館内での展示
2011年2月 4日
<展示>オズボーンコレクション
複刻 世界の絵本
オズボーン・コレクションは、カナダの州立トロント公共図書館の児童部『少年少女の家』のコレクションのひとつで、元イギリスの図書館長の工ドガー・オズボーン氏より寄贈されたものです。1979年(国際児童年)に、その中から35点を厳選して複刻されました。子どもへの教育から始まり、次第に娯楽的な要素を深め、さらに絵本製作技術の向上によって、大人の収集の対象にまでなった絵本の歴史を、美しい挿絵と共にご鑑賞ください。
展示の様子
1. エドガー・オズボーン氏はイギリスの州立図書館長を勤めた人物です。オズボーン夫妻は自分たちが子ども時代に親しんだ絵本から始まり、16世紀にまで遡って絵本を収集しました。それら蔵書約2千冊が、1949年にカナダのトロント公共図書館に寄贈されたことにより、オズボーン・コレクションとして今日に伝えられています。
2. 展示会場全景。オズボーンコレクションから複刻された35点の絵本を一堂に展示。パネルと解説と関連資料を一緒に展示しています。いずれの絵本もその時代のエポックメイキングな代表作です。この機会にぜひご覧ください。
3. 絵本の中から印象的なイラストをプレートにして展示してあります。絵本作家一人一人の作風と、大胆な画面構成に圧倒されます。絵本がたんなる子どもの読み物にとどまらず、大人がコレクションとして収集する理由が分かります。
4. ヨハン・アモス・コメニウスによる『世界図絵』です。この絵本は1658年に出版された、ヨーロッパ出版史上最初の子どものための図解百科事典です。今回展示しているものは1777年に出版された英訳本で、ラテン語も併記されていおり、全ページに素朴ながら力強く印象的な絵が刷られています。
5. ウィリアム・ジョン・トムズ編集のイギリスの昔話集。表紙の色使いが鮮やかで装飾性が素晴らしい。トムズは“Folklore(民間伝承)”という言葉を造語し、民俗学研究の草分けとなった人物としても知られています。
6. ジョージ・クルクシャンク編・画の『親指太郎と七リーグくつ』。批評家ラスキンはクルクシャンクをレンブラントにも匹敵すると激賞したといいます。クルクシャンクはディケンズの挿絵画家としても有名で、交友関係は20年間にわたりましたが、いさかいと仲直りの連続で、ディケンズに「生きた漫画そのもの」と評された人物です。
7. 有名なシンデレラの絵本。大小さまざまな大きさの絵が、本の中央に綴じられており、めくるごとに場面展開がなされていきます。さながら物語が上演されているような印象をあたえる、大変楽しい絵本です。
8. リチャード・ドイル画『妖精の国』です。「シャーロック・ホームズ」で有名なコナン・ドイルはリチャードの甥にあたります。リチャードは非常に人気のあった画家で、有名な作家たちの挿画を数多く手がけてきました。その中にあって『妖精の国』はひときは美しく、最高傑作といわれています。なお、彼が1849年に描いた雑誌『パンチ』の表紙はその後100年間使用されました。
9. みなさんご存知のルイス・キャロルの「アリス」シリーズです。「アリス」を描いた画家はたくさんいますが、今回の展示本はジョン・テニエルによるものです。テニエルの作風は高く評価されています。また、テニエルは雑誌『パンチ』にも風刺画を描いており、その数は50年間で2千以上といわれています。
10. コレクションの中で、エドワード・リアの『ナンセンスの本』は異彩を放っています。本のタイトルどおり、軽妙なナンセンスな話に滑稽なイラスト。実は辛らつな内容も多く、単なる面白いお話ではありません。
展示期間 |
2011年2月~5月末 |
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会場 |
お問い合わせ先
お問い合わせ先 |
神奈川大学図書館 |
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電話番号 |
045(481)5661(代) |