オープンアクセスとは

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オープンアクセスとは研究成果をインターネット上に無料で公開し、誰もが自由にアクセスできるようにする取り組みのことです。この概念は、研究者や学生、さらには一般市民が、科学や学術研究の発展に不可欠な情報に平等にアクセスできることを目指しています。
オープンアクセスは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、学術情報へのアクセスが限定的であることに対する問題意識から生まれました。特に、学術雑誌の価格高騰により、大学や研究機関がすべての必要な情報にアクセスできない状況が広がったことが契機です。2002年には、オープンアクセス運動を代表する「ブダペスト・オープンアクセス・イニシアティブ外部リンク」が発表され、世界中の学術機関が研究成果の無料公開を推進するようになりました。

オープンアクセスの意義

教育研究活動の成果を広く公開することにより、情報の独占を防ぎ、誰もが合法的に知識にアクセスできるようになります。成果の公開がさらなる研究につながり、学術研究の発展に寄与します。公共の利益に資する成果の速やかな還元により、社会への貢献につながります。
また、研究成果へのアクセスがオープンであることは、学生にとっても大きな学習資源となり、教育の質の向上にも寄与します。さらには、一般市民が最新の研究にアクセスできることにより、社会全体の科学リテラシーの向上と研究活動への支持の深化が期待されます。
2023年5月のG7首脳サミットでも触れられた通り「FAIR原則(Findable(見つけられる)、Accessible(アクセスできる)、Interoperable(相互運用できる)、Reusable(再利用できる)」に沿って、科学的知識並びに研究データ及び学術出版物を含む公的資金による研究成果の公平な普及による、オープンサイエンスを推進することを目指しています。

国内および本学の動向

オープンサイエンスは、論文のオープンアクセスと研究データのオープン化であるオープンデータを含め、研究成果の共有・公開を進め、研究の加速化や新たな知識の創造などを促す取組です。オープンサイエンスの推進については、米国や欧州などにおいてオープンデータの積極的な活用に向けた取組が進められてきました。日本においては2023年5月に開催されたG7科学技術大臣会合において、「科学的知識並びに研究データ及び学術出版物を含む公的資金による研究成果の公平な普及による、オープンサイエンスを推進する」ことが合意されました。総合科学技術・イノベーション会議を中心にオープンアクセスの議論が進められ、2024年2月「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」が決定されました。同方針により、2025 年度から新たに公募を行う即時オープンアクセスの対象となる競争的研究費を受給する者(法人を含む)に対し、該当する競争的研究費による学術論文及び根拠データの学術雑誌への掲載後、即時に機関リポジトリ等の情報基盤への掲載を義務づけられることになりました。

本学においては、2019年2月に「神奈川大学オープンアクセス方針」を策定し、2024年12月には「神奈川⼤学研究データポリシー」を策定しています。そして、2025年4月よりセルフアーカイブシステム「KUreOS」(キュリオス)の運用を開始し、公的研究費における学術成果(学術論文)の即時オープンアクセス化へ対応いたします。

オープンアクセスの方法と課題

現在、本学を含む多くの大学や研究機関ではオープンアクセス方針を定め、研究者に対して論文のオープンアクセス化を推奨しています。
オープンアクセスにする方法は、主に「Gold Open Access(以下ゴールドOA)」と「Green Open Access(以下グリーンOA)」の2種類があります。
ゴールドOAは、論文を投稿する際にオープンアクセス掲載公開料(APC: Article Processing Charge。以下APC)を支払うことで出版社のサイトから無料でオープンアクセスにする形式です。APCは著者や所属機関が負担します。
グリーンOAは、著者の申請により著者最終稿等を所属機関のリポジトリ等に登録することで、公開するものです。
ゴールドOAには、出版社の寡占を背景にしたAPCの高騰という現状があります。そのため、資金力のある研究者だけがオープンアクセスとして研究成果を公開できるといった課題につながっています。高エネルギー物理学の分野では、当該分野のゴールドOAについて、APCを個人ではなく、国単位で負担するといった取り組みSCOAP3(The Sponsoring Consortium for Open Access Publishing in Particle Physics)外部リンクもあります。

未来の展望

今後、オープンアクセスは、技術の進化とともにさらに普及し、オープンサイエンスの考え方が広がることで、研究データの共有や透明性の高い研究活動が推進されることが予想されます。また、国際的な研究協力や学際的な研究がより促進され、学術コミュニティ全体がよりグローバルに連携していくことが期待されます。
オープンアクセスは、研究者や学生にとって非常に重要な役割を果たしています。これからもこの流れを理解し、適切に活用することで、学術はますます開かれたものとなっていくでしょう。

神奈川大学のオープンアクセス方針について詳しくは、こちらをご覧ください。

学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針

「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」について詳しくは、こちらをご覧ください。
令和6年2月に内閣府の統合イノベーション戦略推進会議にて「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針外部リンク」が決定されました。

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