学長からのご挨拶

学長 小熊 誠/Oguma Makoto
創立者 米田吉盛による「建学の精神」の書

神奈川大学は、今、大きく変化しています。2020年度の国際日本学部の新設に始まり、2021年度のみなとみらいキャンパスの開設、2022年度の建築学部新設、そして2023年度の理学部の横浜キャンパスへの移転をはじめとする理学部、工学部のリニューアル、および「化学生命学部」「情報学部」新設と、学部の新設・移転・再編が完了し、100周年に向けたさまざまな改革の第1歩が踏み出されたところです。

しかしながら、このような変化は、いわば「第一の改革」にすぎません。これから必要なのは、その新しい環境の中で行う教育の中身そのものを見直す「第二の改革」です。

創設者の米田吉盛先生は、「中正堅実」な青年を世に出すことを目的に本学を創設したと語っています。「中正」とは偏った思想を持たないということで、真理に基づいた考えを「堅実」に育むことを意味しています。この目的のために、本学が掲げた教育方針が「質実剛健」と「積極進取」です。

「質実剛健」とは、堅固な思想を持ち、真理に対して誠実で正しい信念を貫くことで、正しい学問に取り組む大学の理念を示しています。「積極進取」とは、自由な発想を持って自ら積極的に新しい物事へ取り組んでいくことを表し、未来の変化に立ち向かう学生、大学人に必要な理念です。以来、神奈川大学は、少人数教育と人間形成を基本に、「人を造る」教育を行ってきました。さらに、この建学の精神を現代的に展開させて、「質実剛健」は基礎的学力および体系的専門科目をきちんと教えるためのアカデミック教育を行うこと、そして「積極進取」は、社会・産学連携などを通して、良識ある判断力と実践的能力を育むソーシャル教育を展開することとし、この両輪を動かしていくことがまさに、教育の中身を見直す「第二の改革」であると考えています。

具体的には、本学の100年近くに及ぶ歴史を踏まえ、ゼミ、卒業研究等の少人数教育という伝統を大切にしたアカデミックな教育・研究を着実に行っていくこと、そして地域や企業など社会との交流を豊富に取り入れ、体験型学習や課題解決型学習などのソーシャルな教育・研究を積極的に行っていくことを両輪として、新しい社会に対応する人材を育てる教育を、行ってまいります。

100周年、そしてその先も、選ばれ続ける大学となるために、常に「人を造る」大学であるということを念頭に置き、教職員一丸となって神奈川大学の教育力を高める改革を進めてまいる所存です。

現在、世界では未だ終息をみないロシア・ウクライナ間の戦争、イスラエルの紛争、深刻な環境問題など、複雑で解決困難な課題が山積しています。日本から世界につながる窓口として発展しているYOKOHAMAで、本学の地球規模で物事を考えるグローバルな教育・研究により、日本を学び、世界を学ぶことで、こういった問題に向き合い、解決に向けて挑み続ける力を育んで欲しいと願っています。

神奈川大学長  小熊 誠