人文学研究科

外国語学研究科から人文学研究科へ(2024年4月~):
「人文知」の継承と発展に寄与する人材の育成を目指して

外国語学部を基盤として1992年に開設された外国語学研究科は、専門研究で目覚ましい成果をあげるとともに、多くの研究者・大学教員・高度専門職業人を輩出してきました。2024年4月、外国語学研究科は、「人文学研究科」として生まれ変わります。外国語学部のみならず国際日本学部の卒業生の進学先を確保すべく、2つの学部を基盤とする研究科へ改組転換し、2学部に通底している人文学(ヒューマニティーズ)の理念を前面に打ち出して「人文学研究科」という名称に変更します。
人文学研究科では、外国語学研究科に設置されていた欧米言語文化専攻と中国言語文化専攻を維持しつつ、新たに「日本文化専攻」を設置します。その結果、人文学研究科には3専攻が設置されることになり、南米やオーストラリアを含む欧米諸地域、中国・東アジア地域、そして日本と研究対象となる地域が拡大します。各専攻は人文学の主要な学問分野(言語学、文学、思想・宗教学、芸術文化学、歴史・社会学、言語教育学)を核として有機的に結びつき、「人文知」の深い理解に基づき国際的に活躍できる人材を育成することを目指します。

研究科の特色
1学部に接続する大学院という従来の枠組みを超えて、本研究科は外国語学部と国際日本学部の2学部を基盤とする新しい形の総合的な大学院です。高度な言語運用能力やコミュニケーション能力を駆使しながら、人文学の諸分野に関する専門知識に基づいて日本や世界の多様な文化を深く学び理解することができます。
本研究科には、欧米言語文化専攻、中国言語文化専攻、日本文化専攻の3専攻が設置されます。欧米言語文化専攻には、「言語学」「言語教育・応用言語学」「文学・思想」「歴史・社会」の4コースが設置され、中国言語文化専攻には、「言語系」「歴史・文化系」の2領域、日本文化専攻には「日本語学」「日本文学」「日本文化学」「日本思想」「国語教育学」の5領域が設置されます。これらのコース・領域に所属することで、学生は自らが求める研究分野の専門知識を深く学ぶことができます。また、専攻・コース横断的に科目が履修できるよう柔軟性のあるカリキュラムも提供しています。
学修指導・
サポート体制
本研究科では、学生が研究生活に専念できるよう充実した学修指導・サポート体制を用意しています。研究指導は学生が所属する専攻の指導教授の講義・演習を中心に行われ、専攻する研究分野の専門知識に立脚し、自由な発想や深い洞察力をもって各自の研究テーマを掘り下げることができるよう支援を行います。学生の研究内容・目標に応じて、他専攻の授業科目を専攻横断的に履修することも可能で、幅広い視野に立って研究を発展させることもできます。さらに、学位論文作成に向けて、複数指導制度の導入や中間発表会の実施などを通して着実に準備が行えるよう研究科・専攻全体として支援します。
研究活動のサポートとしては、研究科で年1回発刊している『言語と文化論集』に研究成果を公表することができます。また、国内外の学会に参加したり報告したりする機会が持てるよう支援体制も整えています。さらに、教職希望者に対しては、実際の授業で指導補助を行うT・A(ティーチング・アシスタント)制度を積極的に活用することで、教育指導法のトレーニングにつなげています。
取得可能な資格
外国学研究科から継続して、「中学校教諭専修免許状(英語)」「高等学校教諭専修免許状(英語)」を取得することができます。加えて、2024年4月、日本文化専攻開設に伴い、「中学校教諭専修免許状(国語)」「高等学校教諭専修免許状(国語)」※を取得することが可能になります。大学院では、取得を希望する教科・校種の「教育職員免許状(一種)」を取得済みで、かつ大学院課程の所定の単位を修得することで、専修免許状の取得が可能です。
また、科目等履修生制度を利用し、学部で開設されている資格教育課程を履修すれば「教育職員免許状(一種)」「社会教育主事・社会教育士」「学芸員」「日本語教員」の資格を取得することが可能です(ただし、大学院進学前の履修状況によっては、履修できない課程や大学院修了までに取得できない資格もあります)。
※教職課程認定申請中。ただし、文部科学省における審査の結果、予定している教職課程の開設時期等が変更となる可能性があります。

欧米言語文化専攻

1992年4月英語英文学専攻修士課程(現在は博士前期課程)として発足。1995年4月博士後期課程を設置。2011年4月それまでの英語英文学専攻を英語教育・英語学コースと英米文化・英米文学コースとし、スペイン語圏言語文化コースと比較言語文化コースを加え、欧米言語文化専攻に改組。さらに2015年4月国際日本文化研究コースを新設。
2024年4月、外国語学研究科から人文学研究科への研究科名称の変更に伴い、コース改編を実施。言語学、言語教育・応用言語学、文学・思想、歴史・社会の4コースを設置。

カリキュラムの特色

欧米言語文化専攻の4コースの特徴は以下のとおりです。なお、どのコースについても、さらなる研究を望む学生に対しては、博士後期課程への進学に必要とされる専門的な知識や語学力を身に付けられるよう指導を行います。

※各コースは、2024年4月以降の内容になります。

言語学コース
本コースにおいては、言語理論の深い理解に立脚し、様々な言語現象の記述や分析、言語間の比較や対照を通して、言語の本質を追究することを目的としています。一般言語理論をはじめ、音声学・音韻論・統語論・意味論・言語獲得論などを扱う科目を設け、将来、「ことば」の専門家としての活躍を期待できる人物の育成を目指します。また、コース所属教員が主として研究対象とする言語も、英語・日本語・スペイン語・ロシア語・韓国語(及び以上の関連諸言語)と多岐にわたり、日々の研究活動を通して、各個別言語に対する深い洞察力の涵養及び外国語の高度な運用能力の獲得が促されます。
言語教育・
応用言語学コース
本コースにおいては、言語教育を含む応用言語学を多彩なカリキュラムのもとで、受講生の要望に応じて専門的な研究を行います。英語教育、日本語教育、スペイン語教育、会話分析、バイリンガリズム、第二言語習得論、言語政策論、心理言語学など様々な研究領域を設け、研究の分野においても実務の分野においても、将来専門家として活躍できる人材の育成を目指します。英語教育、日本語教育の研究分野においては、すでに教師として活躍している社会人に対し、社会のニーズに応じた最新の言語教育法を指導することを目指します。
文学・思想コース
本コースの文学分野では、欧米言語による文学すなわち、詩、小説、演劇、批評など幅広いジャンルのテキストを精読し、分析するとともに、背景となる文化、歴史、社会への洞察を深めます。また、文化圏、言語、ジャンル、表現方法の異なる作品を比較し、越境的に考察する方法もあります。思想分野では、現代の欧米の複雑な社会状況を踏まえ、国や地域の横断的な思考の土台となる思想や哲学、宗教について理解を深めます。いずれの分野においても、高度な知的探求に必要な知識とその活用力、専門的な分析力、さらに研究成果を発表するための表現力を身につけることを目指します。
歴史・社会コース
本コースにおいては、歴史学及び現代社会に関わる科目を履修し、主に英語圏やスペイン語圏などの国や地域、分野について幅広く学ぶことにより、当該領域に関する専門知識と高度な研究能力を身につけた人材の育成を目指します。歴史学の領域では特にイギリス史、スペイン史、ラテンアメリカ史を中心とする欧米の歴史研究、現代社会の領域ではアンデス地域やオセアニア地域を中心とする文化社会研究、さらに政治コミュニケーション及び政治学・国際関係論を軸とするカリキュラムをそれぞれ配置しており、対象地域の言語運用能力を高めながら、それらの関連分野について専門的に研究することができます。

中国言語文化専攻

1992年4月修士課程(現在は博士前期課程)として発足。1995年4月博士後期課程を設置。

カリキュラムの特色

中国語圏の「言語」及び「歴史・文化」という2つの研究分野に即して、豊かな専門知識、高度な研究能力及び言語運用能力を培うためのカリキュラムを設置しています。言語系と歴史・文化系のいずれを専攻するかは、入学時に選択することになっていますが、必ずしも専攻科目に拘束されることなく、指導教員の指導のもと、広域的視点と柔軟な思考力を身に付けます。
また、博士前期課程には関連科目としてアカデミック・ライティングを設置しており、学術文章を書く力を磨きます。

言語系
中国語に関する意味論・統語論・語用論の各領域の研究のほかに、社会言語学・対照言語学・談話言語学・認知言語学・理論言語学等の見地からも中国語のメカニズムに対する考察をすすめています。
歴史・文化系
中国語圏の歴史社会・文学・民間文芸・視覚芸術の各分野に関する研究を行っています。特に、近代上海史、日中交流史、日中比較文化、中国小説史、香港現代史、中国ドキュメンタリー映画における研究は、内外から高い評価を受けています。

日本文化専攻(2024年4月~)

2024年4月、博士前期課程及び博士後期課程発足。

カリキュラムの特色

「日本語学」「日本文学」「日本文化学」「日本思想」「国語教育学」という研究領域に区分して科目を配置しています。学生は自分の研究課題に沿った専門的知識や最新の研究動向を学ぶとともに、関連する周辺領域の専門的知識も系統的に学ぶことができます。
演習科目については、博士前期課程では「修士論文指導演習」、博士後期課程では「博士論文指導演習」が設けられ、学生は同一教員の演習を1年次から修了年度まで連続して履修します。指導教授は、学生が研究活動を行うための方法論、資料収集や文献読解、データ分析などについて丹念に指導し、学生は講義科目と連動させつつ、発表や議論を重ねて論文を完成させます。

日本語学
日本語文法史や語彙史を中心とした日本語学の研究を行っています。文法史では、通時的知識を踏まえた上で、活字・電子資料、各種コーパスなどを用いて、データを数量的・多角的に分析し、文法現象の実態を捉え、理論的な研究を行います。語彙論では、古典文学作品や現代語を対象とし、語彙がどのような原理のもとに作られ、また変容したのかということに主眼を置き、各種コーパスを活用し、語彙の連結パターンに注目した語彙的意味の研究、及び語彙の通時的な研究を行います。
日本文学
日本古典文学や近現代文学に加え漢文学を含めた研究を行っています。古典文学では、主に中世までの和歌や物語・説話、日記などを読解し、国際的な視野から作品の特質について研究を行います。近現代文学では、「近代文学」の成立過程やその特徴を踏まえ、個々の作品を読解するとともに、作家・作品サイドからの創作・発信がどのように受容され社会的影響をもったかといった観点からの研究も行います。漢文学では、主に「日本漢文」を読解し、中国古典作品が日本文学に与えた影響についての研究を行います。
日本文化学
日本の伝統文化から近現代まで幅広い日本文化の理解を深める研究を行っています。近世以前の日本文化では、能楽、歌舞伎、人形浄瑠璃について、同時代の文字資料の調査・読解を含めた研究を行います。また浮世絵の独特な表現方法やメディアとしての役割などの研究も行います。近現代文化では、言語・視覚・聴覚などにかかわる表象文化についての研究を行います。同時代の資料を用いるだけではなく、理論的な側面からのアプローチによって研究を行います。
日本思想
古代から近現代までの日本思想の研究を行っています。近世以前の日本思想では、神道、仏教、中世神道、武士道、儒学・国学などの理論書について、また神話・説話・物語などの文献について、解釈学的方法を用いた研究を行います。近代の日本思想では、西洋思想の翻訳・受容から、どのようにして日本独自の思想が生まれたのかを中心に、明治以降の思想・哲学の生成と展開についての研究を行います。
国語教育学
現代における社会的な諸課題と国語教育との関連を考え、社会と国語科をつなぐこれからの時代の新しい国語教育の創造について研究します。国語教育における諸課題からテーマを抽出し、実践的な見地からその解決の道筋を考え、教科教育における専門性及び指導の力量を高めつつ、自らの研究課題に即した新しい指導理論等を構築します。

教育研究上の目的、教育目標および3つのポリシー

外国学研究科の教育研究上の目的、教育目標および3つのポリシーに関する情報は、「神奈川大学 -本学の情報-」内にまとめておりますので、下記リンクよりご覧ください。

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