べています。微小管の部品となる蛋白質(模式図参照)を詳しく調べ、いつか試験管内で生命現象を再現するのが夢です。大自然が作り出した細胞という小さな神秘に、一人でも多くの学生が好奇心を抱いてくれることを願っています。
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