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地元・平塚に貢献したい。その夢をかなえるため走り続けた大学時代。齋藤 学さん/平塚市役所/神奈川県出身

地元・平塚に貢献したい。その夢をかなえるため走り続けた大学時代。齋藤 学さん/平塚市役所/神奈川県出身

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同じ夢を持つ仲間と切磋琢磨自分の目標が明らかに

「地元で誰かの役に立てるって、うれしいな」。幼い頃からボーイスカウト活動に参加し、お祭りの手伝いや海岸のゴミ拾いといった地域奉仕活動を行っていた私にそんな気持ちが芽生えたのは、小学生の頃でした。近隣の大人から「よくやってるね」と褒められるのも、ほんのりと心が温かくなるようで気分が良いものでした。「生まれ育った平塚で働きたい」「人と関わり、地域に貢献できる仕事がしたい」—その思いは年々大きくなり、高校3年生の頃には既に公務員になるという目標が定まっていました。
進学先について調べるうち、神奈川大学に環境・防災・福祉など地方自治について学べる自治行政学科があること、そこに学外で社会と関わる活動を実践してきた人を対象とする公募制推薦入試があることを知り、飛びつきました。ボーイスカウトとしての経験が、将来に向けて一歩を踏み出すための助けになる。面接で、自分の経験を誇らしい気持ちで話したことを覚えています。
自治行政学科には、地域社会のニーズに応え、行政運営を支えるための学びがそろっていました。自治体行政の実務経験を持つ先生が多く、私が所属していた行政学ゼミの出口裕明先生も県庁職員だった方です。実例を使った指導のおかげで、私たちは政策現場を具体的にイメージしながら学ぶことができました。課題で自治体に連絡を取る際に「今は予算編成で忙しい時期だから、もう少し後の方が良い」と経験に基づいた助言をくださったこともあります。
ゼミの同期には公務員志望者が多く、悩みを相談したり、情報を交換できる仲間がたくさんいました。同じ公務員志望者でも、例えば『まちづくり』をテーマに討論すると、国、県、市町村、あるいは警察など、目指す進路によって視点が異なり「そんな考え方もあるのか」と目からウロコが落ちることもしばしば。そうしたやり取りがあったからこそ「やはり自分は市民に近い市役所職員になりたい」と、決意を固めることができたのだと思います。当時はラクロス部に所属し練習に明け暮れる日々を過ごしていましたが、学内で受講できる神奈川大学資格取得講座「公務員試験」を活用することで、時間を効率的に使いながら勉強を進め、第一志望である平塚市の採用試験に合格することができました。

苦い経験が教えてくれた市民を一番に考える対応の大切さ

入庁して最初に配属されたのは、主に公園の管理や運営を行うみどり公園・水辺課。私が担当した平塚市総合公園は、一般市民だけでなく、野球・サッカー・バスケットボールなどプロスポーツ団体の拠点としても利用されています。そのため、公園管理の枠にとどまらないスポーツ関連のプロジェクトにも参加することができました。特に心に残っているのは、横浜DeNAベイスターズの選手による小学校訪問授業をサポートした経験です。
サプライズでプロ野球選手が登場した瞬間の子どもたちの大きな歓声。夢をかなえるための努力の大切さを語る選手、それを見守る子どもたちの真剣なまなざし。一緒にキャッチボールをしているときの笑顔。このとき来校してくれた選手が活躍する姿を見ると、今も応援に力が入ります。授業を受けた子どもたちも、きっと同じなのではないでしょうか。
この部署では、仕事への向き合い方を考え直す出来事もありました。業務にも慣れてきた1年目の終わり頃、野球場の施設利用を巡るトラブルの仲裁に入ったのですが、利用規約に沿った説明を行うことに精一杯で、逆に利用者を怒らせてしまったのです。私は間違ったことを言ったわけではありませんでしたが、相手の立場や気持ちを考慮できず、その場にふさわしい伝え方ができていませんでした。「意見が正しいかどうか以上に、現場にいる利用者や市民を一番に考えなければ」。今では、この苦い経験こそが市職員としての自分の基盤をつくってくれたのではないかと思っています。
入庁5年目に産業振興部 農水産課へ異動。現在は、農家の方やこれから平塚市で農業を始めたいと考えている方からの相談業務や、地元で生産された農産品の直売を行う「軽トラ・ファーマーズ」などによる平塚市の農産物のPR業務などを担当しています。
あるとき、農家の方から「新しい農業用ハウスを導入するための資金を調達したい」と相談を受けたことがありました。しかし市にはそのケースに合った補助金制度がありません。そこで私は、国の補助事業を調べ、計画書作成や各所への調整を通じて、資金調達までのお手伝いをしました。市に制度の用意がないからおしまいではなく、他の機関に課題解決の方策があるのなら、自分たちが窓口となってその間をつなぐ。それが、農家にとって一番身近な相談相手である市役所職員の役目だと思っています。
一方、「農業を始めたい」という相談者には、あえて厳しいアドバイスをすることもあります。農業が抱える課題に目を向けることなく就農し、「考えていた仕事と違った」と簡単に投げ出されては、農地を貸してくださる方や、近隣の農家の方からの信用を失うことになり、地域の農業関係者と市との間で築いてきた協力関係が簡単に壊れてしまうからです。相談者の就農の覚悟を見極め、平塚市の農業全体を考えた調整を行うことも市職員の大切な仕事です。
現在私は、業務の傍らで、幼い頃から続けてきたボーイスカウト組織で指導者として活動しています。誰かの役に立てる喜びを、今度は自分が子どもたちに伝えていきたい。もしそれを将来の仕事にしたいと考える子がいたら、先輩として応援してあげたい。それが私の願いです。

※内容はすべて取材当時のものです。

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