
今回の展示では、神奈川大学宇宙エレベータープロジェクトの学生が、少し先の未来で実現が期待されている「宇宙でのくらし」について、様々な切り口から紹介していきます。
展示期間 |
7月23日(土)~ 9月25日(日) |
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会場 |
横浜図書館1階展示コーナー |
お問合せ |
神奈川大学工学部 宇宙エレベータープロジェクト(江上研究室) |
電話番号 |
045-481-5661(代) |
解説
日本人宇宙飛行士が、国際宇宙ステーション(International Space Station : ISS)に長期滞在するようになって、9年目を迎えました。7月には、6人目となる日本人が宇宙に向かいました。この話題について、ニュースなどで耳にされた方も多いのではないでしょうか。
このISSの建設は、アメリカが中心となって、日本含め15か国の協力のもと1998年から開始されました。今年はそのISSに宇宙飛行士が暮らし始めて16年目(注1)になります。
一方、人類が宇宙に進出し、初めて有人飛行したのは1961年4月(旧ソビエト連邦)で「地球は青かった」と有名な言葉を残しています。また、地球以外の星(月)に人が降り立ったのは1969年7月(アメリカ)でした。宇宙船の外での作業を目的として、宇宙服に命綱を付けて1人で宇宙遊泳したのは1965年3月(旧ソビエト連邦)で、命綱無しの有人機動ユニットを装着した船外活動は1984年2月(アメリカ)でした。また、有人宇宙ステーションは旧ソビエト連邦のサリュートが最初で1971年4月に打ち上げられ、3人が搭乗していました。
現在のISSが運用されるまでに、多くの人々が宇宙空間に挑戦し、初飛行から55年の間に膨大なデータを収集して、宇宙で暮らす技術を手に入れてきました。そして人類は、次の目標である火星への有人探査という長期ミッションに挑もうとしています。
宇宙で暮らすことは夢ではなく、既に現実となりましたが、大規模な宇宙ステーションやコロニー、月面基地などの建設には多くの課題や問題があり、それらを克服する必要があります。しかし、人類は多くの困難を乗り越え、大陸を渡り拡散し繁栄してきたように、宇宙空間や他の惑星にも拡散を続けるのでしょう。
(注1)ISSに宇宙飛行士が常時滞在するようになったのは、2000年10月です。ここでの15年は、常時滞在の年数を指します。
1.宇宙での生活拠点
ここでは、惑星探査の中心とも言える「月」と「火星」を取り上げます。それぞれの惑星の異なる環境を知ることで、その惑星で人間が生きていくために必要となるもの、この星だからこそ可能になるものを考えていきます。日本火星協会の方々へのインタヴューも交えて、現在、世界で進められている火星移住に向けた動きなども紹介していきます。また、月面基地建設に向けた研究も日本の大手建設会社で進められており、今回そこで作製された月の疑似土壌サンプルも展示しています。
2.宇宙で暮らすリスク
将来、地球から離れ、ISSのような宇宙船や、宇宙ホテル、もしくはどこかの惑星に移住した場合、様々なリスクが考えられます。例えば、宇宙空間には、役目を終えた人工衛星などの残骸(宇宙デブリ)や人体に影響が出る高エネルギーの放射線(宇宙線)が存在します。また地球の重力に慣れている体には、重力が小さくなることで、頭痛や視力にも影響が出てきます。これらのリスクの一部については、すでにスペースシャトルやISSに宇宙飛行士が滞在するために研究され、対応が可能なものもあります。宇宙に暮らすという人類の夢を実現させるために、どのように問題を解決しているのか知ることで、宇宙で暮らすことをより深く理解できるようになります。
3.宇宙への移動手段
現時点で、宇宙に行くための手段はロケットに限られていますが、ロケットよりも安価で安全な運用が可能だと期待されている輸送手段として、宇宙エレベーターが注目され始めています。ここ神奈川大学の江上研究室でも、宇宙エレベーターの昇降機について研究が行われています。日本の宇宙エレベーター研究を後押ししている一般社団法人宇宙エレベーター協会への取材も交えて、世界の研究活動の動向や、宇宙エレベーターが実現した際に可能になることなどについて紹介していきます。
展示協力
- 宇宙航空研究開発機構 http://www.jaxa.jp/
- アメリカ航空宇宙局(NASA) https://www.nasa.gov/
- NPO法人日本火星協会 http://www.marssociety.jp/
- 一般社団法人宇宙エレベーター協会 http://jsea.jp/
- 清水建設株式会社 http://www.shimz.co.jp/