Kang Myungchae

姜 明采 特別助教

所属
建築学部
建築学科(建築学系/都市生活学系)
関連リンク
専門分野

日本近代建築史、韓国近代建築史

キーワード

Profile

出身地/韓国・ソウル
子供の頃の夢/医者
尊敬する人/両親、お世話になった先生方・諸先輩方
趣味/散歩
休日の過ごし方/映画鑑賞、散歩

近代建築における「日本らしさ」「韓国らしさ」とは? 社会の変化とともに発展してきた建築文化の変容過程を再考していく

日本への交換留学をきっかけに、日本近代建築史の道へ

学生時代から日本近代建築史を専門に研究しています。私が初めて日本を訪れたのは大学3年生のときでした。出身地である韓国の大学で建築の設計を学んでいた私は、建築家・安藤忠雄に興味を持ち、日本で勉強するため半年間の交換留学に挑戦しました。留学先は神奈川大学で、現在も所属する内田青蔵先生の研究室です。

授業では、横浜・山手の洋館「山手234番館」や「ベーリック・ホール」など日本の近代建築を訪れました。当時の韓国では新しい建物を建てるために古い建物が取り壊されることが比較的に多かったのですが、横浜は古い建物が大桟橋やみなとみらいの現代建築と共存していて、その景観に刺激を受けたのです。以来、建物の保存と活用に関わりたいと思うようになり、日本の大学院に進学。さらにその後、3年ほど公益財団法人日本ナショナルトラストで建築文化財や自然の風景地などの保存に携わりました。

現在は、再び研究室に戻り日本近代建築史と韓国近代建築史を専門に研究しています。なかでも注目しているのは、建築家ではない一般の人々が考える「日本的な建築」の特徴について。例えば、関東大震災の惨禍を記念し後世に伝えるために1930年に建てられた「東京都慰霊堂」は、設計段階では洋風建築だったものの、区民や仏教団体の人々が「国民多数が求める建築様式にすべき」と批判したことで日本風建築に変更されました。では、日本人が思う「日本的な建築」とは一体どんなものなのでしょうか? また、日本統治時代の朝鮮では日本人建築家が活躍しましたが、彼らが朝鮮に建てた建物の特徴とは? こうした地域性を表す建物の特徴を、当時の新聞記事や雑誌、写真資料などから分析しています。研究を通し、一般の人々が考える、建築における「日本らしさ」「韓国らしさ」とは何かを明らかにし、社会の変化とともに発展してきた建築文化の変容過程を再考していきたいと考えています。

「よい建築」のあり方について自分なりの答えを見つける

授業は「建築グラフィックス」、「設計製図Ⅰ・Ⅱ」を担当しています。これは1・2年生の必須科目で、線を引く練習から図面の敷き写し、模型作りまで基本的な製図の訓練を行います。週に1度、3〜5限に渡って取り組む大変な授業ですが、自分がデザインや設計に向いているかを見極めるひとつの材料にもなる大切な時間です。基礎的な技術や図面を読み解く力は建築学科のどのコースでも必要になるため、ここで学んだことを次の学びに活かしてほしいと思っています。

また、3年生が対象の「建築史フィールドワーク」では、夏休み期間に国内外で近代建築を見学し、建築の特徴や魅力、感じたことを自身の言葉で表現してもらいます。学生には現地でたくさん建築を見て、言語化することで自分なりに「よい建築」とは何かを考えてほしいのです。その考えは将来携わる建築の仕事に必ず活かされるでしょう。

私自身、交換留学をきっかけに人生が180度変わりました。留学は旅行と異なり、現地で生活することでその国の深い文化や暗黙のルールなどが身につきます。建築士を目指すうえで、その土地の社会情勢や文化を深く知る必要があります。ぜひ学生のみなさんには、恐れず海外留学に挑戦し、建築を学ぶ海外の学生と触れ合いながら現地の先生の指導を受けてみてほしいと思います。それは学生時代にしかできない貴重な経験となるはずです。

[デザインコース]建築史研究室

歴史的建造物から建築の未来を見いだす

「温故知新」という言葉が意味するように、建築の分野においても新しい建造物の在り方を考えるヒントは、人類がこれまで手掛けてきた歴史の中に埋もれています。わが国では明治以降、人々の生活スタイルと住宅は大きな変化を遂げました。そうした変容の過程や歴史的建造物の特徴などを学ぶことから、未来の方向性が見えてくるのです。そのためには、建築物の見方や調べ方、さらには分析方法を学ぶことが必要です。 歴史的建造物を生かした重層的な街の方が、機能的で新しい建築物だけの都市よりも魅力的に感じるのは、なぜでしょう。過去に隠された多くの人々の英知を発掘し、そうした「宝物」の中から未来への指針を見いだす建築史研究を、一緒に始めてみませんか。

Photos

  • 交換留学終了時に研究室メンバーからもらった寄せ書き。約5か月の日本での交換留学を終了するとき、研究室のメンバーからメッセージをもらいました。このメッセージは、私が再び日本へ戻るきっかけのひとつになりました

  • 関東の大学で建築史や建築論を学ぶ学生が、卒業研究・修士論文の成果を発表する建築史交流会。ここで「東京都慰霊堂」にまつわる修士論文の成果が評価され、初めて賞をもらいました

  • ル・コルビュジェデザインの丸テーブル

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