館内での展示
2013年6月20日
「蔵書票の魅力」
ヨーロッパではラテン語起源のエクスリブリス“EXLIBRIS”という名称が一般的に用いられるが、英語圏では“Bookplate”とも呼ばれる。EXLIBRISは15世紀のヨーロッパで始まる。現存する最古のものは1400年代半ばに作成された、通称「ハリネズミ」のEXLIBRISであり、次いで1480年頃に作成された「楯を支えている天使」の図柄などがある。
当初は木版摺りの素朴なものであったが、エッチングの発展とともに、繊細で鋭さがあり装飾性豊かなものとなる。16世紀にはアルブレヒト・デューラーやハンス・ホルバインなどの巨匠がたずさわるようになる。
本を開いて最初に目に付く見返し部分に貼られるため、所有を明示するだけの目的であれば、文字だけで事足りるはずの紙片に、美的要素が強く求められるようになる。なお、一般的な蔵書票の構成要素は、
“EXLIBRIS”という文字、個人名または団体名称、紋章や肖像画、票主の趣味や職業をイメージさせるもの、金言やモットーが書き入れた図案などからなる。
今回展示したEXLIBRISも、所有者(票主)の好みにより、多種多様な図案が用いられている。中でも最もポピュラーな図案は、楯の文様である。中世ヨーロッパにおいては、楯は騎士が携帯し個人を特定するための目印であったからである。
英語で紋章のことをCoat of armsと表現するのは、紋章が楯という武具(arms)であったことに由来すると言われる。当初、紋章の使用は貴族階級に限定されていたが、やがて広くEXLIBRISに用いられるようになり、楯の形態や文様などのデザインもバラエティーに富んだものとなった。
本学で所蔵しているEXLIBRISも楯型のバリエーションが数も多くデザインも豊かである。是非この機会にご覧いただきたい。
展示の実施風景
1 展示会場 正面
2 展示会場 全景1
3 展示会場 全景2
4 蔵書票 拡大パネル展示1
5 蔵書票 拡大パネル展示2
6 ライブラリーなどのEXLIBRIS
7 書物・書斎の図柄のEXLIBRIS
8 様々な楯のEXLIBRIS
9 その他 様々なデザインのEXLIBRIS
10 精巧なEXLIBRISをルーペで拡大
11 様々な楯のEXLIBRIS
12 様々な楯のEXLIBRIS
13 様々な楯のEXLIBRIS
14 展示エリアに設置されている甲冑のレプリカ
15 Blackwood's Magazine 異なる装丁のものを選び年代順に並べた
16 Blackwood's Magazine 蔵書票と表題紙に描かれたジョージ・ブキャナンの肖像
17 蔵書票の下に別の蔵書票が見られる資料も多数展示
18 アメリカのグラフ雑誌Lifeにも蔵書票が貼られている。キャパの有名な写真を開いて展示した
19 票主: William Harrison
20 票主:Sir Charles Philip Huntington
21 Ex Libris Domus Abbatialis ,Sancti Antonii Viennensis
22 21番目の蔵書票裏面にはマーブル紙が付着している
23 票主: American Antiquarian Society
24 票主: Charlotte Schreiber(Charlotte Guest)
25 格言:Leeds PAX IN BELLO(平和は戦争のうちに)
26 票主:Library of Wilhelmus Mynderse
27 票主:不明
28 票主:Sigillum Gollegii Wellesleiani
展示期間 |
2013年4月1日~7月17日 |
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会場 |
お問い合わせ先
お問い合わせ先 |
神奈川大学図書館 |
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電話番号 |
神奈川大学: 045-481-5661(代) |